依存症ビジネスが依存症に立ち向かうパワーを当事者と支援者から奪う【依存症定義・理論】
*依存症と戦う力が無い*
依存症の理論がたくさんある中で、
依存症の多様な側面を包括的に捉えた理論があります。
例えば、「依存症=過剰な欲求」ですね。
まだ、読んでない人は
ぜひ読んでみてください。
この上記の理論を作ったOrfordさんは、
さらに、この理論の拡大をしていき
もう1つの依存症の理論を作り上げました。
ということで、Orfordさんの2つ目の
依存症の理論を説明していきます。
キーワードは、「パワー」です。
- *依存症と戦う力が無い*
- *パワーとパワーレスネス*
- *パワーを蝕み、パワーレスネスを作る*
- *企業が依存症のパワーを蝕む*
- *依存症当事者の周りの人達のパワーレスネス*
- *依存症と戦うためのパワーを育てる*
- *まとめ*
- *記事関連のおすすめの本*
*パワーとパワーレスネス*
まず、理論の名前からです。
「Power, Powerlessness, and Addiction」
(Orford, 2013)
Powerが、パワーですよね。
Powerlessnessなので、パワーが無いこと。
そして、Addictinoが依存ですね。
なので、「パワー、パワーレスネス、依存症」
って感じですかね。
この依存症における、
パワーとパワーレスネスは
心理社会的な視点で議論で展開されていきます。
そして、多様な社会の状況における
パワーとパワーレスネスが
依存症の発症と維持を理解するのに役立ちます。
*パワーを蝕み、パワーレスネスを作る*
Orfordさんが、まず着目した点が2つあります。
- 依存症は当事者の依存症に抵抗するパワーを蝕む
- 依存症は、依存症に対するパワーレスネスを
依存症当事者の周りの人に作り出す。
このパワーの理論は
基本的には、アルコール・違法薬物・ギャンブルに
着目したものになってます。
そして、この理論は、
特に社会から疎外され、
抵抗するパワーを持っていない人達の間で
依存症が多い理由を示してくれています。
ということで、
依存症当事者とその周りの人たちの
パワーについて話していきますね。
*企業が依存症のパワーを蝕む*
まず、依存症当事者の依存症に抗う
パワーを奪い取る方法が2つあります。
- 顕在的なもの(明らかなもの)
- 潜在的なもの(密かなもの)
そして、これらは基本的には
合法のアルコールとギャンブルの企業によって
引き起こされています。
実際の具体例としては
- 広告
- ロビー活動による貿易政策への影響
- 調査事項
要するに、
企業は広告によって
依存行動・物質を魅了的にし
また、企業はロビー活動で、
政府や国際機関に働きかけ、
自社のビジネスが有利になるように
政策決定に影響を及ぼし、
ルールの形成に働きかけます。
それだけにとどまらず、
企業が有利になる調査を行い、
不利になる調査は行わないわけですね。
それだけにとどまらず、
言葉の使い方によって、
我々の依存症に対する考えにも
企業は影響を与えてきます。
英語ですが例えば、
Responsible gambling と Responsible drinkingですね。
日本語訳だと、責任あるギャンブルと飲酒ですね。
これが、何を意味するかというと
自分がギャンブル・飲酒をする量は
自分自身で制御する必要があるという
意味になっています。
そして、ギャンブル・お酒に
自分の人生を支配されることなく
自分で責任を持って行動・判断をするべき
という意味を伝えかねません。
ただ、依存症ではギャンブルと飲酒は
コントロールできないわけですよね。
どこに、責任を持つべきなのか
わかりませんよね。
また、これらの言葉は
ギャンブルとお酒が無害であるような印象を
与えるわけです。
なぜなら、責任を持って思考・判断ができるため
どれ程ギャンブル・飲酒するかは
自由裁量にするべきで、無害のギャンブル・お酒は
制御すべきでないという結論になってしまいます。
つまり、依存症のための
健康政策や個人ではなく、社会的責任の議論が
ないがしろにされがちです。
違法薬物の場合は、金銭的な問題で
違法薬物の売買の組織から抜け出せなくなったり、
それ以外の選択肢が与えられていない状況が
依存症に立ち向かうパワーを奪っていきます。
*最近の依存症ビジネスの変化*
少し余談ですが
最近はSDGsの項目で
依存症の話があるので、
企業によっては変化し始めているかもしれませんね。
アサヒさんの責任ある飲酒のコンテンツを
発見したので、勇気のある人は
確認してみてください。
責任ある飲酒|アサヒビールのサステナビリティ|アサヒビール (asahibeer.co.jp)
みなさんがどのように思うのか
気になるので、Twitter等でもいいので
教えてくれると助かります。
また、最近Twitterで議論になっている
国税庁主催のサケビバ(アルコール業界の活性化施策)は
上記に挙げた、依存症に立ち向かうパワーを奪う
良い例かもしれませんね。
日本産酒類の振興・発展を考えるビジネスコンテスト|サケビバ (sakebiba.jp)
*依存症当事者の周りの人達のパワーレスネス*
当事者の周りの人たちは、
家族・友達・仕事の同僚・地域コミュニティ等ですね。
この人たちも、
依存症に立ち向かうパワーを失います。
どんなパワーかというと
依存症の人たちを助けるパワーです。
依存症の人たちと関わる人達は、
次第に、どのようにして助けたらいいのか
分からなくなり、
依存症に対して抵抗するパワーを失います。
また、当事者の周りの人は
当事者の依存行動の一部を
自分自身の責任として受け入れます。
その結果、依存症の家族を持つ人たち等は
依存症の家族や親友に対処するために、
自分のための行動を後回し・軽んじてしまします。
Orfordさんは、これらのことから
依存症当事者と深い関わりのある人たちは
依存症を二次的に経験し、
憂鬱になって、パワーを失ってしまいます。
*依存症と戦うためのパワーを育てる*
依存症と戦うパワーは、
依存症当事者の周りの人たちの
協力で育むことができます。
例えば、
- 随伴性マネージメント(CM)
- 動機付け面接法(MI)
- 家族・アルコール裁判所
随伴性マネージメントは、行動療法の1つで
良い行動をしたら、報酬を与えることで
望ましい行動を促進していきます。
動機付け面接法についての記事と
行動療法についての記事があるので
気になる人は、読んでみてください。
また、他にも
依存症に抵抗するための
パワー手に入れる方法の例があります。
上記の例を依存症の当事者・関わる人達は
自分自身で選択し
依存症に抵抗するパワーを育てて
回復に向かっての準備をしてみてください。
今後、ハイヤーパワーに関連のある
12ステップについての記事と
随伴性マネージメントの記事を書きますね。
自助グループについての記事もあるので
読んでみて下さい。
また、意志の力についての記事もあるので
合わせて読んでみてください。
*まとめ*
- 依存症は、当事者とその関係者の
依存症に抵抗するパワーを蝕む - ギャンブル・アルコールの企業が多彩の方法で、
依存症に抗うパワーを減らしてくる。 - 依存症の当事者と近い関係を持つ人たちも
どのように助けていいかわからなくなり、
依存症は2次的に経験し、
当時者だけでなく、周りの人も
依存症に立ち向かうパワーを失う。 - 依存症と戦うパワーは、育てることができる。
*記事関連のおすすめの本*
「Power, Powerlessness, and Addiction」
再び、ごめんなさい。
ここまで、複雑なものに関連した本は
私はOrfordさんの原本しか
読んだことがないので、
この記事で紹介した理論の本です。
英語ですが、読んでみてください。
第二言語学習も読書も
回復に役立つので
ぜひ、読んでみてください。