スリップは、意志の弱さではない。【リラプスプリベンション】依存症治療として、自己効力感を向上させよう。
依存症治療の最終ゴールは、
依存症の再発の予防です。
その方法として、リラプスプリベンションと言うものがあります。
リラプス(Relapse)は、英語で
日本語では再発と言う意味合いとして使われ、
プリベンション(Prevention)は、
日本語で予防の意味合いで使われてます。
そして、この依存症再発防止策は
いろんな手段があり、
今回の記事では、その1つである
自己効力感の向上について、解説していきます。
- *困難は打破できる感覚が必要*
- *共に依存症に向き合う*
- *仲間をみて客観視する力を養う*
- *依存症脱却は、学習の過程*
- *タスクの細分化*
- *なんでも誉めてみよう*
- *まとめ*
- *記事関連おすすめの本*
*困難は打破できる感覚が必要*
依存症を発症すると、なかなか依存行動を止めたくても止められない
そのような状況が発生します。
その結果、自分自身の意思の力の弱さを感じたり
無力感に襲われることがあると思います。
そして、リラプスプリベンションの1つに
このような自己効力感の低下に対して
有効な手段が組み込まれています。
目的としては、自分の行動をコントロールできる感覚をつかむと共に、
達成感を増加させ、依存行動なしに
困難な状況を乗り越えられるようになることです。
*共に依存症に向き合う*
リラプスプリベンションモデルで最も大切な戦略としては、
医療現場の典型的な医者と患者の上下関係ではなく、
患者とセラピストが協同することです。
要するに、お医者さんから言われたことに
したがっているだけで、なにをするかを待っている状況では、
自己効力感は上がりにくく、
自分自身で自分をコントロールしている感覚が
必要なため、患者さん自身も
治療に積極的に関わっていき
セラピストも患者さんと共に
同じゴールに向かって進んでいける
関係を持つことが大切なのかもしれませんね。
*仲間をみて客観視する力を養う*
リラプスプリベンションで、依存症当事者に
勧められていることとして、
同じ苦しみを抱えている同僚の役割を担うことで、
自分自身の行動を客観的に見れる人になることです。
客観的な視点を持てるようになると
自分自身の行動も依存行動としてみれるようになり
自分自身の依存行動に対する責任感と
自分自身の行動を変える努力をする責任感が
芽生えてきます。
もちろん、
病気だから依存行動をしてしまうのは
確かかもしれませんが、
依存症の中心は、個人の責任が中心にあります。
そして、その責任の周りに
病気的な側面・社会的側面・心理学的側面が
くっついて、依存症は構成されています
*依存症脱却は、学習の過程*
自分自身の行動・努力への責任がある程度目覚めたら
依存行動のような習慣を変えていかなくてはいけません。
その過程で、何回も失敗すると思います。
しかし、重要なことは
悪い習慣を変えることを
自分自身の意思の弱さのテストとしてとらえるのではなく
スキルトレーニングの過程としてとらえることです。
例えば、
食費を減らそうと自炊をすることにしました。
その過程で、指を切ったり、やけどしたり
お皿を割ってしまったり、焦がしてしまうことも
あると思います。
ただ、新しいスキルを学ぶためには
いつでも失敗がついてきます。
そのため、失敗するかしないかを
自分自身の意思の弱さが原因とは
ならないわけです。
と言う感じに、
少しずつ、依存行動なしで過ごすためのスキルの獲得
スキルの活用をし乗り越えられた感覚を得ることで
自己効力感の向上が見込めます。
*タスクの細分化*
もう1つの自己効力感を向上させる方法としては、
行動を変えるための全体の課題を
細かく分けていき、1回に1個ずつ
管理可能な小さな課題に分けていくことです。
(Bandura, 1977)
例えば、
生涯、禁酒を維持するという
遠い未来のゴールに焦点を当てるのではなく
依存行動を促すハイリスクな状況を対処する・
この日は、依存行動なしで過ごすのような
もう少し、小さく・実現可能なゴール設定をします。
なぜ、このようなことが勧められているかと言うと
自己効力感の増加は、
事前に設定したゴールの達成と密接に関係があり
小さな課題を無事に管理できた感覚は、
自己効力感を向上させるためには
最も有効な戦略だからです。
*なんでも誉めてみよう*
もちろん、自分自身で自己効力感を上げることもできますが
自己効力感は周りの助けによっても上がりますよね。
例えば、セラピストがカウンセリングをするとして
依存症関連の問題・行動に直接的に関わっていないとしても
予定通りに、カウンセリングに来てくれたことを
誉めるだけでも、自己効力感は上がるかもしれません。
その結果、依存症関連の行動を変化させる
モチベーションに繋がり、
自分の行動を変えてく過程で必要になるスキルを
無事に獲得できる自信をつけるきっかけになるかもしれません。
また、同様に
セラピストだけでなく、家族・同僚・当事者同士でも
同じようなことが言えるかもしれません。
とりあえず、依存症関連に間接的にでも関わるものであれば
誉めてみてもいいかもしれませんね。
*まとめ*
- 依存症からの脱却には、自己効力感があげよう。
- 仲間から学んで、自分を客観視する。
- 自分の責任・努力する責任を認める。
- 依存行動の再発は、意志の強さテストではない。
- 依存症の脱却は、スキル獲得の旅路。
- 実現可能な小さなゴールを作る。
- 依存症脱却に少しでも関連する行動なら
誉めてみよう。
*記事関連おすすめの本*
「鋼の自己肯定感」