CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

【インターネット依存の原因は親⁉】子育てと依存症

SNS依存と子育ての関係*

科学の進歩で、いろんな便利なものが世にあふれています。

そして、SNSは今やほとんどの人が
利用しているサービスで
過剰なSNS使用によりSNS依存になる人が
報告されてきました。

この記事では、子育てとSNS依存について話します。

ただ、この記事では
スマートフォンを持たせる持たせない等の
子育ての話ではなく、
親と子供の関係性から、依存症を見ていきます。

今回のおすすめの本は、やっと翻訳されて
日本で、販売されたようです。

 

英語版です。記事の最後に日本語版があるので
チェックしてみてください。

 

*インターネット利用*

インターネットの使用は、もうすでに
至る国で当たり前になっていますね。

特に、インターネット使用は
青年期や若年層で目立ちます(Kuss et al., 2014)。

そして、いつまにかに
SNS依存症の可能性が示唆され始めました
(Kuss and Griffiths, 2017)

実際、どのくらいのSNSを使用しているのでしょうか。
推測では、1日135分と言われており、
この数字も年々と増加しています。
(Statista, 2017)

1日、2時間以上もSNSを利用していることになりますね。

SNSの使用時間が
過剰になっている可能性はありそうですね。

 

SNS依存症*

SNSは、典型的な薬物の依存とは異なり
行動嗜癖のグループですね。

ただ、まだSNS依存症は
正式には依存症と認められてはいませんね。

しかし、いくつか依存症としての共通があります。

 

*他の依存症とSNS依存症の共通点*

  • 過剰な使用が望まない結果を引き起こす(Griffiths et al., 2016)
  • 若い人グループが多い(WHO, 2011)
  • 衝動的な行動がみられる
  • SNS以外の活動に興味を無くす
  • SNS使用をやめると身体的・精神的な症状が現れる
    (Soper and Miller 1983)

薬物依存と非薬物依存(行動嗜癖)の共通点についての記事があるので
もっと詳しく知りたい人は、ぜひ以下の記事を読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

以上のように多くの薬物依存とSNS依存に共通点がみられます。

そして、実際にSNS依存と認められる
チェックリストがります(Griffiths, 2005)。


SNS依存の6つのチェックリスト*

  • 顕著性
    SNS使用が生活で一番重要なものになる
  • 感情の調整
    SNS使用によって、自分の感情を保ったり、維持する
  • 耐性
    SNS使用が増えて、満たさせるまで長時間の使用が必要になる
  • 離脱症状
    =身体的・精神的な症状が、SNS使用の中止や減少により引きこされる
  • 再発
    SNS使用をやめた後も、再びSNSの使用の傾向

そして、よく頻繁に議論される
SNS依存のリスクは性格が挙げられますが
実際は、まだ結論を出すことが難しいようです。

そして、注目されているのが
アタッチメントスタイルとインターネット依存・SNS依存です。

 

*アタッチメントスタイル*

この理論はBowlbyさんが1958年に提唱しました。

日本では、愛着スタイルと呼ばれているものです。

 

*アタッチメントスタイル(愛着スタイル)の定義*
ー 子供がもつ、一番最初かつ一番大切な養育者との関係 ー

要は、子供が生まれて初めてもつ対人関係ですね。
そして、その相手が親であることが多いですね。

 

もともと、この愛着スタイルは
生存(食料・安全等)のために必要と考えられていました。
(例:泣いたりして空腹を伝える。)

実際は、幼児と親の感情的つながりの発展は
生存目的以上の役割があり、
それは、愛・愛情・承認をを求めているということです
(Weinraub et al., 1977)

それが故に、我々人類は
社会的な生物で、人間関係を直感的に求める傾向がある
(Schaffer and Emerson, 1964)。

 

そして、この愛着スタイルには
いくつか種類があります。

 

*愛着スタイルの4つの型*

  • 安全型(secure attachment)
    =親と離れると泣き、再開すると喜び、落ち着く。
    =お互いのやり取りが取れている
    原因:親は、子供サインにしっかりと反応

  • 回避型  (Insecure avoidant)
    =親を追いかけも泣きもせず、自立している。再開時も、目をそらす。
    原因:親が子供のサインに反応していない。子供が泣いているときに、叱る・避ける

  • 不安型  (insecure-ambivalent (anxious))
    =親と離れると混乱し、再開後はべったりとくっつき、親を攻撃する。
    原因:親が自分の都合優先で子供と関わる。子供のサインを見逃す。=子供は不安定で、一貫した行動がとりにくい。

  • 無秩序型 (disorganized and sismissing)
    =親と離れることに問題はないが、再開時は、目を合わせず近づいたり離れたりする。
    原因:虐待による、緊張感のある親子関係

そして、この愛着スタイルは子供の時にも重要ですが、
成長しても、密接な人間関係との間で同様の
愛着スタイルに依存した反応をみせる。

また、愛着スタイルは内的作業モデル
(Internal working model)
=自分や他者の解釈に使用するモデル
=人との接し方を決めるモデル
を形成するのに役立ち、
それぞれの愛着スタイルによって、
モデルが変わる(Bowlby, 1988)。

 

つまり、親の子育ての仕方・しつけ(幼児と養育者との関係)が
愛着スタイルに影響をあたえ、
将来の人間関係の構築の骨組みにもなります。

 

子育てと依存症について
もっと知りたい人には、以下の記事もおすすめします。

 

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 

*依存症は愛着障害

愛着障害は、人間関係の構築方法に影響を与えるだけでなく
感情制御にも影響を与えます(Flores, 2004)。

要は、愛着スタイルによって
自分の感情をコントロールすることができたり、できなかったりします。
そして、感情をコントロールできない場合は
我々は、外部因子に頼って感情の安定化を保とうとする(Kohut, 1971)。

ということは、もしかしたら
外部要因(薬物・SNS)に頼って、感情をコントロールする可能性
愛着スタイルによって見分けられそうですね。

 

そして、安定型の愛着スタイルと
依存症には負の関係があります(Flores, 2004)

つまり、健康な愛着スタイルを持っていると依存症になりにくい

これらも理由に、
Floresさんは依存症を愛着障害だと言いました(2004)。

 

実際に、
若年層の愛着スタイルと薬物摂取との間に強固な関係があります
(Becone et al., 2014)

なので、子供にとって家族との関り方が生活の中のストレスに対する
処理能力に影響を与えています
(Mikulincer and Shaver, 2007)。

 

*子育ての仕方と子供への影響*

子育てが、依存症に影響を与えそうな
雰囲気が出てきましたね。

実際、どうして依存症と子育てとの間に
関係があるのか
いくつかメカニズムが考えられています。

 

安定型愛着スタイルでは、しっかりと子と親との関係が作れています。

愛情を感じ、親にいろんなサインを出します。
そして、親は敏感に感じ取りしっかりと受け答えをします。

 

もし、このような経験や関係を一番最初かつ重要な親子関係で
築くことができないと、対人関係に親密さを感じることができません

一番安全であるはずの親子関係で、親密さを気づけない子供は、
何か心にぽっかり穴が開いたような感覚になります。

そして、子供たちは親以外の外に意識を向け始め
親が関わらない外の世界で、彼らのぽっかりと開いた穴を埋めようとします

 

そして、その例の1つが薬物です。
親密さを感じることが親との間にできず、
親と関係のない世界で、自分を満たしてくれるものを探します
(Flores, 2004)。

薬物は愛着のない不安定な親子関係とは、
現実(愛情のない世界)離れした感覚与え、薬物が安全な場所になります
(Hofler and Kooyman, 1996)。

なぜなら、
薬物を使用する度に、親から与えられなかった
安心や感情の高揚を子供にあたえるからです。

 

そして、この愛着スタイルから薬物使用の流れは
非薬物でも同様のことが起こると考えられています
(Estevez et al., 2017)。


つまり、子供が親と関係を上手に作れないと
その不満をSNSのような活動で
足りない愛情等を埋めようとする可能性がある(Flores, 2004)

実際に、回避型と不安型の愛着スタイルは
薬物・非薬物依存のリスクとなってます
(Valizadeh et al., 2017)

 

*愛着スタイルとSNS依存*

ここからが本題です。
実際に、SNS依存は子育てによる愛着スタイルが関係しているのか。


D'Arienzo et al. (2019)のシステマティックレビュー(一番信頼度が高い)では、
回避型・不安型の愛着スタイルとSNS依存(重度のSNS使用・深夜のSNS使用・長時間使用・ネガティブな感情に依存したSNS使用・)
との間に関連がみられました。

他にも、子育てによって影響を受けた
愛着スタイルを持つ子供(回避型・不安型)は
SNS使用による、承認欲求・安らぎを求める行動・周りからの注目を求める行動
関連がみられました。

 

逆に、安定型の愛着スタイルは
SNS依存・インターネット依存に対して、
予防的な要素となる。

 

つまり、親との関係で得られなかった
心の安らぎ・愛情・承認・注目を
得るために、子供たちはSNSを使用する。

そして、SNS依存・インターネット依存に
なる子供が出てくる可能性が上がるとこが言えそうですね。

また、しっかりとした子育てをし
安定した愛着スタイルを獲得できれば
健全にSNSを使用できる可能性もありそうですね。

 

*まとめ*

  • インターネット利用時間は年々増加
  • SNSは行動嗜癖になりえるほど、
    依存症としての共通点がある。
  • 愛着スタイル(子供と親の関係=子育て)が
    人間関係に基礎になる
  • 依存症は、愛着障害
  • 不安型・回避型愛着スタイルは
    インターネット依存・SNS依存と関係がある
  • 安定型愛着スタイルは、インターネット・SNS依存の
    予防因子となる。
  • 親は、子供のサインを見逃さず
    愛情・安らぎを与えるような子育てが
    子供の将来の依存症の可能性を下げる可能性がある。

 

*記事関連のおすすめ本*

「生き抜く力をはぐくむ 愛着の育て方」
(The power of showing up)

 

 

日本では、やっとこの本が販売されたみたいですね。
2022年5月26日販売がAmazonでされたようです。
私が、今現在Amazon見た限り
だれもまだレビュー書いてませんね。

私は、いつも通り英語で読んだので
翻訳者の腕次第ですが
英語版は、かなり評判が良いです。

基本的には、親の存在がどんな子供になるか影響を与え、
脳の発達にすら影響を与える。

そんなことを聞くと、すごい責任を感じると思いますが、
この著者は、「完璧な親はいない」
そんなメッセージと愛着スタイルの知見を使用し、
子育てを紐といています。

ぜひ、購入して読んでみてください。
そして、最初のレビューを書いちゃってください。

また、この著者のダニエルさんは
かなり多くの子育ての本を書いています。
気になる人は、ぜひチェックしてみてください。