依存行動の衝動・渇望の波に乗る。【リラプスプリベンション】依存症再発予防
依存症治療の最終ゴールは、
再発を防ぐことです。
そのための方法に
「リラプスプリベンション」があります。
リラプス(再発)を防ぐためには、
それぞれの特定の状況で
特定の方法があります。
今回の記事では、
依存行動の衝動・渇望に対応するための
「衝動マネジメント」について話していきます。
リラプスプリベンションの記事が他にもあるので、
ぜひ、読んでみてください。
*衝動と渇望*
即時に幸福感を得るための願望は
多様な形を取ります。
そして、人によっては
それらを依存行動の衝動・渇望として
感じる人もいます。
研究者の間では、衝動・渇望は
割と生理学的な状態となっていますが、
リラプスプリベンションでは、
心理学的・環境刺激によって
衝動・渇望は引き起こされていると
考えられています。
まあ、どんな形であれ
渇望は、ソーバーへの熱意を
蝕んでいきます。
その結果、予期せぬ
リラプス・ハイリスクの状況へと
導かれていきます。
頻繁に、
衝動と渇望は、同じ意味で取り扱われがちですが
MarlattとGordon(1985)では、
違うものを意味していますが、
どちらも同じプロセスによって
調整されているので
細かい説明は飛ばしますね。
事実、どちらも同じ2つのプロセスの介入を
受けています。
- 条件付け
(刺激によって引き起こされた過去の満足感の経験による条件付け) - 認知プロセス(満足感への期待)
(依存行動による満足感の期待)
上記を考慮すると
渇望・衝動は、過去の経験によって
環境と刺激が結びついた学習と
過去の経験による、ポジティブな効果の経験によって
その効果の期待を
学習されたものってかんじですかね。
この辺りは、学習理論が
関係していそうですね。
学習理論と依存症の記事もあるので、
ぜひ、読んでみてください。
*衝動マネジメント*
衝動がなにものか、
どのように作られるか分かったと思います。
基本的な対応として、
トリガーを避けて、
衝動を発生させない方法もありますが、
どんなに頑張っても
衝動は発生します。
その場合、
衝動が発生した時の対応も
必要そうですよね。
そのための、まず行うことは
「衝動がくることを予期し、その反応が普通の反応であると認める」
ことです。
リラプスプリベンションでは、
衝動を依存行動の願望・指標としてみなさない
ことを推奨しており、
代わりに、衝動を
以前は依存行動と関連していた環境内の外部刺激に対する
感情的または生理学的反応としてラベル付けするように教えられます。
ようするに、
衝動は、過去の経験により
特定の状況で発生するため、
予想することが可能で、
衝動が発生しても、
その反応は普通であり、
それが、何か他のことを意味するわけではない。
*衝動サーフィン*
臨床上で行われる
衝動マネージメントの例を1つ紹介します。
それは、「衝動サーフィン」です。
サーフィンは、スポーツのサーフィンですね。
衝動サーフィンでは、
衝動を海の波とイメージし、
波が起きたり、ひいたりするように
衝動も発生しては、なくなりの繰り返しを
イメージします。
その後、その衝動の波に
抵抗したり、飲まれることなく
その衝動の波にサーフィンのように乗ってしまう
ことがアイディアの基本です。
これらの想像によって、
衝動・渇望を自分から切り離し、
これらの反応を一時的で
普通の現象であると捉えることを
促進します。
最終的に、
衝動・渇望が自分が
依存行動をしたい願望でないという
認知プロセスを踏んでいき
依存行動の再発を防ぐことに役立ちます。
*まとめ*
- リラプスを防ぐことが最終ゴール
- 依存行動の衝動・渇望が
再発リスクをあげる。 - 衝動・渇望を予期し、
いたって普通の反応であり、
依存行動・物質への願望ではない - 依存行動の波に立ち向かわずに、
波に乗って衝動を乗り切る。
まだまだ、たくさん
リラプスプリベンションのテクニックがあるので
少しずつ、記事をあげていきますね。
*記事関連のおすすめの本*
「なぜ「つい」やってしまうのか」
「Impulse: Why We Do What We Do Without Knowing Why We Do it」
衝動と自制についての本ですね。
薬物依存のみでなく、多様な行動を
衝動と自制の観点(心理学・神経科学)で
紐解いてくれてます。
なぜ、意志の力が重要であるが
無力なのかも説明していた気がします。
ぜひ、購入して読んでみてください。