リラプス(依存症再発)を予防のマインドフルネス(瞑想)【依存症治療】
依存症治療で有力候補は、
認知行動療法ですが、
これは、第2世代と呼ばれており
現在は、第3世代の認知療法があり
それが「マインドフルネス」です。
前の記事で、マインドフルネスの依存症への効果は
強固なエビデンスが積み重なっていると説明しました。
まだ、読んでいない人は
ぜひ読んでみてください。
やはり、効果があるものは
ぜひ紹介したい。
とういうことで、
紹介するマインドフルネスは、
「Mindfulness-Based Relapse Prevention (MBRP)」です。
*MBRP*
このMBRPは、Bowen et al. (2010)が
認知行動的なリラプスプリベンション(再発予防)のテクニックと
マインドフルネスを統合させた
依存症のための瞑想を利用した治療法です。
認知行動療法は、心理学的な治療法で
エビデンスが高い治療法で
問題を引き起こしている認知の歪みを
変えていき
リラプスプリベンションは、
依存症の最終ゴールの再発予防を
依存行動のリスクを避ける認知・行動を学ぶ
治療法です。
この時点で、割と
MBRPが良さそうな雰囲気がしてきますね。
個人的に、この治療法の優れている点が
2つあります。
- マニュアル化
- 構造化
この2つによって、エビデンスを積み重ねやすく
他の人が同様に行っても、
同じだけの効果が期待できそうですよね。
認知行動療法とリラプスプリベンションの記事もあるので、
気になる人は、ぜひ読んでみてください。
*MBRPのゴール*
MBRPを通して、
目指しているゴールが2つあります。
- 依存行動の引き金への「気づき」を養う
- 不快な感情・認知・身体経験を
自動的にその場を逃げたり・避けずに
向き合う。
(Bowen et al., 2014)
依存症を考慮したマインドフルネスっぽい
ゴールですよね。
引き金への気づきについては、
自分の内部(感情・思考)と
外部(環境)の引き金の
どちらについても気づきを養います。
また、依存行動をしたくなっている状態で
(ネガティブな感情・認知の歪み・身体症状)
依存行動を求めずに、
その事実に意識的に考え
向き合うことを目指していきます。
依存症の引き金と聞くと
やはり、リラプスプリベンション的な
雰囲気がしてきますね。
また、ネガティブな感情や認知を組み込んだ
依存症の理論があるので
合わせて、読んでみてください。
*MBRPの概要(時間と回数)*
MBRPの全体像をつかむために
概要を説明します。
- 基本的には、グループセッション
- 8回のコース(計8週間)
- 1回120分
- それぞれのセッションは、
瞑想・自分の瞑想中の経験についての議論で
始める。
*8つのセッションの概要*
- 1: 自動操縦
- 2ー3: 引き金と渇望への気づき
- 4-6: 思考と感情のマインドフルネス
- 7ー8: 学びを実生活へ応用・継続
軽くそれぞれのステップを紹介しますね。
*セッション1*
マインドフルネスの導入ですね。
ボディースキャンのような
体の感覚に目を向けたり、
味覚・嗅覚のような感覚に集中し
マインドフルネスの論理的なところを
導入していきます。
そして、我々の依存行動がいかに
無意識に行われているの(自動操縦)か気づきを得るステップです。
*セッション2-3*
この辺りから、視覚・聴覚へとシフトしていきます。
参加者は、依存行動の引き金と渇望への
気づきを得るように促されます。
そして、このトレーニングを
日常生活のなかでも行います。
そして、自動操縦の状態から
抜け出すことを目指します。
*セッション4ー6*
このステージでは、
感情・思考のマインドフルな状態へと
焦点が移ります。
例えば、リラプスした時の
状況の行動パターンに気づきを与えます。
要するに、リラプスした時の
思考・感覚・感情がどのようなものだったのか
意識的に考え、気づきを与えるわけです。
ただ、マインドフルネスなので
その現在の瞬間に意識を向けたまま
行います。
その結果、時間と余裕を作り出し
より良い判断を促します。
*セッション7-8*
今まで、セッションで学んだことや変化を
日常生活へと一般化させていきます。
また、それらを継続するための
菅居を整えることも行います。
*MBRPの効果*
55の実験的な研究では、
以下の効果がみられました。
- 依存物質の使用率の減少
- 渇望の減少
- 受容の増加
- 意識下での行動の増加
メタアナリシス(信頼度高い)と
できるだけバイアスを取り除いた研究のRCTでも
同様にMBRPの効果が示されています。
(Witkiewitz et al., 2014; Zgierska et al., 2008; Imani et al., 2015)
*MBRPを最大に活用できる人*
依存症といっても
重症度や合併症の有無もあったりし
それらが治療効果に影響を与えます。
そして、ある特定のグループに
よりMBRPが効くこともあります。
ということで、最もMBRPの利用を
おすすめされるグループの特徴を紹介します。
- 依存症の重症度が高い
(Bowen et al., 2014) - 依存症の重症度が高く、
不安・鬱症状の併発がある。
(Bowen et al., 2009)
なので、
MBRPは通常の治療の効果が低いグループに
有効そうなイメージですね。
*MBRPのメカニズム*
上記のMBRPの効果がみられる
メカニズムを発見しようと
いくつか治療効果に影響を与える要素を
調べた研究があります。
(Carroll & Lustyk, 2018; Davis etal., 2018, 2019; Hsiao et al., 2019)
- ストレスの減少
- 衝動性の減少
- 渇望の減少
- ストレス反応性の減少
まだまだ、研究が必要そうな感じはしますが
MBRPによってストレスの減少と
より適応力のあるストレスへの反応により
衝動性・渇望も減らし
依存行動が減りそうな雰囲気がありますね。
*まとめ*
- MBRPは、認知行動的なリラプスプリベンションと
マインドフルネスを統合した治療 - 依存行動の引き金への気づきと
自動的な依存行動を意識的に捉える。 - 意識下での行動と受容が増え、
依存行動・渇望が減少する。 - 依存症の重度が高い人と
不安・鬱症状が併発している人は
MBRPの効果をより得られる。
個人できるのかは、まだわかりませんが
反響があれば、他の依存症のための
マインドフルネスも紹介します。
また、関連の本で
依存症のためのマインドフルネスの
ワークブックをおすすめしてます。
さらに、MBRPができそうなセンターを見つけたので
ぜひ、チェックしてみてください。
MBRP(アディクション・依存症のためのマインドフルネス) - マインドフルネス心理臨床センター (mindfultherapy.jp)
*記事関連のおすすめの本*
「依存から抜け出すためのマインドフルネスワークブック」
「The mindfulness Workbook for Addiction」
ぜひ、読んでほしい本ですね。
依存症のためのマインドフルネスの本です。
英語版は第2版が出てます。
日本版は、まだ1版のようですが
ちゃんとワークブックになってるのが
いいですよね。
ぜひ、購入して
依存症のためのマインドフルネスを試し
治療・回復に役立ててみてください。