CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

不安定なモチベーション【依存症治療の目指す場所】

依存症に包括的に捉える必要性がありますが、
その1つとして、「PRIME Theory」がありますね。

 

まだ、読んでいない人は読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

すでに、上記の記事を読んでいる人は
分かると思いますが、
PRIME Theoryには、5つのテーマがあります。

 

その1つである
「不安定なマインド」について
今回の記事で説明します。

 

残り4つのテーマについて気になる人は
リンク張っておくので読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

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curiousquest.hatenablog.com

 

 

*生まれつき不安定なデザイン*

我々のマインドは、実は進化的には
生まれつき不安定なものになるように
デザインされているのでは?
って話があります。

 

よって、常に調整・コントロール
安定したマインドを作るために必要になります。

 

なぜ、不安定なマインドを持ったのか。

 

利点としては、
ちょっとした変化を作るだけで
進みたい方向にコントロールしやすい

例えば、飛行機ですかね。
ちょっと、操縦ハンドルをいじったり
風の影響を受けると方向が変わります。

 

 

逆に、安定したマインドは
電車ですかね。

よほどのことがない限り、
決まったレールを走ることが約束されてますよね。
ただ、決まったレールのみしか走れませんね。

 

逆に、不安定なマインドの欠点としては、
常にコントロールしていないと
制御不能になってしまいます。

なので、どんなに安定した気流に乗れても
飛行機には自動制御モードがついてますよね。

 

しかし、最大の不安定のマインドの利点は
我々、人間が持つ適応力の高さですね。

多様な環境の刺激に敏感で、
それらの変化に適応するために、
あえて、不安定にして
制御し続けることで、適応してきました。

ただ、制御をすることを
怠ると制御不能になってしまいます。

 

*バランスを崩すイベント*

不安定なマインドのバランスを崩し、
カオスな状況に陥らないためには、
上記のような、途切れない制御が必要です。

 

もう1つ、不安定なマインドを
ぐちゃぐちゃにしてしまう要因があります。

それが、外部の刺激ですね。

 

飛行機で言えば、天候ですね。
大雨だったり、強風・雷雨といった
大きなイベントによって、
バランスは一気に崩れます

 

もしくは、ちょっとした気流の変化ですらも
飛行機のバランスを崩したり、
飛行ルートを変えたりします

 

まあ、何が言いたいかと言うと
不安定なマインドは、
環境の影響を受けて
バランスを崩すこともあれば、
バランスを取る能力がないことによって
崩れることもあることです。

 

*カオスセオリー*

不安定なマインドは、
外部の影響と内部のコントロール
大切なことが分かったと思います。

 

その中で、Chaos Theory(カオスセオリー)と言う言葉があり、
数学で使われますが、
この理論を使うことで、
予測不可能な事象を予想することができます。

 

ようするに、
不安定なマインドに対して
予測不能な影響因子を
カオスセオリーによって、
予想してしまおうってことです。


まあ、厄介な理論なので
細かいことは割愛して、
分かりやすい絵があり、

 

それらを上手に説明してくれる人がいて、
Waddington(1977)では
Epigenetic Landscapeという単語を使って
説明しています。

まず、イラストを見せます。

と思ったら、絵がどうしても書けないので
リンク張りますね。
b: Waddington's epigenetic landscape in a simplified illustration of... | Download Scientific Diagram (researchgate.net)

 

このモデルでは、どのようにして
環境因子がモチベーションシステムを通して、
我々の行動に影響を与えているか
イラスト化してくれています。

ボールの動きが、我々の人生における行動です。

そして、いろんな分岐点やでこぼこがある道を
ボールが転がっていきます。

時には、大きな山や溝
小さなものもあり、ボールが転がる道に
影響を与えます。

それらの土地の形が、環境因子ですね。

なので、例えば
どんなに安定して、ボールが特定の道を転がっていても、
ちょっとした地形の変化で
我々のモチベーションは影響を受け、
元の位置に戻ってくるには、
それらの環境の影響を取り除かないと
安定した道にボールは戻ってきません。

 

という感じで、
我々のモチベーションは、
人生のいろんなイベントに影響を受け、
モチベーションがいかに不安定なもの
説明してくれてます。

 

*依存症治療の成功法*

一応、この記事でPRIME Theoryを最後になります。

色々、説明しましたが
Westさんが結局何が言いたいのか。

 

Westさんの主張

依存症は、モチベーションシステム全体に
広がっている問題である。
なぜなら、それぞれのモチベーションシステムは
互いにリンクしているためです。

 

ということで、
非常に複雑かつ、
状況によって変わる依存行動に対処するには
依存症治療以下のようであるべきだと言ってます。

 

「それぞれの5つのテーマに焦点を当てて、
どのレベルに問題があるのか特定し、
適切な治療を組み合わせる必要がある」

今まで、PRIME Theoryでは
以下の5つについて解説しました。

 

これらの理解が、依存症回復への
光を示してくれる可能性を持っています。

 

*まとめ*

  • 不安定なマインドを、新たな環境に適応するために
    我々は元から備え付けられている。
  • 不安定なマインドの安定性と不安定性は
    絶え間ないコントロールの外部の影響が関わる。
  • 人生に渡って、予想不可能な
    外部イベントによって
    その場その場のモチベーションは異なる。
  • 依存症の治療は、それぞれの個人において
    問題が生じているモチベーションシステムのレベルに
    合わせた治療の組み合わせが適切である。

 

*記事関連のおすすめの本*

「Theory of Addiction」

複雑な内容に関連した本はほとんどないので
ぜひ、PRIME Theoryを考えた人の本を
読んでみてほしいですね。

英語ですが、依存症の理論が満載です。

時に、理論は
所詮は理論で、実際には使えないとか
現実的には起こらないとか聞きますが、


理論は、依存症をどう定義し
どのように治療するかヒントをくれます。

なので、本気の人は
ぜひ、依存症の理論について
英語で調べてみてください。

 

日本語では、おそらく私のブログのみ?に
なるかもしれませんので。