スマートに依存症から回復しよう。依存症自助グループ【SMART Recovery】依存症治療
依存症治療として、
自助グループの12ステップが特に有名ですが
上手く12ステップと自分の体験が
関連付けられたり、解釈ができない人がいます。
しかし、12ステップと比較して
割と最近の自助グループの依存症治療の
選択肢があります。
日本語で調べると出てきませんが、
「SMART Recovery」と言います。
もし、日本語で知っている人がいたら
名前教えてください。
ということで、解説していきます。
12ステップについて、
まだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてください。
*SMART Recovery*
SMART Recoveryの「SMART」は、ある言葉の頭文字の
組み合わせになっています。
- S - Self
- M - Management
- A - and
- R - Recovery
- T - Training
上記の言葉を並べると
Self-Management and Recovery Trainingですね。
直訳すると、「自己管理と回復のトレーニング」ですね。
SMART Recoveryは、1994年に
アメリカで作られました。
基本的に、非営利・非宗教的団体によって運営されています。
特に、アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリスで行われていますね。
依存症研究が進んでいる国がざらっと並んでいますね。
12ステップ同様、
SMART Recoveryも、お互いに助け合いをするミーティングで
オンライン・対面のどちらでも行えて、
物質依存・行動嗜癖の依存の回復を手助けします。
SMART Recoveryは、エビデンスを基にした心理学的テクニックで
構築されており、それらの情報はすべて
ネット上に公開されています。
英語ができる人や、ページ丸ごと翻訳すれば
皆さんも情報が集められます。
そして、SMART Recoveryの良い点は
心理学テクニックが常にアップデートされる点です。
なので、新しい情報が出るたびに
より良いものへと作り替えていっています。
この点は、12ステップと明確な差になっていますね。
*ミーティング*
SMART Recoveryは、
オンライン・対面のミーティングによって行われますが、
基本的には、トレーニングを受けた
ファシリテーターの元に運営されます。
このファシリテーターは、団体と提携している
グループファシリテーターのプロか、
依存症回復のコミュニティー参加者で
ファシリテーションのトレーニングを受けた人の
どちらかによって、行われます。
特に、この後者が大切で
自分が良かったもの・してもらったことを
他の人に還元するという信念を作り上げるうえで
非常に重要になってきます。
参加者は、基本的には
SMART Recoveryが、役に立つと感じている限り
好きな時に好きなだけ参加してもらい
参加期間の縛りや約束事もないです。
ただ、約束事として
自分自身を「依存症者」とラベル付けすることは
避けてもらいます。
依存症者のラベルは、SMART Recoveryでは
回復の妨げになると考えられています。
*4つのプログラム*
SMART Recoveryには、4つのポイントがあります。
- モチベーションの形成と維持
- 衝動のコーピング
- 思考・感情・行動のマネージメント
- バランスの取れた人生を過ごす
これらの4つのためのアクティビティが
たくさんあります。
そして、SMART Recoveryのアクティビティは
動機付け面接法・Motivational Enhancement Therapy・
Rational Emotive Behaviour Therapy・リラプスプリベンション・
認知行動療法で使われるような
テクニックやアイディアが基礎になっています。
すべて紹介できないので、
1つ選びますね。
動機付け面接・認知行動療法・リラプスプリベンションの
記事があるので、ぜひ読んでみてください。
*ABCs*
紹介するのは、上記の4つのすべてのポイントに
有効と考えられているものです。
以前、認知行動療法で紹介した
ABC Formと似ているのですが
若干異なります。
ABCsは、「Rational Emotive Behavioral Therapy (REBT)」という
認知行動療法の一種の治療のエクササイズです。
日本語だと、「論理情動行動療法」と言います。
心理学を知っている人は、聞いたことあるかもしれませんね。
このREBTは、非常にシンプルかつ
十分に効果的で
誰にも使えるよねって言われています。
基本的には、問題を引き起こしているだろう
思考・信念を分析・評価します。
その結果、自分の非論理的な思考を止め
それらによる自分へのダメージを防ぎます。
これらを行うためのワークシートがあります。
もうすでに、例を書き込みました。
- A ー 何か悪い出来事
- B ー 出来事に関連した自分自身の思考
(自分自身・他人・人生に対する思考) - C ー Bの思考によって起きる結果。
- D ー Bの思考に対して反論
- E ー より論理的な思考をもってAに対する反応を変える。
我々は、Aの出来後を変えることは
なかなか難しいです。
また、DとEのような思考のステップを踏まず
BとCのネガティブなループにはまってしまいがちです。
ただ、私たちはBの思考を変えることができ
その結果、Cの結果を変えることができます。
そのために、DとEで
自分自身の思考に疑問を投げかけ
より論理的な思考を手に入れるのが
このエクササイズの目標です。
他のエクササイズも
順次紹介していきますね。
*オンライン?対面?*
SMART Recoveryの良い点は、オンラインでも行う点ですね。
場所や時間の制限・金銭面等の制限も
受けにくいですよね。
ただ、オンラインで意味があるのか
疑問ですよね。
実際、最近の臨床実験では
アルコールに関しては、
オンライン・対面どちらも
治療の3か月・6か月後も
同じだけ飲酒を減らしました。
(Campbell et al., 2016; Hester et al., 2013)
ただ、オンラインと対面を組み合わせて行っても
特に追加で良い効果がみられたわけではありません。
なので、どんな形であれ
行う内容が正しければ、
同じだけの効果が見込めそうですね。
オンラインでも効果が出せる点については、
他の治療法と比較して
優位性があるのがSMART Recoveryですね。
*まとめ*
- 自助グループは、12ステップだけでなく
SMART Recoveryもある。 - SMART Recoveryは、エビデンスに基づいた
心理学テクニックの集合体。 - SMART Recoveryは、4つの焦点がある。
(モチベーション・コーピング・マネージメント・ライフバランス) - オンラインでも対面同様の効果が期待できる。
もし、SMART Recoveryを日本でもやりたいといった
需要があれば、連絡ください。
もし可能なら、SMART Recoveryのトレーニングを
私がして、日本でもしていいのか連絡とったりして
確認取ります。
*記事関連のおすすめの本*
「SMART Recovery User Guide」
もちろん、SMART Recoveryの利用者のための本を紹介します。
英語ですが、私が記事を作る前に知りたい人は
ぜひ、購入して頑張って読んでみてください。