依存症は家族の病気。【依存症定義・理論】
依存症には、たくさんの理論・モデルがありますが
その一つに
「依存症=家族の病気」モデルがあります。
依存症は、当事者だけでなく
家族にも影響を与えます。
とういうことで、
今回の記事では、
上記のモデルを見ていきます。
*依存症は家族の病気*
今回紹介するのは、
「Addiction is a Family Disease」
(Roth, 2010)
なぜ、家族の病気なのか。
それは、1人のどんな決断も
他の家族のメンバーに直接的・間接的に
影響を与えるためです。
依存症の状況は、すべての家族のメンバーに
ネガティブな影響を与え、
ストレス・不安・混乱・怒り・悲しみ等の
いろんな問題を引き起こし、
さらに、対立・孤立を招き
家族として機能しなくなります。
*依存症家族の苦しみ*
実際に、依存症は多様な影響を
家族に対して与えます。
例え
- ストレス
- 怒り
- 不安
- 鬱
- 恥
- 孤独
- 金銭問題
さらに、依存症の家族を持つ
子供も多様なリスクにさらされています。
例え
- 鬱
- 不安
- 低い自尊心
- 将来の人間関係構築の障害
- 離婚率の上昇
- 薬物乱用のリスク上昇
- 虐待
- 学習障害
以上のように
当事者のみでなく、
家族にまで影響を与えるのが
依存症です。
依存症の家族への影響への記事が
他にもあるので、ぜひ
チェックしてみてください。
*不健康なパターンの形成*
依存症が家族の病気であるなら、
家族のみんなが依存症に対応しようと
試みますが、
時々、望まない方向に進みます。
不健康なパターンの例
- コミュニケーションの不具合
(批判・不満) - 一貫性のないルールの設定
(個人の境界線の不明確さ) - 期待のずれ
(過度に期待するがゆえの失望) - 自己投薬
(ストレスに対応するための投薬) - 危険サインの無視
(平和を保つために、なにもなかったようにふるまう)
※依存症が家族の不健康なパターンを作る場合もあれば
逆もある(家族の不健康なパターンから依存症)
*共依存の形成*
上記の不健康なパターンが
2つ以上あると共依存と言われる場合があります。
共依存とは、過剰に家族のことを気にし
自分のニーズのために
時間やエネルギーを使わなくなっている状態です。
共依存を持つ家族の特徴
- 低い自尊心
- 信用していないため、過剰にコントロールしようとする
- 怒り・否定されるのさける
- 問題に対して過剰に反応
- 何が起きても家族に忠実
- 過保護
上記の特徴によって
一貫性のなく、信頼関係のない関係では
嘘が依存症には関わってくるため
関係がどんどん悪化していきます。
そして、同様に依存症も悪化していきます。
共依存についての記事があるので
合わせて読んでみてください。
*スティグマ*
スティグマは、偏見のようなもので
依存症回復の妨げと考えられており、
誤情報によって
スティグマは強化されていきます。
理由としては
- ステレオタイプ・差別を引き起こす
- 治療を受けることを控える
- 孤立・支援から遠のく
スティグマは、もちろん
他人から受けるものですが、
実際は、自分で自分自身に
スティグマを与えることがあります。
例えば、自分自身の薬物乱用に対して
責めたり・失望したり
家族の場合も同様で
依存症の家族を持つ自分に
恥を感じたりし、隠そうとしたりします。
これらの結果、
よりスティグマ・過保護・共依存といった
不健康なパターンを家族に作っていきます。
そのため、正しい情報を得て
受け入れることが、スティグマと戦うためには
大切なので、
信頼できる情報元を見つけてください。
※このブログが依存症の信頼できる情報が
得られる場所であることを目指しています。
スティグマに触れた記事が他にもあるので
ぜひ、読んでみてください。
*家族を癒す*
もし仮に、
依存症が家族の病気であるのならば、
治療・責任も当事者のみではなく、
家族全体にあってもおかしくはないですよね。
ただ、家族全体に治療を進める前に
まず大切なことは、
自分自身のセルフケアから始めることです。
セルフケアの例
- 他人からの助けを要求・受け入れる
- 自分の好きなアクティビティを
他の人と行う - 休息・質の良い食べ物・運動で
身体の健康を優先する - リラクゼーションの方法を見つける
- 自分が感謝していることに集中
上記のセルフケアにより、
まずは、心身ともに準備万全の状態を作ります。
そのほかの方法としては、
12ステップのような自助グループや
同じ経験をしてるグループのミーティングに参加することも
有効です。
もし仮に、これらの方法がうまくいかなければ
専門家の助けを借りるもありです。
専門家の助けの例
- 個別治療
(ミーティング・カウンセリングで
ストレスに対するコーピングの学習) - グループセラピー
(同じ境遇の人と共に、ストレスの対処法を学ぶ) - 家族セラピー
(家族で、問題を一緒に解決する)
そして、特に家族に焦点を当てた治療が
「Community Reinforcement and Family Training (CRAFT)」ですね。
CRAFTについては、他の記事でより詳しく
取り扱いますね。
12ステップ・自助グループの記事があるので
読んでみてください。
*まとめ*
- 依存症は、家族全体に影響を与える病気
- 家族・子供もネガティブな影響を受ける
- 家族が依存症を悪化させる場合もある
- 依存症に対応しようと、
不健全なコーピング・共依存によって
より状況を悪化させる - セルフケアが、家族として
依存症に立ち向かう第一歩 - 自助グループでの経験のシェアは
依存症の理解を深める - 家族のための治療が有効な可能性
*記事関連のおすすめの本*
「わかりあえないを超える」
「Speak Peace」
割と、他人の意見を変えようと
データや事実を突きつけて
説得・論破しようとしがちですが
実際は、うまくいきません。
そんな中で、ある点を気をつけると
上手くいくことがあります。
そのヒントが、Nonviolent Communication (NVC)です。
非暴力コミュニケーションですね。
これは、他人以外にも自分にも応用でき
誤りを正そうとする考えを
新たな視点で見るきっかけをくれると思います。
特に依存症では、
依存行動をするのが間違っていると思いがちですが
NVCを知っていると少し違った視点が持てると思います。