CuriousHunter 依存リハ

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依存症治療【心理学的治療】すでに、行動を変えた人におすすめの治療法

*健康的な行動の再学習と維持に役立つ働きかけ*

 


「行動の変化」が依存症治療の基本です。

 

その治療法の1つに
多理論統合モデル(TTM)があります。

 

TTMのステージについてと
ステージの前半における
有効な介入方法についての記事は、
すでにあるので、ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 

 

ということで、今回の記事は
依存症回復ステージの中盤から終盤までにおける
有効な働きかけについてお話します。

 

 

 


*行動型の働きかけ*

行動型の働きかけは5つあります。

 

*行動型の働きかけの例*

  • 反射条件付け(問題行動の代替え案)
  • 援助関係(問題について、支援してくれる人と話す)
  • 強化マネジメント(報酬を与える)
  • 自己解放(行動を宣言する)
  • 刺激コントロール(問題行動と引き金を避ける)


そして、それぞれの働きかけが
有効なステージがあるので
それも解説していきます。

 


*1.反射条件付け*

*反射条件付けの定義*

  • 問題行動にとって代わる代替え案を作る。

 

*反射条件付けの方法*

  • ラクゼーション
  • 脱感作(刺激に対する反応を和らげる)
  • 自己主張
  • 自分自身に関するポジティブな発言

 


ラクゼーションは、単純に問題行動の代わりに
リラックスできる代わりの趣味・習慣です。

また、回復中は心身ともに大変な状況のため
リラックスできる術を学ぶと役立ちます。

例は、たくさんあります。

 

*リラクゼーションの例*
  • 入浴
  • 瞑想
  • ヨガ
  • お茶を飲む
  • 雑誌を読む
  • アートを楽しむ
  • 映画を見る
  • 料理をする。
  • ガーデニング

 

なんでも、効果があればいいと思います。

 

 

脱感作は、学習した恐怖・不安状況における反応を
ラクゼーションをすることで、
学習された行動を壊します。

要は、ストレスを感じた時に
薬物を使用するという対応を取っていましたが、
その代わりにリラクゼーション行い、
ストレス時に薬物使用するという習慣を破壊します。

 

方法としては、リラクゼーションの技術を学び
ストレスを感じる状況を想像し、
その過程で、リラクゼーションを行い
薬物ではなく、リラクゼーションの技術で
不安やストレスの対処する方法を再学習します。

 

また、詳しいことは他の記事で。

 

 

自己主張は、端的に言うと
自分の気持ち・意見に正直になることです。

アサーティブトレーニングと言ったりし、
割と、実際に依存症回復をした人たちは
このトレーニングが一番有益なトレーニングの1つという
声もあったりします。

いろいろトレーニング法もありますが、
他の記事で詳しく話します。
とりあえず、他者を気にすることなく
自分の気持ちに正直にいることです。

 

これは、同僚からの薬物使用の誘いを
断るのに役立ちます

 

 

ポジティブな発言は、ポジティブ心理学で話しましたが
自己肯定感やウェルビーイングに関わってきます。

記事がすでにあるので、
確認してみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 


*反射条件付けの具体例(たばこで統一)*

  • リラックスしたいときは、たばこの代わりに
    違うことをしてリラックスする。

 

*反射条件付けが有効なステージ*

  • 実行期
  • 維持期

 


*2.援助関係*

*援助関係の定義*

  • 自分自身を気にしてくれてる人と問題行動について
    オープンかつ信頼した関係を持つ。

 

*援助関係の方法*

  • 治療的関係の構築
    (セラピストとの関係)
  • 社会支援
  • 自助グループ

 


自助グループは、有名ですよね。
アルコールアノニマス・ナルコティックアノニマス・ギャンブルアノニマス等ですね。

同じ経験を持つ人たちからの社会支援ですね。

 

治療関係は、セラピストの関係で
セラピストと問題行動について
オープンに話をすることが重要です。

また、
セラピストも無条件の共感を示すことが
必要になってくるでしょう。

 

という感じで、自分が信頼している人たちに
自分の問題について話して
共感してもらい、社会的支援をしてもらうことです。

 

 

*援助関係の具体例*

  • たばこの問題について話す相手がいる。
    そして、その人はしっかりと話を聞いてくれる。

 

*援助関係が有効なステージ*

  • 実行期
  • 維持期

 


*3.強化マネジメント*

*強化マネジメントの定義*

  • 行動の変化を起こしたことによる自分自身へのご褒美。
    もしくは、他者からのご褒美

 

*強化マネジメントの方法*

  • 報酬制度の契約
  • 顕在的・潜在的強化
  • 自分へのご褒美

 

報酬制度の契約は、堅苦しいですが
簡単に言うと、どの行動をしたら
どんな報酬をもらえるかあらかじめ決めることです。

 

そして、報酬を与えることで行動を強化(継続・学習)します。
その強化法に顕在的・潜在的があります。

 

自分もこの2つ知らなかったのですが、
潜在的強化は、想像を利用した強化です。
要は、ある特定の望ましい行動に従事していることを想像し
そして、その行動の行動の結果
報酬をもらっていることを想像します。

そうすることによって、実際に行動する時の
モチベーション・希望になります。

 


現在的強化は、詳しい記載が見つかりませんが
おそらく、実際に行った行動に対する
実際の報酬における行動の強化だと思われます。

 

結論、とりあえず
目的とする行動を行ったら、
褒美を与えて、行動を強化しようってことです。
(行動を繰り返し行う確率を上げる)

 

*強化マネジメントの例*

  • もし、たばこを吸わないと
    他者がその行動に対して報酬をくれる。

 

*強化マネジメントが有効なステージ*

  • 実行期
  • 維持期

 

報酬と言えば、学習理論ですね。
学習理論についての記事もあるのでどうぞ

 

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 


*4.自己解放*

*自己解放の定義*

  • 行動することの選択と責任、
    または行動を変化する能力があると信じること。

 

*自己解放の方法*

  • 意思決定治療
  • 新年の抱負
  • ロゴセラピー(Logotherapy)の活用
  • コミットメント強化テクニック

 

意思決定治療は、いろいろ方法あったと思いますが
方法としては、

  1. 問題の再認識
  2. 問題行動の代替え案の作成
  3. 問題の解決方法
  4. 行動計画を立てる。

 

この4つのステップを通して、
問題行動の利点・欠点
行動変化の利点・欠点を天秤にかけ
より良い決断をし、計画に従うようにする方法です。

 

 

新年の抱負は、わりと多くの人がしていますよね。

ようするに、他の人に宣言して
証言を取ってもらうということですね。

 

 

ロゴセラピーとは、端的に言うと
「人生の意味」を見つけることで
苦悩を乗り越える目的の治療法です。

 


コミットメント強化は、責任の強化ですね。
学習したことや、新たなに学んだリラクゼーションのテクニック
または、代替え案に従うよう努力することですね。

 

1つの方法としては、
選択肢を1つではなく、いくつも与えて
選ばせることです。

 

まあ、いろいろ方法はありますが
コミットメント強化は、
あまり自分自身がまだ詳しくないので
また今度で。

 

*自己解放の例*

  • 自分自身への暗示「やめたいと望めば、自分はやめられる能力がある」


*自己解放の有効なステージ*

  • 準備期

 


*5.刺激コントロール

*刺激コントロールの定義*

  • 問題行動を引き起こす引き金を避ける・対処する。

 

*刺激コントロールの方法*

  • 自分の環境を制御する。
  • 問題行動を引き起こす引き金を避ける。
  • フェーディングテクニック


環境を制御は、例えば
依存物質を身近な場所から取り除く。

 

引き金も同様ですよね。
依存行動を引き起こす、薬物に関連した刺激を避ける。

 

フェーディングテクニックは、
薬物を使用するという初期の動機から
薬物の必要性が薄れてくるまで
少しずつ、手を引く方法です。

細かくなるので、このテクニックもまた
違う記事ですね。

 

*刺激コントロールの例*

  • 仕事場からたばこを連想させるものを
    取り除く

 

*刺激コントロールが有効なステージ*

  • 実行期
  • 維持期

 


以上で、TTMの行動変容のステージ別の
有効な介入方法が終わりです。

 

そして、最後にどのステージにおいても
有効なものがあります。

それが、自己効力感です。

 

どのステージにおいても
依存物質・行動を再使用・再開することなく
問題行動を起こしやすい状況において
自分なら対処できるという自信が
重要になってきます。

 

自己効力感にまつわる、記事もあるのでどうぞ

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

ただ、まだこの記事の内容は
終わりません。
TTMにおける重要な考え方が
あと1つあります。
キーワードは、
意思決定のバランス」です。

何度か、問題行動の利点と欠点について
話したと思いますが、
いくつか興味深い話があるので
解説しますね。

*まとめ*

  • 行動変化が、依存症回復の基本
  • 多理論統合モデルによると、回復ステージは6つある。
  • 行動型の介入は、準備期・実行期・維持期に有効
  • 介入法は、依存物質・行動にの代替え案を持ち
    自分に正直になり、他者の協力のもと報酬を与えて健康的な行動を強化する。

*記事関連のおすすめの本*

「やり抜く人の9つの習慣」

「 Thngs Successful People Do Differently」

TTMの準備期・実行期・維持期とありますが
数年も維持期にいるためのヒントが
この本には隠れています。

特に、考え方や行動のパターンが語られています。

そして、どうやって目標を達成するのかという視点で、
目標設定から、実行期中の思考についてまで
取り扱ってます。

 

ぜひ、購入して読んでみてください。

 

英語版