CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

孤独感を感じる【依存症と人間関係】

*共に戦う依存症*

孤立は、変更関連において世界的に問題になってます。

イギリスでは、孤独大臣が政府の役職としてあります。
日本でも、高齢者の孤独死が問題になっていますね。

孤独と依存症には、どのような関係があるのでしょうか。

社会的・環境的要因の大切さについての
記事がほかにもあるので読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*孤立と健康*

孤立は、多岐にわたる健康関連の問題と関連し
それらの問題に対する予測因子として知られています。

*孤立から予測される健康問題の例*
(一般集団)

  • 乏しい身体的・精神的健康
  • 疾病率・罹患率
  • 死亡率
    (2-5)
  • 低い社会関係の質(28)
  • 低い生活の質(QOL(27)

QOLやWell-being(ウェルビーイング)は、
依存症の回復において大切な要素になっています。
ウェルビーイングと依存症についての記事があるので
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 


なぜ、孤独感が以上の悪影響を引き起こすのか。

孤立の定義もみると少し理由が見えてきます。

*孤立の定義*

ー 人間関係の間における食い違いによって引き起こされる
精神的に苦痛を伴う状態
(6)

 

そして、孤立にはいくのかの多面的な面があり
社会的孤立・感情的孤立等が挙げられます。
(7)

 

定義を見てみると、肉体的苦痛ではなく
精神的な苦痛と聞くだけでも
なにか悪影響を及ぼしそうな雰囲気がありますね。

 

実際に、どのような人が孤立を経験しやすいのか。

*孤立を感じる割合が多いグループ*

  • 高齢者 (12)
  • 重度の精神疾患 (例;精神病)(13)

では、依存症のグループは孤立を経験しやすいのか。
依存症における孤立と関連する要素も話していきます。

 

 

*依存症とスティグマ(汚名烙印)*

現在、わかっている限りでの依存症と孤立についてですが
スティグマが関連しているのではと言われています。

 

スティグマとは、偏見・差別等ですね。


要は、依存症だからといった偏見を持たれ
間違った認識で扱われるため、社会的に不利益・不平等を導くことがあります。

 

そのようなスティグマですが、
実は、依存症が世界で一番スティグマを受ける疾患です。
また、アルコール依存症は4番目です。
(15.16)

 

そして、このスティグマは社会的孤立から生じると言われています。
(17-19)

 

スティグマによって生じる社会的孤立によって、
依存症グループは孤独感を感じやすい
グループだと言えそうですね。

 


*依存症回復と孤立*

典型的には、禁酒・禁煙等の禁薬の過程では
それらの薬物を使っているグループとの関りを断つ
行動がみられます。

 

そして、それらの薬物を使っていないグループ・回復途中のグループとの
関係を好むようになります。
(21)

この人間関係の変化の過程が、孤立を引き起こす可能性を秘めています。

 

事実、薬物依存の治療を経験した79%の人が
頻繁に孤独感を感じたと報告されています。

また、それらの69%の人がこの孤独感は個人にとって
重篤な問題であると言っています。
(22)


この研究は、オーストラリア人のお話ですが
依存症グループは、
孤独感の割合が多く、大きな問題である可能性を示唆しています。


*孤独感を測ってみよう*

いろんな孤独を測る質問はありますが、
依存症グループに適したものがあります。


それが、
The University of California, Los Angeles (UCLA) Loneliness Scaleです。
(35)

 

この質問表の日本語版も同様に信頼度と妥当性があります。
(Arimoto & Tadaka, 2019)

ということで、興味のある人は確認してみましょう。

 

*日本語版UCLA 孤独感尺度(第3版)*

それぞれの項目について、当てはまる頻度を選んでください。
頻度の項目と点数

  • 決してない = 1点
  • ほとんどない = 2点
  • 時々ある = 3点
  • 常にある = 4点

20項目のすべての点数を足します。
ただし、いくつかの項目はその点数の逆を足すので
質問番号と数字を書いておくと楽だと思います。

 

  1. 自分は周りの人たちの中になじんでいると
    感じますか*
  2. 自分には人との付き合いがないと感じることが
    ありますか
  3. 自分には頼れる人が誰もいないと感じることが
    ありますか
  4. 自分はひとりぼっちだと感じることがありますか
  5. 自分は友人や仲間のグループの一員だと感じる
    ことがありますか*
  6. 自分は周りの人たちと共通点が多いと感じる
    ことがありますか*
  7. 自分は誰とも親しくしていないと感じることは
    ありますか
  8. 自分の関心や考えは周りの人たちには
    わからないと感じることがありますか
  9. 自分を社交的で親しみやすいと感じますか* 
  10. 自分には親しい人たちがいると感じますか*
  11. 自分は取り残されていると感じることが
    ありますか
  12. 他人との関わりは意味がないと感じることが
    ありますか
  13. 自分のことを本当によく知っている人は誰も
    いないと感じることはありますか
  14. 自分は他の人たちから孤立していると感じる
    ことはありますか
  15. 希望すれば自分と気の合う仲間は見つかる
    と感じますか*
  16. 自分を本当に理解している人がいると
    感じますか*
  17. 自分は内気であると感じますか
  18. 周りの人たちと一体感がもてないと感じることが
    ありますか
  19. 話し相手がいると感じますか*
  20. 頼れる人がいると感じますか*

20項目の合計点数を出してください。
1,5,6,9,10,15,16,19,20 (*)は逆転項目
(評定は 1=4,2=3,3=2,4=1 に換算)
例えば、質問20はで3と答えた場合は2点となるわけです。
間違えないように、合計点数出してみてください。

実際の点数の解釈の論文がなかなか見つからないのですが、
あるウェブサイトが載せてましたので、簡易的に使います。
そのデータの元が見つからないのが申し訳ないのですが。

https://happyending.or.jp/news/86
このサイトでは、
28点未満 ー 孤独感低い
44点以上 ー 孤独感高い

 

ちなみに、私は42点でした。


*孤立の理論*

孤立を理解するためにいくつか理論があります。
よいよい孤立の理解のためいくつか紹介します。

 

*帰属理論(Attribution theory)と依存症*

この理論は、ある事象の原因を何に帰属(結び付けられ)され
その出来事は何に基づいて発生したのかという
原因を推測する理論です。
(6)

 

そして、起こった事象に帰属させるものが大きく2つあります。

  • 内的帰属(当事者本人)
  • 外的帰属(他者や外的な状況)

孤立の原因は、この理論を使って説明されることがあります。

 

例えば、孤立を感じている人の帰属スタイルは
「内的帰属」と「安定」です。

 

内的帰属なので、孤立を感じている人は
孤独感を自分の欠点として信じています
そして、この欠点は安定したもの。
つまり、変化することがない自分の欠点だと認識しています。
(29-31)

 

*認知理論と依存症*

認知の仕方も孤独感に影響を与えているのではと考えられています。

この理論では、2つの原因が考えられています。

 

  • 社会的な関りに対する過剰な恐怖反応
  • 社会とのかかわりによって生じる否定的な結果の予測

これら2つが孤独感を発生・維持させる鍵となっています。
(26)

 

しかし、依存症ではこれらの理論がどのように絡んでくるのか
研究が少ないので分かり次第、足していきます。

今のところ、認知が依存症における孤独感に関係していそうな雰囲気が出てます。
(32,33)

 


*孤独感を改善する*

大抵のグループにおいては、認知的な介入が効果的だと言われています。
(14. 37. 107. 108)

 

要は、孤独感においては社会的な関りに対する考え方(認知バイアス)が問題
そこに介入することができると改善する可能性があるということです。

 

この社会的な関りに対する認知のゆがみに対するアプローチ
事実、主観的な孤独感に大きな効果を持っています。
(37)

 

逆に、よく頻繁に言われている
社会的なコンタクト・人との関りを増やす方法は
孤独感に大した影響を与えません

 

そのため、単純に他の人とかかわりを増やしても
個人が持つ、人間関係についての考えが変わらないと
孤独感に変化は起きにくいということですね。

 

ただ、依存症で同じことが言えるのか。
それは、正直まだわかりません。
研究がかなり少なくて、難しいのですが。

 

1つ、良い例をあげます。
(14)では、精神疾患グループを対象に
個人が抱く自分自身・他人に対する認識に対して
アプローチした様々な実験のレビューを作りました。

*孤独感の認識の例*

  • どのように自分が他人に扱われるのか
  • どのように他人が自分のことをかんがえているか
  • どのようなサポートを他人から受け取ったか
  • 孤独感の克服に対する考え方

 

このような考え方・認知にアプローチする方法として
認知行動療法・動機付け面接法等が上がってきます。

そして、これらが現時点では効果がありそうな雰囲気が出ています。
今後、これら2つの治療法についても説明しますね。

 

*まとめ*

  • 孤独感は、健康関連のいろんな要素に悪影響を与える
  • 孤独感は、依存症の回復に必要なウェルビーイング
    悪影響を与える。
  • 依存症は、一番スティグマの対象になる疾患
  • 依存症においては、スティグマが孤独感の要因になっている。
  • 依存症の孤独感を改善するには、人間関係に対する考え方に
    アプローチした方が良さそう
  • 依存症の孤独感に対しては、認知行動療法・動機付け面接法が
    有効な可能性がある。

Twitterでは、Twitter断酒部を筆頭に
いろんな薬物のグループがあるようですね。

 

もしかしたら、このような取り組みも
孤独感を改善する一助になっているかもしれませんね。

 

*記事関連のおすすめの本*

「孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか」
「Loneliness: Human Nature and the Need for Social Connection」

孤独をいろんな観点から体系的に
解説されてます。

最近は、孤独を良しとする本も多いですが
まあ、悪い面もあります。

脳科学・心理学・遺伝・社会経済的な視点と
豊富な幅広い視点で孤独が理解できると思います。

また、ちょっとした改善法も載ってますね。

孤独感の理解・改善のヒントとして
ぜひ、読んでみてください。

 

 

【睡眠障害と依存症】依存症における睡眠の重要性

*お互いに影響しあう睡眠と依存症*

依存症では、頻繁に睡眠障害が報告されています。

薬物乱用によって、眠れないこともあるだろうし
眠れないがゆえに、薬物乱用も考えられます。

睡眠と依存症にどんな関係があるのか
解説していきます。

睡眠の影響は、ストレスと食物依存症の記事でも触れました。
気になる人は、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 


*カフェインと睡眠障害

コーヒーは、最も人気な精神刺激約です。

そして、この分野においてよく議論されているのが
専門性の高い仕事・学業・社会的状況における夜間のコーヒーの摂取です。

要は、夜間に何か重要な理由でコーヒー摂取
しなければいけない状況が多いということですね。

 

Chaudhary et al.(2021)によると、
特に軍人さんで、カフェイン摂取と睡眠不足が顕著にみられると言われています。
そして、軍人さんたちのカフェイン摂取量の上昇は
睡眠時間の減少と精神症状の増加と関連がみられました。

しかし、カフェイン摂取の利点も議論されています。。
それは、カフェイン・エナジードリンク摂取はもしかしたら
軍人さんの睡眠不足の状況かでのパフォーマンスの維持に役立っている点です。

ただ、この著者はしっかりとした睡眠をとる方法を考えることで
カフェイン摂取と睡眠不足どちらともの問題を減らすことができ、
結果として、パフォーマンスも上がるのではと言ってます。

 

という感じで、カフェイン摂取は仕事状・学業の都合等で
役に立つかもしれませんが、
カフェインを取ることで、
睡眠不足とカフェイン摂取の増加の負の連鎖の可能性を示しているため
まずは、睡眠をしっかりとるという根本的なアプローチの必要性を示しています。


これは、他の薬物も同様なことが言えるかもしれませんね。


*コカインと睡眠の役割*

コカインも、精神刺激薬の1つですね。

薬物依存は、いくつかのプロセスがあります。

  • 急性の薬物使用
  • 慢性の薬物使用(離脱症状
  • 禁薬の時期

Bjorness and Greene(2021)によると
コカインの使用は、いかなる依存症のプロセスにおいても睡眠の妨げをする
と報告されています。
また、睡眠障害はコカインへの欲求を高め
さらに、コカインの報酬的効果も高めると言われています。

つまり、よりコカイン摂取をすることに
ポジティブな要素を感じ、再び薬物使用をするような学習を促されます。

 

報酬系のお話は、他の記事でもしたので
気になる人は、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

コカインと睡眠の関係をみると
薬物と睡眠は双方向に影響を与え合っていることがわかりますね。

薬物乱用が睡眠障害を引き起こすこともあれば、
睡眠障害が薬物乱用を引き起こすこともあるということです。

この著者は、さらにドーパミンオレキシン・アデノシンの仕組みが
睡眠と覚醒、また報酬追求型の行動に影響をあたえているのでは
と言っています。
すこし、細かい話なので詳しい話は
他の記事で書きますね。


結論として、何が言いたいか。

依存症回復においては
睡眠と薬物使用等の生理学的なシステムの両方にアプローチ
提供した方が良い可能性を示しています。

そして、結果として依存症再発のリスクを下げることができるかもしれませんね。

事実、睡眠障害を持っている・経験者は依存症の発症のリスクが高く
また、治療中の依存症再発の可能性が高いと言われています。
(Valentino and Volkow; 2020; Koob and Colrain, 2020)


*概日リズムと依存症*

概日リズムとは、体内の生理的機能をリズムであり
基本的には外部の状況(1日=24時間)に合わせて
睡眠と覚醒のリズムを作っています。

要は、太陽が出てきたら活動して
日が沈んだら、眠くなる。
日の日没に合わせて、睡眠と覚醒度をあわせて
しっかりと日中に生活できるようにリズムを体内に作ります。

 

そして、この概日リズムが障害されることを
概日リズム睡眠・覚醒障害(Circadian rhythm slee-awake disorder: CRSWD)
と言います。
この障害は、いろんな型があります。

例えば、

  • 極端な早寝早起き
  • 不規則の睡眠と覚醒にリズム
  • 日に日に睡眠時間と起床時間が遅れるタイプ

どれも、体内時計のリズムと太陽による明暗周期にずれが発生するため
社会活動への問題が生じることがあります。

 

それでは、睡眠・覚醒障害と依存症の関連はあるのか。

Roehrs et al.(2021)は、睡眠・覚醒障害は
すべての依存症の過程(薬物使用・薬物使用の維持・薬物使用の再開)に
影響を与えていると報告しています。

また、Tamura et al.(2021)では
概日リズムと依存症の発症についてのレビューを書いており、
著者は概日リズムと薬物依存との間には双方に影響を与える関係
ありそうだと報告しています。

 

また、この関係はそれぞれの薬物によって異なる可能性も指摘しています。
それぞれの薬物と睡眠については他の記事で書きますね。

 

さらに、著者は概日リズムに関わる遺伝子の影響を受けている
グルタミン系とドーパミン系のシステムが
薬物依存の悪化の可能性も示唆しています。

 

これらを考慮すると、
再び睡眠障害と薬物使用障害の関係性が見えてきましたね。


*アルコールと睡眠*

アルコール依存と睡眠の関係においても、
お互いがお互いに影響を与えっている可能性があります。

つまり、急性・慢性アルコール摂取が睡眠を妨げ
睡眠の障害は、アルコール使用の継続を促し治療成績を下げ、
再発の可能性をあげる

(Koob & Colrain, 2020)

 

実際のアルコールの睡眠への影響を少し解説します。
細かいことは、別の記事で詳しく話します。

 

*アルコールの睡眠への影響*

  • 深い睡眠(Slow wave sleep: SWS)の減少。
    (MacLearn & Cairns, 1982; Williams et al., 1983; Chan et al., 2013)
  • レム睡眠(脳が目覚めかけている状態)の増加。
    (MacLean & Cairns, 1982; Van Reen et al., 2006)

アルコールの摂取量によって影響が異なりもしますが、
それについては、もう少しアルコールに特化した記事で書きます。

 

以上の2点がアルコールの睡眠に対する悪影響です。
聞いただけで、疲れとれなそうですよね。

 

それでは、逆に睡眠のアルコール摂取への影響はどうでしょうか。

 

*睡眠のアルコール摂取への影響*

Conroy et al.(2006)では、主観的な睡眠障害(個人の睡眠の感覚)
Drummond et al.(1998)では、客観的な指標(睡眠ポリグラフを使うことで、
長期の禁酒をしているアルコール依存の人が、
再びアルコール使用をするかどうかを
予測できることを報告しています。

 

事実、実験的にネズミを使い深い睡眠の妨害をした場合の
アルコール関連の刺激に対する反応を調べると
深い睡眠を障害された場合は、よりアルコール関連の刺激に反応し
アルコールを要求するような行動が観察されています。
(Reeves-Darby et al., 2021)

 

よって、睡眠はアルコール摂取を促し
アルコール摂取は、睡眠に悪影響をあたえる
そんな関係が見えてきましたね。

 

*まとめ*

  • 薬物依存と睡眠障害は双方に影響を与え合っている。
  • 薬物と睡眠の両方にアプローチしなければ、
    薬物依存の負の連鎖を断つことができない可能性がある。

今後、それぞれの薬物と睡眠の関連の記事。
また、依存症における睡眠障害への改善法についての記事
についても上げていきます。

 

*記事関連のおすすめの本*

「睡眠こそ最強の解決策である(Why We Sleep)」

また、日本語のタイトル訳が気に入りませんね。
「最強」ってあたりが、誇大表記っぽくないですが?
毎回、同じこと言っているような。

とりあえず、睡眠の研究だとマシューさんかなり有名ですね。
睡眠にまつわる、いろんな知見が紹介されています。

また、良い睡眠のためのアドバイスも紹介されてます。

私は、一気読みパターンの本でした。

また、私はマシューさんのTEDも観たのですが
序盤に「睡眠不足が睾丸を小さくする」と発言し、
一気にプレゼンに引き込まれました。
TEDのURLも張っておきますね。

youtu.be

 

【依存症になりやすい性格】依存症と性格

*依存症と性格の関係*

依存症には、いろんなリスクファクターが存在します。

その中の1つに心理学的な要素があり、
性格が含まれます。

実際に、どのような性格が依存症と関連しているのか
この記事でお話していきます。

依存症のなりやすい人の特徴についての記事があるので
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 


*性格(ビッグファイブ)*

性格のお話は、古代ギリシャヒポクラテスさんから始まっています。

その後、フロイドやパプロフと言ったよく聞く名前の有名人たちも
この分野に絡んできました。

という感じで、長い議論が続いていましたが
1980年頃に、大きな変化が起きました。

性格を表す言葉がたくさんある中で
それらの性格の言葉にヒエラルキー的な順序があることに気づき始めました。
(Digman, 1987, Markon et al., 2005)

要は、ある性格を表すの言葉が無数にあるが
ある単語を一番上のカテゴリーの名前として扱い、
それ以外の似た単語は、その一番上のカテゴリーの下にぶら下がっている言葉ということです。

例えば、誠実性を表す言葉に
「忠実性」、「秩序性」が挙げられますが
これらの2つの言葉は、誠実性のグループの下に含まれるということです。

このように、性格を表す言葉にまとまりが出てきて
大きく分けて5つ・もしくは3つの大きな性格を表す言葉が誕生しました。

それが、ビッグファイブ(Big five)とビッグスリー(Big three)です。
心理学系に興味のある人は、一度は聞いたことがあると思います。


*ビッグファイブ(Big Five model)*

ビッグファイブが誕生するまで、何度も試みがありました。

何がビッグファイブなのか。
大きな性格の因子が5つあるということですね。

ビッグファイブが、最終的にたどり着いた5つの性格とはなにか。

 

*ビッグファイブの5つの因子*

  • 外向性(Extraversion)
    ー ポジティブなことに対する反応を示す要素
    ー 高い外向性(社交的・目立ちたがり)
    ー 低い外向性(控え目・冷淡)
  • 協調性(Agreeableness)
    ー グループ内での行動を示す因子
    ー 高い協調性(思いやり・ナイーブ)
    ー 低い協調性(競争心・理屈っぽい)
  • 誠実性(Conscientiousness)
    ー 責任感やセルフコントロールに関する要素
    ー 高い誠実性(粘り強い・強情)
    ー 低い誠実性(柔軟・ずさん)
  • 神経質的傾向(Neuroticisim)
    ー ネガティブなことに対する反応
    ー 高い神経質的傾向(迅速な対応・不安定)
    ー 低い神経質的傾向(落ち着き・無頓着)
  • 開放性(Opennsss to experience)
    ー 新しい経験に対する反応の要素
    ー 高い開放性(創造的・予測できない)
    ー 低い開放性(現実的・閉鎖的)

実際に、この5つの性格がどれほど信頼できる指標なのか。

いろんな人が研究した結果、
これらの5つの性格の要素は信頼できるものであり
自己評価・友達の評価でともに、これらの性格が観察されました。
(McCrae & Costa, 1987)
また、子供・大人等の年齢も関係なく
さらに、言語・様々な文化圏においても5つの性格が観察されています。
(Allik, 2005; McCrae & Costa, 1997)

 

ネットでサクッと無料でできる
ビッグファイブ診断ができるみたいです。
URL張っておきますね。

『嘘』を見抜く自己分析 | ビッグファイブ性格診断【BIG5-BASIC】

 

ビッグスリー(Big three model)*

一方で、ビッグスリーは3つの性格の要素がある。

  • ネガティブな感情
  • ポジティブな感情
  • 非抑制VS制御
    (Clark & Watson, 1999; Markon et al., 2005)

ただ、これら3つの性格のファクターは
ビッグファイブの5つのファクターと被る点が多々あります。
(Clark & Watson, 1999; Markon et al., 2005)

 

Big fiveの神経質的傾向は、Big threeの「ネガティブな感情」とほぼ同義であり
Big Fiveの外向性は、Big threeの「ポジティブな感情」と同義である。
(Clark & Watson, 1999;Markon et al., 2005)

他にも、Big fiveの「開放性」とBig threeの「ポジティブな感情」

ただ、Big Threeの「非抑制」は少し複雑で
非抑制は、Big fiveはいろんな性格と複雑に関連していました。
例えば、Big fiveの誠実性・協調性が挙げられます。
(Clark &Watson, 1999)

ただ、この非抑制はほかのBig fiveの5つの性格と同じものではなく
独立したものであることもわかりました。

ということで、今回の記事で取り扱う性格として
Big Fiveの5つの性格とBig Threeの1つの性格(非抑制VS制御)を使い、
依存症をお話していきます。

 

*依存症と精神疾患

性格と頻繁に話をされるトピックとして、精神疾患が上がってきます。
依存症において、精神疾患の併発は頻繁のため
さくっと例を挙げていきます。

 

精神疾患と性格(Big five)*

まず、精神疾患を簡易的に分類します。
疾患を1つずつ並べるのが少し面倒で見にくくなるかなと。

初めに、精神疾患を大きく2つに分けます。

  • 内在化障害(不安・鬱)
  • 外在化障害(依存症・反社会パーソナリティー

内在化障害は、個人の問題(不安やストレス)を自己の内側で処理
する総称で、
外在化障害は、個人の問題を自己の外側で攻撃・非行を通して処理されます。

さらに、内在化障害を細かいカテゴリーに分けていきます。

という感じに分けれらます。
実際の性格とこれらの疾患の関連を見ていきましょう。

 

*性格と精神心疾患の関連性の例*

  • 内在化障害 と 神経質的傾向
  • 外在化障害 と 神経質的傾向・非抑制
    (Clark, 2005; Krueger et al., 2007; Krueger et al., 2001)
  • ストレスグループ と 神経質的傾向・低い外向性
  • 恐怖グループ と 神経質的傾向
    (D. Watson et al., 2006
  • 不安障害 と 神経質的傾向

という感じで、大抵の精神疾患はとりあえず
神経質的傾向が関連していそうですね。

 

事実、これらの性格がどの程度
精神疾患の症状と関連があるかMalouff et al.(2005)さんたちが調べてくれました。
少し、数字を出します。

結果

  • 神経質的傾向 と 精神疾患症状の関連 (Cohen's d = 0.92)
  • 低い誠実性 と 精神疾患症状の関連 (Cohen's d = -0.66)
  • 低い外向性 と 精神疾患症状の関連 (Cohen's d = -0.41)
  • 低い協調性 と 精神疾患症状の関連 (Cohen's d = -0.38)

基本的に、絶対値的に大きな数ほど関連が高いと思っていいと思います。

ただ、開放性については統計的な関連は見つかりませんでした

再び、神経質的傾向が大いに精神疾患と関係があることがわかりますね。

 

*依存症とBig Five*

本題の依存症と性格の関連ですが
依存症は、神経質的傾向・非抑制・低い誠実性・低い協調性と関連があります。
(Ball, 2005)

ただ、依存症も大きなカテゴリーなので
今回の記事では、アルコール・複数薬物依存・単一の薬物依存を見ていきましょう。

再び、少し数字出しますが大きな数ほど関連が強く
正の数は、性格の気質が上昇すると依存症に関連あり
負の数は、性格の気質が減少すると依存症に関係ありです。


*アルコールとBig five*

  • 神経質的傾向 ー Pearson's r = 0.28 (弱い正の相関)
  • 外向性     ー Pearson's r = -0.12 (ほぼ相関なし)
  • 非抑制     ー Pearson's r = 0.24 (弱い正の相関)
  • 誠実性     ー Pearson's r = -0.33 (弱い負の相関)
  • 協調性     ー Pearson's r = -0.17 (ほぼ相関なし)
  • 開放性     ー Pearson's r = -0.02 (ほぼ相関なし)
    (Kotov et al., 2010)


*複数の薬物乱用とBig five*

  • 神経質的傾向 ー Pearson's r = 0.42(正の相関)
  • 外向性     ー Pearson's r = -0.19 (ほぼ相関なし)
  • 非抑制     ー Pearson's r = 0.32 (弱い正の相関)
  • 誠実性     ー Pearson's r = -0.55 (負の相関)
  • 協調性     ー Pearson's r = -0.34 (弱い負の相関)
  • 開放性     ー Pearson's r = -0.15 (ほぼ相関なし)
    (Kotov et al., 2010)

単なるアルコール依存のみと比べると
それぞれの数字が大きくなっていますね。

*単一の薬物依存と性格*

  • 神経質的傾向 ー Pearson's r = 0.46(正の相関)
  • 外向性     ー Pearson's r = -0.15 (ほぼ相関なし)
  • 非抑制     ー Pearson's r = 0.30(弱い正の相関)
  • 誠実性     ー Pearson's r = -0.43 (負の相関)
  • 協調性     ー Pearson's r = -0.33 (弱い負の相関)
  • 開放性     ー Pearson's r = -0.17 (ほぼ相関なし)
    (Kotov et al., 2010)

大体、似たような結果ですね。
アルコール依存と比較すると、薬物依存では神経質的傾向が若干強いですね。
そのため、神経質的傾向の影響を受ける性格の因子も
薬物依存では相関がアルコール依存より若干高いですね。

ただ、薬物と言ってもいろいろありますが
それぞれの薬物(コカイン・ヘロイン・大麻・行動嗜癖等)と性格については
違う記事にて詳しく取り扱います。

 

*まとめ*

  • 性格は、5つの尺度がある。
    (ビッグファイヴ(神経質・外向性・誠実性・協調性・開放性))
    (+ビッグスリー(非抑制VS制御))
  • 多くの精神疾患で神経質的傾向が高い
  • 依存症では、高い神経質的傾向・高い非抑制・低い協調性が
    関連している。

※これらの性格だから、悪いという話ではなく
依存症になりやすい可能性があるということです。

 

性格は、生まれ持って大体半分が遺伝的に決まると言われています。
ただ、性格を変えることもできるのではという話もあり
また、高い神経質的傾向・高い非抑制・低い協調性も
その場その場で、プラスになることも多々あります。

そのような記事も今後書いていきます。

 

*記事関連のおすすめの本*

「自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義」
「Me, Myself, and Us; The science of Personality and the art of Well-being」

毎度、おなじみですが日本語訳が気に入らないですね。
ハーバードと書けばいいと思ってる感じ。
英語版の本ものリンクも最後に貼っておきますね。

それは、さておき。
依存症から回復するとき、性格も考慮したアプローチが必要だよねって
言う人もいます。
この本は、依存症から回復するとき
自分と他者とどう向き合うか、性格の観点からいろんなヒントをくれると思います。

英語版のタイトルにある通り、Well-beingと性格をつなげています。
自分の性格・他者の性格を理解して
よりよい人生を送れるためのピースがいくつかあります。

Well-beingについての記事もあるので、
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

curiousquest.hatenablog.com

英語版のおすすめ本

 

【依存症は脳の認知機能が原因⁉】

*依存症の脳は頭が良すぎる*

「依存症=病気」という視点は、度々議論されます。

ただ、この視点では説明しきれないこともたくさんあります。

事実、信頼できる特定の生理学的マーカーは
未だ見つかっていません。
また、ほとんどの実験が動物を使っているため、
人類に応用するときには、注意が必要です。

 

また、「依存症=病気」に影響を与える要素として
認知機能があります。
認知プロセスによって、「依存症=病気」の視点に
様々の影響を与えます。

この記事では、実際にどのように依存症において
認知機能が関わるのか説明していきます。

 

「依存症=病気」についての記事があるので
興味のある人はぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

*認知機能*

まず、認知機能とはなにか。

認知機能の定義
ー 目標達成をするための行動・思考を導くために必要な能力
(例;抑制、記憶、注意力、学習)
(Friedman & Robbins, 2022)

上記の能力を使い、自分の目標に向かって
行動・思考する
そんな能力が認知機能になってきます。

パッと聞くだけでも、依存症に関わってきそうな
雰囲気がありますね。

 

例えば、禁酒するためには
しっかりと自分の行動を抑制することが必要になるかもしれません。

また、依存症において学習は重要な一部です。
記憶も、過去の経験が依存症に関わります。
注意力は、依存症になると
常にその薬物のことばかり考えてしまいます。

 

*依存症と認知機能*

実際に、依存症における認知機能はどのような状態なのか。

メタアナリシス(信頼度が高い研究)によると
以下の認知機能障害がみられます。

  • 選択的注意
  • 注意バイアス
  • 実行機能
  • 報酬ベースの決断
  • エピソード記憶
    (Baldacchino et al., 2012; Biermacki et al., 2016; Leung et al., 2017)

また、衝動性も依存症のリスクファクターとして言われています。
(de Wit, 2009)

de Wit (2009)によると
衝動性とは
ー 未熟な思考によって実行され
その場その場の状況に適さないため、
頻繁に危険・望まない結果を導く行動。

この衝動性は、青年期の特徴として言われています。
事実、青年期では認知機能をつかさどる脳の部位(前頭皮質)の発達は未成熟です
(Spear, 2000; Crews et al., 2007)

さらに、青年期は依存症の発症のリスクが高く
統計的にも青年期の依存症の割合が多いです。
(Hasin & Grant, 2015)

 

*実際の依存症の認知機能障害*

実際に、依存症において
認知機能にどのような影響を受けているのか。

ざらっと実験を持ってきて説明します。

 

*Stroop Task*

この実験は、Stroopさんによって開発されました。

抑制力や注意力を推し量ることができます。

 

この実験方法では、
色を意味する文字がその色とは異なる色で塗りつぶされています。
参加者は、塗りつぶされた色に惑わされることなく
単語それ自体の意味の色を答えます。

Stroop task

例えば、一番左上の「Yellow

  • 文字上の意味   ー 黄色
  • 塗りつぶされた色 ー 赤

参加者は、塗りつぶされた色を答えずに
文字上の意味である「黄色」と答えなければいけません。

 

依存症においては、文字が薬物関連の言葉と薬物に無関係の言葉の組み合わせに代わります。

Emotional Stroop task

参加者は、今後は薬物関連の言葉に惑わされることなく
塗りつぶされた色を答えなくてはなりません。

 

例 Smoke

  • 文字上の意味   ー Smoke
  • 塗りつぶされた色 ー 赤

答えは、「赤」と言わなければいけません。

 

この実験の解釈として、

普通であれば、どの単語に対しても同様の反応の遅れが予測されます。

ただ、依存症の人たちは薬物関連の単語に対しての反応に違いがあったら
注意力や抑制力のような認知機能に影響を受けていることになります。

 

*実際の実験*

Lusher et al. (2004)では、
アルコール依存グループと非アルコール依存グループで
アルコール関連の言葉とアルコールとは無関係の言葉を使い
反応速度を調べ、比較しました。

  アルコール依存 非アルコール依存
アルコール
関連の言葉
1063 ms 837 ms
アルコール
無関係の言葉
949 ms 822 ms

(Lusher et al., 2004 を基に作成)

 

結果をみると
アルコール依存グループは、アルコール関連の言葉で大きな反応の遅れがみられています。

つまり、アルコール関連の刺激に注意力が奪われ
抑制力が弱くなっていることが言えそうです。

 

*Dot-Probe task*

Dot-Probe taskは、Posner et al. (1980)さんたちによって開発されました。

実験方法は、スクリーン上の点を見るように言われます。

Dot-Probe task

そして、その後この点が消えて
点を中心として左右・上下に2つの単語が現れます。

Dot-Probe task

そして、参加者はどっちかの言葉・写真を
できるだけ早く選んでもらいます。

普通であれば、どの言葉に対しても
同じだけの速度で反応すると考えられます。

ただ、もし依存症グループが薬物関連の言葉に対して
早く反応したら、より薬物関連の言葉・写真に注意力を払っていることになります。

 

実験結果の例

Ehrman et al. (2002)では、喫煙者と非喫煙者
Dot-probe taskを行いました。
そして、「たばこ関連の言葉・写真」と「たばこと無関係の言葉・写真」への
反応速度を比べました。

 

結果

  無関係の
写真
たばこ関連の
写真
時間差
非喫煙者 468.1 ms 461.6 ms 6.5 ms
喫煙者 426.2 ms 403.2 ms 23.0 ms

(Ehrman et al., 2002 を基に作成)

 

喫煙者は、たばこ関連の言葉により早く反応していることがわかりますね。

このような結果は、他の薬物依存(コカイン・ヘロイン・アルコール)でも言われています。
(Franken et al., 2000; Lubman et al., 2000; Townshend &Duka, 2001)

 

*Dichotic-Listening Task*

この実験では、ヘッドフォンを使い
左右の耳から異なる音声入力を与えます。

Dichotic-Listening Task

そして、基本的には左脳にウェルニッケ野(聴覚をつかさどる)と言われる場所があるため
我々は、右耳からの情報を優位に聞き取ります。

なので、我々は右耳からの聴覚情報を優位に処理します。

しかし、依存症ではどうなるのか。

Andrews (2008)では、喫煙者・元喫煙者・非喫煙者の3グループで比べました。
音声は、「たばこ関連の音声」と「たばこと無関係の音声」を使いました。

 

結果

  たばこ関連音声 無関係の音声
  左耳 右耳 左耳 右耳
喫煙者 7.07 8.07 2.7 5.83
元喫煙者 4.3 6.43 1.4 7.03
非喫煙者 2.2 5.03 3.67 9.37

(Andrews, 2008 を基に作成)

 

ほとんどの条件において
右耳の方が優位に音声を処理していました。

しかし、赤字の喫煙者グループにおいての
たばこ関連の音声では、右耳と左耳の音声処理課題で
統計的に優位な差がありません
でした。

つまり、どちらの耳・脳においても
たばこ関連の情報をしっかりと処理していることになります。

 

*Visual recognition task*

次の実験では、視覚刺激を使いました。

実験では、スクリーン上にぼやけた物体が用意されています。

次第にぼやけた画像がきれいになっていき、
ぼやけた物体が何者か分かった場合に
答えてもらいます。

左上から順に、一番ぼやけた写真から少しずつ解像度が上がり
右下には一番解像度が高い写真になってます。

 

依存症グループは、どんな反応を示すのか。

Chandler and Diri (2006)では、喫煙者と非喫煙者
「たばこ関連の写真」と「たばこと無関係の写真」を使い
どれ程、早く物質を認識できるのか比較しました。

 

結果

薬物 喫煙者 非喫煙者
たばこ 7.4 10.2
たばこ
無関連
9.15 9.25

 

喫煙者は、ぼやけたたばこ関連の写真を
いち早く認識しました。

このように、依存症ではいろんな刺激を
薬物とすぐに結びつける特徴がみられます。

 

このような特徴は、学習理論でも見られますね。
学習理論と依存症についての記事は、まだあります。
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

*まとめ*

  • 認知機能は、目標に向かって行動するために必要な能力
  • 依存症では、認知機能に変化が生じている
  • 依存症では、薬物関連の刺激に視覚・聴覚レベルで
    注意が向きやすい。
  • 依存症では、依存症関連の刺激に反応しやすく
    抑制力が弱まっている。

 

*記事関連のおすすめの本*

「ファスト&スロー (Thiking fast & slow)」

これは、かなり売れた心理学系の本の一冊だと思いますね。
(上)と(下)があります。

確か、この著者はノーベル学賞とってましたね。

直感とはなにか、かつ論理的でゆっくりな思考等も含めて
認知バイアスをかなり上手にかみ砕いています。

認知バイアスは、依存症において重要になります。

ぜひ、購入して読んでみて下さい。

 

【運動・筋トレ依存症】依存症に発展しやすい運動

*運動依存症にないやすい運動の種類*

近年、何に対しても依存症化させる傾向が多い印象があります。

その1つの例として運動が挙げられます。

今回の記事は、運動依存症の有無・依存性が高そうな運動
についての記事です。

 

運動のような、行動に対する依存(行動嗜癖)についての記事があるので
まだ、読んでない人はぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

*運動依存症*

運動の利点は、すさまじい量のエビデンスが蓄積されています。

ただ、運動の利点を得るための基準として
よく言われている、最低の運動量の目安は

  • 1週間で2時間30分の中等度の有酸素運動
  • 1週間で1時間15分の高等度の有酸素運動
  • もしくは、これら2つの組み合わせ
    (UDHHS, 2008)

さらに、これらの基準よりも多い運動は
運動の量に比例して、運動の利点をさらに強化・追加されます
(Costa et al., 2012)

要は、運動すればするほど良いということですね。

 

また、依存症の回復の一助として
運動も注目されています。
運動と依存症についての記事もあるので、
ぜひ、読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 

 

ただ、運動における注意点は
過剰な運動によって悪影響が発生したときです。

 

事実、運動は時々強迫観念的になり、依存症になると言われています。
(Hausenblas & Giacobbi, 2004; Vaele, 1987)

そして、他の行動嗜癖の診断基準を運動やスポーツに対して同様に応用され
運動依存症と呼ばれることがあります。
(Marquez & De La Vega, 2015)

 

行動嗜癖に対する診断基準や
どのような行動の特徴を依存症とするのかについての記事があるので
気になる人は、ぜひ読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 

 

実際に運動依存が、どんなネガティブな結果を導くのか
以下のことが言われています。

  • 身体に対する傷害
  • 社会的疎外
  • 運動を中断することによる
    心理的緊張状態
    (Di Lodovico et al., 2018)

よく聞く例は、
サイクリストが、凍っている道でも
自転車に乗って練習して、滑って大けがですね。

普通なら、練習をするべきではないのに
練習をしていないことで、不安になり
つい練習をしていまい、大けがをする。
なんか、依存症と似ている点がありますよね。

 

*運動依存症の有無*

実際に、どれほどの人が運動依存なのかは
非常に結論が出しにくくなってます。

理由としては、4つほどあります。

  • スクリーニングツールによって結果が異なる(Griffiths et al., 2015)
  • 調査集団の選定
    (Cunningham et al., 2016)
  • 運動の種類(De La Vega et al., 2013)
  • 専門用語の定義の問題(Noetel et al., 2017)

という感じで、割と運動依存に関して
なかなか結論が出しにくい状態です。

 

ただ、それなりに
ちゃんと妥当性や信頼性があるスクリーニングテストがあるのも事実です。

  • Exercise Dependence Scale (EDS)
    (Hausenblas & Downs, 2002)
  • Exercise Addiction Inventory (EAI)
    (Terry et al., 2004)

ただ、残念ながら日本語版の妥当性や信頼度についてはまだ調べられていないみたいなので
論文を見つけ次第、追加します。

ただ、一応英語版を軽く翻訳して
どんなことが問われているのか解説します。

 

EAI スクリーニングテスト*

これは、割と簡単ですぐできることで
有名なスクリーニングテストです。

6つの項目があります。

  • 顕著性
  • 論争
  • 感情の変化
  • 耐性
  • 離脱症状
  • 再発

それぞれの質問に対して
1-5で答える(1は強く反対;5は強く同意)

合計の点数が24点以上だと、
運動依存においてリスクがある状態と言われています。

また、12-23点では
運動依存の症状があらわれている状態と言われています。

 

もちろん、日本語版のものではないので
皆さんは、以下の質問で24点以上でも
あまり振り回されないように気を付けてください。

 

EAIの質問票 (勝手に翻訳)*

  • 運動は、人生において一番大切なもの
  • 家族や友達との間で、運動量についての論争がある
  • 自分の感情を変えるために、運動を行う
  • 運動の量が増加している
  • 運動の予定を逃すと心配になる
  • 運動量を減らし、再び運動を始めると
    気づいたらもともとの運動量に戻ってる。

割と、他の依存症と似たようなこと聞いていますね。

ちなみに、私も運動していますが
EAIの点数は15点です。

内訳

  • 顕著性   ー 3点
  • 論争    ー 1点
  • 感情の変化 ー 1点
  • 運動量   ー 5点
  • 離脱症状  ー 1点
  • 再発    ー 5点

一応、運動依存の症状が出てきている状態ですね。
まあ、あくまで診断ではなく簡易的なスクリーニング検査なので
私自身が、運動依存症なのかは疑問ですね。

 

*運動依存のリスクが高い運動の種類*

いろんな運動がこの世の中存在します。
ボールをつかったり、走ったり、筋トレしたり、ヨガしたり。

また、運動が与える利点も運動によって異なったりもします。
そして、運動の種類によって運動依存の割合も異なります

 

依存症の治療の補助的な役割をする可能性がある運動ですが
せっかく、他の依存症から回復するために
運動をしているのに
運動に依存してしまい、体を壊すことは
本末転倒な気もしますよね。

 

実際に、どんな運動が依存症になりえるリスクが高いのでしょうか。

Di Lodovico et al. (2019)の
ステマティックレビュー(信頼度が一番高い)の結果を観てみましょう。

結論

EAIのスクリーニングテストの結果*

  • 特に、忍耐を必要とする運動長距離走・マラソン・サイクリング、スイミング、トライアスロン)が最も運動依存の割合が高い(14.2%)
  • いろんな運動の混合(チームスポーツのようなボールゲーム)の運動依存の割合は、忍耐力を必要とする運動より低い(10.4%)
  • 健康やフィットネスレベルの運動(フィットネスセンターで提供される多様な運動プログラム)の運動依存の割合は、8.2%
  • 最も運動依存の割合が低いグループは、
    筋トレのようなパワーリフティング・ボディビルで、6.4%
  • 一般人口の運動依存の割合は、3.0%

 

しかし、もう1つの運動依存のスクリーニングテスト(EDS)では
若干異なった結果が出ました。

運動依存の割合が高いグループから列挙します。

  1. ボールを使ったスポーツのアスリート
    (15.3%)
  2. 筋トレ 
    (10.7%)
  3. 健康・フィットネスレベルの運動
    (6.0%)
  4. 忍耐力を必要とする運動
    (3.5%)
  5. 一般集団
    (3.5%)

これらの結果をみると
スクリーニングツールによって大きな差が出てますよね。
特に、忍耐力を必要とするランニング等は
EAIでは、14.2%
EDSでは、3.5%の運動依存が報告されています。

という感じで、運動依存はまだまだ
研究の余地がたくさんあります。

 

ただ、この研究の結論では
現時点では、EAIのスクリーニング検査のほうが
より適切だと締めくくっています。
その理由として、単純に多くの運動依存のリスクを抱えている人を発見することができるためです。

 

今後、依存症の回復の一助として運動をする場合運動依存を考慮した方
がいいのかもしれませんね。

 

*まとめ*

  • 過剰な運動は悪影響を与える
  • どんな運動も、依存症になりえる
  • 特に、忍耐力を必要とする運動(マラソン・サイクリング・水泳)は
    運動依存の割合が一番高い。
  • 運動依存症の有無は、結論が出せていない
  • 依存症の回復の一助としての運動は、運動依存を考慮した方が
    良い可能性がある。

 

*記事関連のおすすめの本*

スタンフォード式人生を変える運動の科学(They Joy of the Movement)」

私自身は、英語版を読みましたが
日本語版があるので共有します。

サクッと値段みたら、日本語の方が全然安くていいな。
ケリー・マクゴニガルさんは、かなり有名な著者ですね。

スタンフォード系のシリーズの本を何冊も出してます。
本人は、そんなタイトルつけてませんが(笑)。

一言でいうと、「幸福と運動」の仕組みを
解説してくれてます。

ぜひ、購入して読んでみてください。

英語版

 

 

依存症のストレス・ドーパミンバランス【アロスタシス】

 

人間の優れた能力が仇になる

 

ストレスが依存症の発症・維持・再発に影響を与える可能性が
動物を使った実験で示唆されています。
これらを理由に、ストレスが様々な依存症の理論の発展に役立っています。

この記事では、その中の理論の一つを取り上げます。

まだ、ストレスと依存症についての記事を読んでいない方は
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

*ストレスを考慮した依存症*

ざっくり羅列すると6つほどストレスが関係している理論がありそうです。

  • Tension reduction (緊張=ストレスを減らす)
  • Self-medication models (ストレスが理由で薬物摂取)
  • Relapse prevention (再発防止)
  • Disease model (依存症=病気 モデル)
  • Alcoholics Anonyomus (アルコールアノニマス
  • Preclinical models (Koob さん、Kreek さん、LeMoal さん)
    (前臨床段階の依存症モデル)

日本では、どのように呼ばれているかはわかりませんが
アルコールアノニマスは有名ですよね。

 

この記事では、最後のPreclinical models でKoobさんの理論を取り扱います。

簡単にこの理論を説明すると
ストレスが脳の報酬系のシステムを変えて、薬物の依存性を強化する。

なぜこんなことが言えるかというと
ストレス反応の神経回路(HPA Axis)と脳の報酬系回路につながりがあるためです。

Cleck & Blendy, 2008 を基に作成

簡易的な図をいれました。
細かい専門用語はスキップしますね。

大事なことは、ストレス反応と報酬回路に関わりがあることです。

 

*ストレスに対する適応と報酬系

我々の体には、便利な機能がたくさんあります。
その1つが適応です。
なにか、変化がおきるとその変化を打ち消そうと
反対のことをして体を適応させます。

たとえば、どんな環境においても
体温は一定に保つために体は外部環境に適応します。
恒常性(ホメオスタシス)と呼ばれていますね。

似たようなことが、ストレスと報酬系にも起きます。

 

そして、ストレス・ドーパミン報酬系)の変化と適応を考慮した理論が
上記で挙げたKoobさんの理論です。

基本的なこの理論のポイントは2つあります

  • 初期のポジティブな感情や効果を得るための薬物摂取は消失する。
  • 長期の薬物摂取は、ネガティブな感情を取り除くための薬物摂取に導く

この最初の1点目は、他の理論でも考慮されていますね。
その理論の記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 

そして、この理論の注目点は
2点目の項目です。
ポイントとしては、長期の薬物使用によって
体は薬物摂取に適応しようと体を変化させます。

最終的に、新たな基準を体に作り出し
その基準が、依存症を依存症らしくする
原因として考えられています。

そして、この適応にストレスとドーパミンが関わってきます

 

*アロステイシス*

先ほど、触れたホメオスタシスがありますが
体には、アロステイシスという
ホメオスタシスと似たような機能があります。

 

*アロステイシスの定義*

  • 動的なプロセスで、日常の現象による変化の影響を受けるホメオスタシスを維持するための体の反応
  • 変化を起こすことで、体の安定を維持する。(ホメオスタシスの代わりではない)(Sterling & Eyer, 1988)

そして、この機能に負荷をかけるものがストレスです。

 

要は、体の何かを変化させて
体の重要な機能を一定に保とうとするのが
アロステイシスであると。

ただ、過剰なストレスがかかると
アロステイシスの機能に負担が過度にかかり
体のバランスが崩れてしまいます。

依存症は、ストレスとほぼ隣り合わせなので
薬物使用によるストレスが過剰なストレスになり
体に不具合が発生しそうですよね。

 

ホメオスタシスとアロステイシス*

この2つは、若干違いが分かりにくいので
詳しく説明する前に
サクッと違いを説明します。

 

ホメオスタシス

  • 正常の基準
  • 生理学的な平衡
  • 需要の予測はない
  • 過去の経験を考慮した調整はない
  • 調整にコストはかからない
  • 病気的でない

*アロステイシス*

  • 変化した基準値
  • 代償された平衡
  • 需要の予測を伴う
  • 過去の経験を考慮した調整
  • 調整にはコストがかかる
  • 病的になりえる

これらからアロステイシスの特徴が見えてきますね。

アロステイシスでは、過去の経験や需要の予測を伴い
基準値をコストをかけてでも変化させ、安定を確保する。
そして、病的な基準を作り上げることもある

この、特徴がどのように依存症に関わるのか
Koobさんの理論で説明していきます。

 

*依存症の経過(Koob理論)*

Koobさんは、依存症初期においては
薬物摂取のポジティブな効果が重要であると言っています。

しかし、このポジティブな効果(幸福等)を得るための薬物摂取は
長期的な薬物摂取により、消失すると考えられています。

その代わりに、ネガティブな要素を取り除くために薬物摂取がみられるようになります。

Koob, 2003 を基に作成

要は、依存症初期では
薬物の使用によって得られるポジティブな影響(幸福・快楽)を求める
衝動的な行動が薬物摂取を強化する。

これを、学習理論では正の強化。
=報酬がもらえるから、再び同じ行動をとる

 

しかし、依存症が進み
長期の薬物摂取により、体に悪影響が現れます。
それが、ストレスや不安です。
この負の感情を取り除くために、今度は薬物摂取をします。

これを、負の強化と言います。
=罰を受けたくないために、再び同じ行動をとる。

 

そして、この負の強化に
ストレス・ドーパミンに対する適応(アロステイシス)がみられます。

学習理論と依存症についての記事もあるので
ぜひ、読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 

*薬物摂取とドーパミンシステムの適応*

基本的には、大抵の薬物はドーパミンに作用します。

そして、体の薬物摂取への適応は
ドーパミンが作用する報酬系のシステムの機能を下げます

なぜなら、薬物によりドーパミンがたくさんでるため
その過剰なドーパミンに対応するため、
報酬系の回路の機能を下げて対応します。

そして、長期の薬物摂取によって
この報酬系の機能低下は維持されて
新たなドーパミンシステムの基準を作り上げます。

ここに、アロステイシスが関わっていますね。

薬物摂取による、過剰なドーパミンに対応するため
報酬系の機能を下げて
次の薬物摂取による変化に対応して、一定を保とうとする。

 

依存症とドーパミンについての記事もあるので
ぜひ、読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 

 

*薬物摂取の報酬と離脱症状(快楽)*

先ほど、ほとんどの薬物がドーパミンシステムに作用することを説明しました。

ほかにも、薬物はいろんな情報伝達物質に影響を与え、
感情や快楽感に影響を与えます。

 

ざらっとそれぞれの薬物に対する
情報伝達物質を並べます。

そして、これらの情報伝達物質と快楽の関係があります。

 

*快楽度上昇*

よって、基本的に薬物を摂取すると快楽を感じるわけです。

 

逆に、これらの情報伝達物質が不足すると
感情に対して、逆の効果が出てきます。

*快楽減少(離脱症状)*

そして、これらの情報伝達物質は長期の
薬物使用によって体が過剰なドーパミンセロトニン等に対応しようと
これらの物質を減らすため、薬物摂取なしでは
これらの情報伝達物質は不足してきます。

*アロステイシスと依存症*

長期の薬物使用によって、
体がそれらの変化に適応しようと変化を起こすことが分かったと思います。

つまり、アロステイシスは
報酬系の機能の安定を維持するために
報酬系回路とストレスシステムを変化させて
対応していることになります

ただ、この変化は正常な報酬システムからの
慢性的な逸脱を引き起こします。
これが、依存症=慢性的な病気を支える理論になってますね。

 

実際にどのように、快楽度の基準値がずれ
報酬系・ストレスシステムの適応が行われるか
Koobさんがきれいにまとめた図があります。

快楽度の平衡と平衡因子(Koob, 2001 を基に作成)

上記の図は、基本的な快楽感の基準と
その基準値を取り巻く要素です。
ドーパミン等が上昇すると快楽度が上昇し
ストレスホルモンが上昇すると快楽度が減少します。

 

そして、長期の薬物摂取によって
この平衡バランスの基準値がずれます

長期薬物使用による基準値のずれ (Koob, 2001 を基に作成)

上記の図のように、長期の薬物使用により
薬物摂取による過剰なドーパミン等を体が予測し、
今後の薬物摂取の影響を考慮し、
ドーパミン等の機能を低下させて
新たな基準値を作り上げます

 

また、気分を上昇させる薬物と反対の効果を持つ
ストレスシステムは、過剰な高揚感を打ち消すために強化されています。

 

そのため、常に快楽度の基準値が正常より
下に位置しています。

それが故に、長期の薬物使用は負の強化によって
薬物摂取が促されています。
つまり、幸福度を得るための薬物摂取ではなく
離脱症状から逃れるために薬物摂取をしていることを示唆しています。

 

このように、体は薬物摂取の経験を基に
将来の体への変化を予測し
それに対応しようと体を変え、新たな基準値を作り上げます。

しかし、この新たなストレスとドーパミン平衡の基準値は
薬物ありきの基準値です。
そのため、薬物なしではホメオスタシスを保てなくなるため
常に薬物を欲してしまうのが依存症である。
そのような理論になっていますね。

 

*まとめ*

  • ストレスを考慮した依存症の理論は多い
  • ストレスと報酬系回路は密接な関係がある
  • Koobさんの理論はストレスを考慮してた理論
  • 長期の薬物使用は、新たな基準を作り出し
    体が薬物摂取に適応する。
  • 報酬系とストレスシステムを変化させ
    薬物摂取に適応する
  • 適応の結果、ストレスは増強され
    快楽伝達物質は抑制される。
  • 適応の結果、薬物なしでは気分・感情の平衡を保てない=依存症

 

*記事関連のおすすめの本*

「残酷な進化論」

 

進化は、割といい意味で使われがちですよね。
ただ、進化をすることで失ったものや不都合なことが起きることもあります。

依存症と似てますよね。
一生懸命体は、薬物摂取に適応しようとした結果
薬物摂取なしでは生きづらくなってしまうのが依存症です。

依存症とは、少し離れたお話ですが
視野が広がる一冊だと思います。

ぜひ、購入して読んでみてください。

【インターネット依存の原因は親⁉】子育てと依存症

SNS依存と子育ての関係*

科学の進歩で、いろんな便利なものが世にあふれています。

そして、SNSは今やほとんどの人が
利用しているサービスで
過剰なSNS使用によりSNS依存になる人が
報告されてきました。

この記事では、子育てとSNS依存について話します。

ただ、この記事では
スマートフォンを持たせる持たせない等の
子育ての話ではなく、
親と子供の関係性から、依存症を見ていきます。

今回のおすすめの本は、やっと翻訳されて
日本で、販売されたようです。

 

英語版です。記事の最後に日本語版があるので
チェックしてみてください。

 

*インターネット利用*

インターネットの使用は、もうすでに
至る国で当たり前になっていますね。

特に、インターネット使用は
青年期や若年層で目立ちます(Kuss et al., 2014)。

そして、いつまにかに
SNS依存症の可能性が示唆され始めました
(Kuss and Griffiths, 2017)

実際、どのくらいのSNSを使用しているのでしょうか。
推測では、1日135分と言われており、
この数字も年々と増加しています。
(Statista, 2017)

1日、2時間以上もSNSを利用していることになりますね。

SNSの使用時間が
過剰になっている可能性はありそうですね。

 

SNS依存症*

SNSは、典型的な薬物の依存とは異なり
行動嗜癖のグループですね。

ただ、まだSNS依存症は
正式には依存症と認められてはいませんね。

しかし、いくつか依存症としての共通があります。

 

*他の依存症とSNS依存症の共通点*

  • 過剰な使用が望まない結果を引き起こす(Griffiths et al., 2016)
  • 若い人グループが多い(WHO, 2011)
  • 衝動的な行動がみられる
  • SNS以外の活動に興味を無くす
  • SNS使用をやめると身体的・精神的な症状が現れる
    (Soper and Miller 1983)

薬物依存と非薬物依存(行動嗜癖)の共通点についての記事があるので
もっと詳しく知りたい人は、ぜひ以下の記事を読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

以上のように多くの薬物依存とSNS依存に共通点がみられます。

そして、実際にSNS依存と認められる
チェックリストがります(Griffiths, 2005)。


SNS依存の6つのチェックリスト*

  • 顕著性
    SNS使用が生活で一番重要なものになる
  • 感情の調整
    SNS使用によって、自分の感情を保ったり、維持する
  • 耐性
    SNS使用が増えて、満たさせるまで長時間の使用が必要になる
  • 離脱症状
    =身体的・精神的な症状が、SNS使用の中止や減少により引きこされる
  • 再発
    SNS使用をやめた後も、再びSNSの使用の傾向

そして、よく頻繁に議論される
SNS依存のリスクは性格が挙げられますが
実際は、まだ結論を出すことが難しいようです。

そして、注目されているのが
アタッチメントスタイルとインターネット依存・SNS依存です。

 

*アタッチメントスタイル*

この理論はBowlbyさんが1958年に提唱しました。

日本では、愛着スタイルと呼ばれているものです。

 

*アタッチメントスタイル(愛着スタイル)の定義*
ー 子供がもつ、一番最初かつ一番大切な養育者との関係 ー

要は、子供が生まれて初めてもつ対人関係ですね。
そして、その相手が親であることが多いですね。

 

もともと、この愛着スタイルは
生存(食料・安全等)のために必要と考えられていました。
(例:泣いたりして空腹を伝える。)

実際は、幼児と親の感情的つながりの発展は
生存目的以上の役割があり、
それは、愛・愛情・承認をを求めているということです
(Weinraub et al., 1977)

それが故に、我々人類は
社会的な生物で、人間関係を直感的に求める傾向がある
(Schaffer and Emerson, 1964)。

 

そして、この愛着スタイルには
いくつか種類があります。

 

*愛着スタイルの4つの型*

  • 安全型(secure attachment)
    =親と離れると泣き、再開すると喜び、落ち着く。
    =お互いのやり取りが取れている
    原因:親は、子供サインにしっかりと反応

  • 回避型  (Insecure avoidant)
    =親を追いかけも泣きもせず、自立している。再開時も、目をそらす。
    原因:親が子供のサインに反応していない。子供が泣いているときに、叱る・避ける

  • 不安型  (insecure-ambivalent (anxious))
    =親と離れると混乱し、再開後はべったりとくっつき、親を攻撃する。
    原因:親が自分の都合優先で子供と関わる。子供のサインを見逃す。=子供は不安定で、一貫した行動がとりにくい。

  • 無秩序型 (disorganized and sismissing)
    =親と離れることに問題はないが、再開時は、目を合わせず近づいたり離れたりする。
    原因:虐待による、緊張感のある親子関係

そして、この愛着スタイルは子供の時にも重要ですが、
成長しても、密接な人間関係との間で同様の
愛着スタイルに依存した反応をみせる。

また、愛着スタイルは内的作業モデル
(Internal working model)
=自分や他者の解釈に使用するモデル
=人との接し方を決めるモデル
を形成するのに役立ち、
それぞれの愛着スタイルによって、
モデルが変わる(Bowlby, 1988)。

 

つまり、親の子育ての仕方・しつけ(幼児と養育者との関係)が
愛着スタイルに影響をあたえ、
将来の人間関係の構築の骨組みにもなります。

 

子育てと依存症について
もっと知りたい人には、以下の記事もおすすめします。

 

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 

*依存症は愛着障害

愛着障害は、人間関係の構築方法に影響を与えるだけでなく
感情制御にも影響を与えます(Flores, 2004)。

要は、愛着スタイルによって
自分の感情をコントロールすることができたり、できなかったりします。
そして、感情をコントロールできない場合は
我々は、外部因子に頼って感情の安定化を保とうとする(Kohut, 1971)。

ということは、もしかしたら
外部要因(薬物・SNS)に頼って、感情をコントロールする可能性
愛着スタイルによって見分けられそうですね。

 

そして、安定型の愛着スタイルと
依存症には負の関係があります(Flores, 2004)

つまり、健康な愛着スタイルを持っていると依存症になりにくい

これらも理由に、
Floresさんは依存症を愛着障害だと言いました(2004)。

 

実際に、
若年層の愛着スタイルと薬物摂取との間に強固な関係があります
(Becone et al., 2014)

なので、子供にとって家族との関り方が生活の中のストレスに対する
処理能力に影響を与えています
(Mikulincer and Shaver, 2007)。

 

*子育ての仕方と子供への影響*

子育てが、依存症に影響を与えそうな
雰囲気が出てきましたね。

実際、どうして依存症と子育てとの間に
関係があるのか
いくつかメカニズムが考えられています。

 

安定型愛着スタイルでは、しっかりと子と親との関係が作れています。

愛情を感じ、親にいろんなサインを出します。
そして、親は敏感に感じ取りしっかりと受け答えをします。

 

もし、このような経験や関係を一番最初かつ重要な親子関係で
築くことができないと、対人関係に親密さを感じることができません

一番安全であるはずの親子関係で、親密さを気づけない子供は、
何か心にぽっかり穴が開いたような感覚になります。

そして、子供たちは親以外の外に意識を向け始め
親が関わらない外の世界で、彼らのぽっかりと開いた穴を埋めようとします

 

そして、その例の1つが薬物です。
親密さを感じることが親との間にできず、
親と関係のない世界で、自分を満たしてくれるものを探します
(Flores, 2004)。

薬物は愛着のない不安定な親子関係とは、
現実(愛情のない世界)離れした感覚与え、薬物が安全な場所になります
(Hofler and Kooyman, 1996)。

なぜなら、
薬物を使用する度に、親から与えられなかった
安心や感情の高揚を子供にあたえるからです。

 

そして、この愛着スタイルから薬物使用の流れは
非薬物でも同様のことが起こると考えられています
(Estevez et al., 2017)。


つまり、子供が親と関係を上手に作れないと
その不満をSNSのような活動で
足りない愛情等を埋めようとする可能性がある(Flores, 2004)

実際に、回避型と不安型の愛着スタイルは
薬物・非薬物依存のリスクとなってます
(Valizadeh et al., 2017)

 

*愛着スタイルとSNS依存*

ここからが本題です。
実際に、SNS依存は子育てによる愛着スタイルが関係しているのか。


D'Arienzo et al. (2019)のシステマティックレビュー(一番信頼度が高い)では、
回避型・不安型の愛着スタイルとSNS依存(重度のSNS使用・深夜のSNS使用・長時間使用・ネガティブな感情に依存したSNS使用・)
との間に関連がみられました。

他にも、子育てによって影響を受けた
愛着スタイルを持つ子供(回避型・不安型)は
SNS使用による、承認欲求・安らぎを求める行動・周りからの注目を求める行動
関連がみられました。

 

逆に、安定型の愛着スタイルは
SNS依存・インターネット依存に対して、
予防的な要素となる。

 

つまり、親との関係で得られなかった
心の安らぎ・愛情・承認・注目を
得るために、子供たちはSNSを使用する。

そして、SNS依存・インターネット依存に
なる子供が出てくる可能性が上がるとこが言えそうですね。

また、しっかりとした子育てをし
安定した愛着スタイルを獲得できれば
健全にSNSを使用できる可能性もありそうですね。

 

*まとめ*

  • インターネット利用時間は年々増加
  • SNSは行動嗜癖になりえるほど、
    依存症としての共通点がある。
  • 愛着スタイル(子供と親の関係=子育て)が
    人間関係に基礎になる
  • 依存症は、愛着障害
  • 不安型・回避型愛着スタイルは
    インターネット依存・SNS依存と関係がある
  • 安定型愛着スタイルは、インターネット・SNS依存の
    予防因子となる。
  • 親は、子供のサインを見逃さず
    愛情・安らぎを与えるような子育てが
    子供の将来の依存症の可能性を下げる可能性がある。

 

*記事関連のおすすめ本*

「生き抜く力をはぐくむ 愛着の育て方」
(The power of showing up)

 

 

日本では、やっとこの本が販売されたみたいですね。
2022年5月26日販売がAmazonでされたようです。
私が、今現在Amazon見た限り
だれもまだレビュー書いてませんね。

私は、いつも通り英語で読んだので
翻訳者の腕次第ですが
英語版は、かなり評判が良いです。

基本的には、親の存在がどんな子供になるか影響を与え、
脳の発達にすら影響を与える。

そんなことを聞くと、すごい責任を感じると思いますが、
この著者は、「完璧な親はいない」
そんなメッセージと愛着スタイルの知見を使用し、
子育てを紐といています。

ぜひ、購入して読んでみてください。
そして、最初のレビューを書いちゃってください。

また、この著者のダニエルさんは
かなり多くの子育ての本を書いています。
気になる人は、ぜひチェックしてみてください。