ギャンブルの広告とギャンブル依存症は関連する。【依存症への政策ー国ができること】
最近、ギャンブル依存症関連のTwitterアカウントに
フォローされることが増えたので、
ギャンブル依存症の記事を少し増やしますね。
診断基準とスクリーニングテストについては
以前の記事で取り扱ったので、
今回の記事では、
有病率と社会人口統計的な変数を紹介します。
診断・スクリーニングテストについての記事と
の話を少しした記事があるので、
気になる人は、読んでみてください。
*ギャンブル依存症の有病率*
最近のシステマティックレビューで
2000‐2015年の間の世界での
ギャンブル依存症の割合を調べたものがあります。
世界的には、0.12‐5.8%の人が
過去一年でギャンブルでの問題を抱えていたと
報告されています。
(Calado & Griffiths, 2016)
私がいるヨーロッパでは、
0.12-3.4%ですね。
日本は、0.8%みたいですね。
(Japan National Survey of Gambling, 2017)
まあ、実験方法が違うものを
こうやって比べるのはあまりよろしくないので
とりあえず、日本の感覚として
1000人に8人ほど1年で
ギャンブルに問題を抱えているって感じですかね。
有病率の研究方法に差があるにもかかわらず
ギャンブル問題を抱えている人が多い
グループがあります。
- 男性
- 離婚・未婚
- 若い年齢層
- 無職
- 低所得者
- 少数派の民族
- 海外で生まれている
- 低い教育レベル
若年層では、世界的には
0.2% - 12.3%となっており、
やはりギャンブル依存は若い世代に多いみたいですね。
(Calado et al., 2016)
若年層でギャンブル依存の多いグループの特徴として、
- 男性
- 少数派民族
- 両親のギャンブル
- 両親の離婚の経験
上記の若年層の人たちに
病的賭博が多いみたいですね。
親の子供への依存症の影響についての記事もあるので
ぜひ、読んでみてください。
若年層の日本のデータは、
サクッと出てこなかったので
見つけ次第、足します。
調べ方が悪いのですかね?
自分の国の情報を見つける方が大変なのは
困りますね。
まあ、とりあえず
民族や海外生まれは、日本に当てはまるか
分かりませんが
それ以外のグループの特徴は
日本でも同様なことがみられる
可能性はありそうですね。
*ギャンブルのタイプ*
大抵の国で、人気なギャンブルの種類は
宝くじ、スクラッチ、スポーツ、ギャンブルマシーンですね。
特に、病的なギャンブルをしている人たちの中で
一番人気なのが、
スロットマシーンとインターネットギャンブルと
言われています
(Parke & Griffiths, 2006)
これらのギャンブルに、依存性がありますが
以下の3つの点がギャンブルの問題を
より深刻にしています。
- アクセスのしやすさ
- 長時間利用が可能
(毒性がないため) - 即時的・高頻度の報酬
アクセスのしやすさは、日本は
なかなかのものかもしれませんね。
日本には、パチンコがありますからね。
2015年の推定では、
11,000点のパチンコ店があり、
4.6百万台のパチンコ台があると言われています。
(Japan Productivity Center, 2015)
この数は、
アメリカのギャンブル電子ゲームマシーン(スロット等)の数
90万台を大幅に超えていますね。
(American Gaming Association, 2016)
*インターネットギャンブル*
アクセスのしやすさで悪名高いのが
インターネットギャンブルですよね。
実際に、アクセスのしやすさと
ギャンブルの問題の高さには関連があります。
(Room et al., 1999; Welte et al., 2016)
インターネットギャンブルは、
非常にアクセスしやすく
匿名でも行え、
年齢確認もなしに行えるので
青年期の人たちをより
ギャンブル依存への危機にさらしているかもしれませんね。
また、少量から賭けることができること
アクセスのしやすさを高めていますね。
このアクセスのしやすさは、
社会的にギャンブルが受け入れられていることを
表しているかもしれませんね。
その結果、今の若い世代の人たちは
ギャンブルが受け入れられている社会で
生まれ育っているので
よりリスクが高くなっているかもしれませんね。
*政策とギャンブル*
最後に、1つ興味深い研究紹介します。
Planzer et al.(2014)では、
国の政策とギャンブル依存の有病率に
関係があるのか調べました。
国の政策の例
- ギャンブルのライセンスシステム
- 最低年齢の規制
- 広告の規制
- 合法ギャンブルの種類の豊富さ
- 合法ギャンブル市場
- ギャンブル依存の研究・予防費
- ギャンブルの禁止
結果として
オンラインギャンブルの広告の規制のみが
亜臨床的?(診断基準の2-3個を満たす)ギャンブルの低さと
関連がありました。
なので、ギャンブル依存を減らすなら
広告の規制が有効な手段である可能性を
持っていますね。
まあ、もちろん研究にも
欠点があったり、
ヨーロッパの研究なので日本では
どうでしょうかね?っといった疑問はありますね。
*まとめ*
- ギャンブル依存は、3つの点で依存性を高めている
(アクセスのしやすさ、長時間利用可能、即時的・高頻度の報酬) - インターネットギャンブルは、特に上記の
アクセスのしやすさが高い。 - ギャンブルへのアクセスのしやすさが
依存症問題と関連する - ギャンブルを受け入れている社会が
新たな世代をギャンブル依存へのリスクを高める可能性あり。 - ギャンブル依存への対策は、広告の規制である可能性あり。
*記事関連のおすすめの本*
「影響力の武器」
「Influence: Science and Practice」
英語版は、マンガバージョンにしました。
なかなか、洋書読むの大変なので。
どうやって、我々の行動に影響を与えてくるのか
相手の武器がわかっていれば、
対処できる可能性が上がりますよね。
ってことでこの本を紹介します。
結構、分厚いですが
引き込まれる内容多いので
飽きずに読み続けられると思います。