依存症治療【心理学的治療】初めにする依存行動を変えるための治療法
*依存症関連の自分自身と外部への再認識が鍵*
「行動の変化」が依存症治療の基本です。
その治療法の1つに
多理論統合モデル(TTM)があります。
まだ、読んでない人は
以下の記事を確認してみてください。
TTMは、依存症回復のステージを
依存物質・行動の再開を含めたモデルになっており
スリップ・リラップスが回復の過程の一部として
捉えているので、割と前向きな理論でいいなと思ってます。
そして、今回の記事では
それぞれの依存症回復のステージを
進み続けるために必要な
依存症回復の「変化の過程」について話していきます。
つまり、回復ステージを移動するために
必要な過程です。
大きく、2つのカテゴリーがあり
10個の「変化の過程」があります。
この記事では、そのうちの1つのカテゴリーと
5つの変化の過程を紹介します。
ぜひ、有効に使い
依存症回復の手助けにしてみてください。
また、依存症の回復について
気になる方は、以下の記事もどうぞ。
*2種類の変化の過程(介入方法)*
2種類の行動を変化させるための働きかけがあります。
Prochaska & DiClemente (1983)によると
- 認知・感情に対す自分の経験型の働きかけ
(体験:例ー知識を得た・病気になった・他人を害した) - 周りの外部に向けての行動型の働きかけ
(行動:褒美をあげる・代替え案の行動・助けをもらう)
さらに、その2つのタイプ別に5つずつ具体的な方法があります。
*経験型の働きかけの具体例*
- 意識の高揚(問題の理解)
- 劇的な安心(問題に対する感情的な出来事)
- 自己再評価(問題行動に対する自分の再評価)
- 環境的再評価(問題行動の外部への影響)
- 社会的開放(問題行動と関連した社会の仕組み)
*行動型の働きかけの具体例*
- 反射条件付け(問題行動の代替え案)
- 援助関係(問題について、支援してくれる人と話す)
- 強化マネジメント(報酬を与える)
- 自己解放(行動を宣言する)
- 刺激コントロール(問題行動の引き金を避ける)
そして、それぞれの働きかけがうまく働く
ステージがそれぞれであります。
行動変容のステージに合わせて、
働きかけの具体例を挙げていきます。
基本的には、ステージ初期に
経験型の働きかけが有効で、
ステージ後期には、行動型の働きかけです。
ということで、
この記事では、経験型の働きかけの
5つを紹介します。
具体例は、たばこで統一します。
*意識の高揚*
*意識の高揚の定義*
- 自分自身と問題行動に対する情報を増やすことです
*意識高揚の方法*
- 自分の行動観察
- 問題行動と向き合う
- 自分と問題行動の再解釈
- 読書
ちなみに、読書ですが
これは、読書療法を示しています。
Bibliotherapy(ビブリオセラピー)といって、
本を読むことで、ストレスが減少したり
心理的なサポートをす方法です。
私が毎回、「記事関連のおすすめ本」を
紹介しているのは
これが一部の目的だったりしてます。
私の記事を読んでいただいて、
少しでも興味が出た内容に関連した本を読めた方が
いいとも思うので。
*意識の高揚の具体例(たばこで統一)*
- たばこに関する情報を雑誌・本・ネットで探す。
*意識高揚が有効なステージ*
- 無関心期
(※一番働き影が難しい時期) - 関心期
*劇的な安心(直訳)*
*劇的な安心の定義*
- 自分自身の問題や問題に対する解決についての
感情表現や経験。
*劇的な安心の方法*
- 心理劇
- 悲観経験(大切な何かを喪失)
- ロールプレイ
心理劇は、サイコドラマ(Psychodrama)といわれ
心理療法と1つです。
自分の内にある思いを劇の中で
即興で表現し、
自分自身の理解を深めるていきます。
まあ、少し個人で行うには
現実性が低いかなと思いますが
以降の記事で個人でできる方法があるか
調べて、記事書きますね。
悲観経験は、個人レベルで発生しそうですね。
病院で問題行動関連の病気を診断されたり、
余命が告げられたり
自分の大切な人が、自分自身と同じ
問題行動(依存物質・行動)で命を落とす。
これらの経験が、ある意味での行動の
モチベーションになるのでしょう。
要するに、感情的に人を動かすような
体験が必要ということです。
*劇的な安心の具体例*
- たばこの健康義骸の警告が感情に影響を与え
恐怖を覚えた。
*劇的な安心が有効なステージ*
- 無関心期
- 関心期
*自己再評価*
*自己再評価の定義*
自分自身の問題に関することについて
どのように感じ
どのような考えを持っているのか考えなおす。
*自己再評価の方法*
- 価値の明確化
- 想像
- 修正感情体験
- ロールモデル
価値の明確化 (Value Clarification)も、
実は心理療法の技術の1つです。
目的としては、意思決定・人生において価値のあるものへの
気づきを増やし
自分自身が抱えているモラルのジレンマを見直す機会を与え
自分にとって価値があるものを明確に再認識することです。
これらを通して、よりポジティブな行動・ストレスを軽減
また、意志決定に自分が大切にしている価値を考慮し
より良い決断を促進させます。
方法としては、
自分が最も大切にしている価値観を10-15個あげ
その後、5つまで絞ります。
そして、その5つの重要な価値観の中心となるものが
自分の決断・人生にどのように影響を与えているか考えます。
その結果、自分自身を見直すきっかけになります。
「想像」は、そのままで
実際に自分の置かれている状況を元に
この先、問題行動を続けた場合
起きえる出来事・可能性を想像する。
また、行動を変えた場合の将来の想像も行う。
「想像」は、自分ひとりで
特別なテクニックなしに
行えそうですね。
修正感情体験もセラピストと行うので、
今後、一人でもできるもの見つけたら記事作ります。
また、カウンセラー等の読者さんがいたら
記事作ります。
概要としては、心理学的テクニックの1つで
過去の出来事を振り返り、
自分自身が何者で、なぜそのような行動をとったのか
そして、なぜそのような反応をしたのか振り返り
自分自身の理解を促します。
ロールモデルは、自分と同じような経験をしている人が
上手くいっている状態・体験談を見つけることで、
自分にもできるかもしれない、
自分も彼らのようになりたいと動機付けの役割ですね。
という感じで、全体としては
問題行動ありとなしの自分のイメージを
再評価するという感じですね。
*自己再評価の具体例*
- 自分の重要な価値観とたばこへの依存は、
対立していて、自分自身を落胆させる。
*自己再強化が有効なステージ*
- 関心期
この自分自身への認識と依存症についての
記事もあるので、ぜひ読んでみてください。
*環境的再評価*
*環境的再評価の定義*
- 自分自身の問題がどのように物理的環境(他人・環境)に
影響を与えるか評価する
*環境的再評価の方法*
- 共感トレーニング
- ドキュメンタリー
- 家族介入
共感は、他人の感情を理解する力ですね。
要は、自分の行動が他人・外部に
どのような影響を与えるか考えるということですね。
共感力を上げる方法もいくつかありますが、
他の記事で取り扱いますね。
ドキュメンタリーは、実際に起きている現実や他者の経験を知ることです。
つまり、実際の実体験を聞いたり・見たりすることです。
例えば、お酒を飲んで車を運転し
誰かを引いてしまった後の人生の話とかですかね。
家族介入は、自分自身の行動が
他の家族に与えるロールモデルとしての
影響を考えることですね。
要は、親がたばこを吸っていたら
子供も吸うかもしれないと考えたりすることです。
*環境的再評価の具体例*
- たばこが環境を汚染するため、吸うのをやめようと考えた。
*環境的再評価が有効なステージ*
- 無関心期
- 関心期
*社会的開放*
*社会的開放の定義*
- 社会にある問題としてとらえられない代替え案を増やす
*社会的開放の方法*
- 抑圧された権利の擁護(直訳)
- エンパワーメント
- 政治介入
この3つは、わかりにくいので
簡単に説明すると、実際の社会に
依存物質・行動の予防・治療させようとする
社会への気づきと利用可能性があるか考えることです。
例えば、非喫煙ルームが特定の場所にあったり
喫煙ルームが設定されて、他の人の害にならないような
仕組みが社会に存在することを認識することです。
また、健康推進政策をするといった
政治的な要素が含まれます。
他には、たばこには健康を害するという注意書きが
書いてあります。
それらをどのように利用しようか
考えることで次のステージに進んでいきます。
*社会的開放の具体例*
- 非喫煙者のための公的の場所があることを認知する。
*社会的開放が有効なステージ*
残念ながら、この働きかけについての
適切なステージの記載がないです。
ただ、おそらく無関心期・関心期・準備期の
前半のステージに有効だと考えられます。
なぜなら、特に行動型の働きかけではないため
実行期・維持期のような行動をしている時ではないためです。
ということで、記事が長くなりそうなので
体験型の働きかけのみで終わりにします。
行動型の働きかけと行動変容のステージについては、
また、次回の記事で書きますね。
*まとめ*
- 体験型の働きかけは、自分自身の経験を基にしたものであり
行動変容ステージの初期(無関心期・関心期)に有効。 - 依存症に関連する知識や体験談を集め、
依存症にまつわる社会の仕組みを理解し、
他人や環境への影響を考えなおし
また、自分自身を振り返り将来を想像することが重要。
*記事関連のおすすめの本*
「インサイト。いまの自分を正しく知り、仕事を人生を劇的に変える自己認識の力」
「Insight: The power of Self-Awareness in a self-deluded world」
やはり、自己の認識って
行動の変化に重要なんですよね。
また、時々
「依存症は否認の病」と言われたりしますねよね。
ということで、この本です。
私は、大学卒業後就職せず
フィリピンとタイの大学に行ってたので、
良く耳にする自己分析みたいなことは
行ってませんが、
この本読んでいたので、割としっかりできていたかなと。
今の自分自身を認識するための
ガイドラインのような骨組みになってます。
ぜひ、購入して読んでみてください。