CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

依存症治療の最前線を走る認知行動療法 

*認知の歪みと問題行動を変える*

 

依存症を不適合な学習とすると
行動療法が治療として候補になります。

 

他の治療法の中には、
この行動療法と精神機能を統合した
治療法が存在します。

 

詳しい人は、見当がついているかと思いますが
認知行動療法(Cognitive Behaviuor Therapy (CBT)」
ですね。

 

非常に知名度が高い治療法ですので、
私より先に詳しく説明している人がいると思うので、
CBTの詳しい話は、飛ばしていきます。

 

また、行動療法についての記事もあるので
まだ読んでいない人はどうぞ。

 

curiousquest.hatenablog.com

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curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*CBT*

名前からわかるように、
CBTは行動療法と認知療法を統合した治療
になっています。

 

 

行動療法は、刺激と反応に着目したもので
依存行動を引き起こす刺激に対して
新たな反応(適切な行動)を学ぶことが
目的です。

 

そして、
認知療法は認知の歪みを焦点
より柔軟な思考を手に入れることが
目的になっています。

 

ただ、我々はそんなに単純なわけでは
ありません。

 

たとえば、
携帯を落として画面が割れたから(刺激)、
悲しい(反応)とします。

実際は、そんな単純ではなく
人によっては嬉しいわけです。

 

アメリカでは、新しいiPhoneが出ると
スマホを落とす人が急増します。

そして、スマホの画面が割れると(刺激)
喜ぶ(反応)わけです。
なぜなら、新しいスマホを買う口実ができるためですね。

 

という感じで、
同じ刺激でも反応が異なるわけです。

 

なので、刺激と反応の間に
認知という仲介があり、
刺激に対する反応の仕方に
認知は、影響を与えるわけです。

 

 

また、
行動も重要であり
行動が伴わないと
認知が変わりません。

 

例えば、自分は役立たずな人間(認知)だと
考えていたとして、
その思考が問題だと気づいて
修正したいとしても、
行動が伴わないと、
その異常な思考を
否定・修正する材料がありません。

 

ただ、行動した結果
自分が役に立つという経験を得ると
認知が変わる可能性が出てきます。

 

よって、
行動することで
認知の歪みを修正することができ
結果として、より健全な行動・認知の
獲得ができます。

 

なので、
「認知と行動の両方が大切」
っていうのがCBTの立場ですね。

 

これらを考慮すると
CBTは、どのように思考するかによって、
どのように物事を感じ、どのように行動するか
変わってくると考え

問題行動を引き起こす思考と
問題行動を変えることを
ターゲットとしています。

 

*認知の歪みにチャレンジ*

歪んだ認知と問題行動を変えるために
何をするのか。

 

出来事・思考・感情・行動のそれぞれの
繋がりを分析、解釈をすることで
認知の歪みを特定・疑問を投げかけることで
認知を変えていきます。

 

これらのための1つの道具としては
「ABC form」というものがあります。

  • A (Activating Events)
    ー 感情・信条に関連する出来事
  • B(Belife)
    ー Aの出来事、または誤った思考によって引き起こされた感情・信条。
  • C(Consequence)
    ー AとBによって引き起こされた行動・結果

ということで、
A(出来事)⇒B(感情・信条)⇒C(行動)
って感じですね。

 

たとえば、

  • A:Dさんに挨拶をしたら無視された
  • B:Dさんは自分のことが嫌いなのかもしれない
  • C:Dさんに関わるのはやめよう

みたいな感じですね。

 

ただ、
Bの感情・信条といった
Aによって引き起こされた思考に問題があると
Cの行動にも問題が発生しそうですよね。

 

 

*思考のエラー*

Bの感情・信条といった思考のエラーが
生じると行動も問題行動になることがあります。

 

思考のエラーにはいくつか例があります。

  • Catastrophising (破局思考
  • Inflexible thinking (非柔軟な思考)
  • Overgeneralising (過剰般化)
  • Making assumptions (推測)
  • Positive or Negative perception bias
    (ポジティブバイアス・ネガティブバイアス)
  • Personalising (個人化)
  • Low frustration tolerance 
    (低欲求不満耐性)

 

もっとたくさん認知バイアスがあるので、
調べてみてください。

 

ABC Formによって、
体系的にABCを分析・評価することで
これらの思考のエラーに疑問を投げかけることで
よりよい、健全な思考が手に入ります。

 

先ほどの例では、
挨拶して無視されたから、
Dさんは、自分のことが嫌いだと思った場合は、
破局思考と推測による思考のエラーがありそうですよね。

もしかしたら、
Dさんは自分に気づかなかっただけかもしれませんし、
忙しかっただけかもしれません。


その場合、Cのような
Dさんを避けるような行動を取る
決断には至らなかったかもしれません。

 

みたいなのを依存症でも行っていきます。

 

例えば、

A:眠れない
B:お酒を飲まないと寝れない
C:お酒を飲む

 

果たして、本当にお酒を飲まないと
寝れないのでしょうか?
ってことですね。


お酒を飲まずに寝ることができた日も
あったのでは?
それは、どんな日だったのでしょうか。

逆に、お酒を飲んで寝れなかった日が
あるかもしれません。
さらに、断酒したらよく寝れた日が続いたかもしれません。

 

といった感じで、Bの考えを否定する・肯定する
出来事を振り返ってみると
より、健全な思考が手に入るかもしれませんね。

 

ぜひ、自分が最近起きた困ったこと・門題をAとして、
BとCを分析してみてと
Aによって、引き起こされた認知の歪み・問題行動を
修正してみてください。

 

もう1つ、依存症のための
CBTに基づいたアプローチがあります。

 

それが、「Node-Link Mapping」です。

 

これは、言語化が難しい場合に使われるテクニックで、
ボックスとボックスをつなぎながら
原因・結果・イベントと関連を
視覚的にわかりやすくしたものです。

Node-Link Mapping

例は、上記のような感じです。

 

視覚的にわかりやすくすることで
出来事・感情・信条・行動・結果等の
関連が見やすくなり
問題になっている場所の特定が
簡単になります。

 

 

*CBTの効果はあるのか?*

一応、CBTは依存症治療の第一選択
として選ばれがちな治療法です。

おそらく、CBTは構成がしっかりしているので
研究しやすく、エビデンスを確かめやすいのでしょう。

 

ということで、
CBTが実際に依存症に効果があるのか
メタアナリシス(信頼度が高い)があるので
結果を載せておきますね。

 

Magill et al.(2019)のメタアナリシスでは、
CBTは、

  • 治療なし
  • 最低限の治療
  • 一般的な治療(相談・カウンセリング)

上記の3つと比較すると
アルコールを含めた薬物のにおいて以下の結果がみられました。

  • 使用頻度減少(治療初期)
  • 使用量の減少(治療初期)


しかし、
長期間の治療・治療終了後では
CBTと上記の3つと比較しても
差がなかったみたいです。

 

また、
他の依存症に尖った治療(動機付け面接・随伴性マネージメント)と
CBTを比較すると
特に差がみられませんでした。

なので、
CBTは他の治療より優れている
わけではないわけですね。

 

動機付け面接についての記事もあるので、
チェックしてみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

行動嗜癖に対するCBTも1つ
メタアナリシス紹介しますね。

今回は、ギャンブル依存症にしますね。

 

Cowlishaw et al.(2012)によると
CBTは、治療後すぐに以下の結果がみられました。

  • 病的なギャンブル減少(ギャンブルによる資金の減少)
  • 病的症状の改善(鬱・不安)

 

やはり、これらの結果からみても
CBTが依存症治療の前線を走っている
感じがしますね。

 

*まとめ*

  • 認知行動療法は、行動療法と認知療法の組み合わせ。
  • CBTは、認知の歪み・思考のエラーに
    疑問を投げかけ、より健全な思考を促す。
  • ABC FormとNode-Link Mappingによって、
    問題行動を引き起こしている
    思考・感情・信条を分析・修正することで
    問題行動を減らす。
  • CBTは、薬物依存・行動嗜癖に対して
    有効性のある治療。

 

CBTは、一応カウンセラーのもとで
行うことをお勧めしますので、
病院、もしくは個人でCBTが必要だと思ったら
試してみてもいいかもしれませんね。

また、CBTの良い点は
自分が自分のCBTのカウンセラー的なものに
慣れるので、一度やはり試す価値はあるかもしれませんね。

*記事関連のおすすめの本*

「マンガでやさしくわかる認知行動療法

最近、専門書の紹介が多かったので
サクッと、気軽に読めるものを紹介します。

CBTを本格的に知りたい人向けには
たくさん本が出版されているので、
好きなもの選んでください。
ネットでCBTを検索して、勉強するもありかと。

 

英語の本で、最初の一冊としての
おすすめは、以下の本ですね。