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断酒だけが依存症回復のゴールなのか?【依存症回復】ウェルビーイングと日常生活の機能

アメリカでは、おおよそ1/3の人が
アルコール使用障害の基準を満たしていると
言われています。
(Grant et al., 2015)

 

何を持って回復とするのか多くの定義があるが、
ほとんどの人がそれらの問題を解決します。
(Dawson et al., 2005; Tucker et al., 2009; Witkiewitz et al., 2019)

 

ただ、多くの依存症回復として
ソーバーであることが十分ではないが
ソーバーである必要性が求められています

 

しかしながら、最近では
すべての人にとって断酒が
依存症回復を語るには本質的なものではない

と言われています。

 

と言うこととで、
少し依存症回復とは何か
深堀してみましょう。

 

 

 

*本当に断酒が必要なのか?*

Fan et al. (2019)で
興味深い疫学研究がおこなわれました。

 

たくさんのアルコール使用障害(AUD)の人を調べて、
その後をどのようになったのか追跡しました。

 

結果

  • 多くの人がAUDの改善
  • 34.2%の人がAUDが継続
  • 断酒なく回復した割合が17.7%
  • 断酒での回復した割合が18.2%

 

この結果からわかることは、
断酒なし・断酒ありでの回復の割合は
ほぼ同率であることです。

 

本当に断酒が必要なら
断酒をして回復する人の割合が
もっと高くても良さそうですよね。

 

 

*多くの人が軽度のアルコール使用障害*

危険なアルコール使用をする人が
たくさんいますが、
実際には、ハイリスクの飲酒をしている人
全員がアルコール依存症であるわけではなく、
AUDの診断基準を満たさない人もいて
さらに、AUDの診断基準を満たした場合でも
軽度のAUD(DSM診断基準における2-3個の症状(少ない症状))です。

 

実際のデータとしては、
Substance Abuse and Mental Health Services Administration [SAMSHA] (2016)では
2/3のAUDの人は、2-3個の診断基準の症状しか見られず、
軽度のAUDでした。

 

これらの軽度AUDに対しても
果たして本当に依存症回復を語るに
断酒の1視点のみなのでしょうか。

 

 

*依存症重症度と治療の意思と治療成績*

多くのAUD持ちの人は、まったく治療を受けず
アルコール依存からの回復も
治療なし・ありのどちらの場合でも
起こりえます。
(Tucker & Simpson, 2011)


治療を自分の意思で受ける人と
他の誰かによって受けるように強制された人は
重度のAUDである場合が多いです。

そして、より重度のアルコール依存の人ほど
断酒と言う選択のほうが
中等度の飲酒という選択肢よりも
成功しやすいと言われています。
(Tucker et al., 2009)

 

 

なので、やはり治療を受けずに
軽度のアルコール依存の場合は
依存症回復を語るに断酒の1つの視点ではなくても
良さそうな雰囲気がありますよね。

 

上記を考慮すると
アルコール依存の回復を断酒・ソーバーの達成にのみ
フォーカスを当てるのではなく
依存症の重症度・
治療を求めている人と求めていない人で
依存症回復の定義が違くても良さそうですよね。

 

*断酒だけがアルコール依存の回復ではない*

断酒のみで依存症回復を語るのはどうか
怪しい雰囲気がしてきたと思います。

事実ですね、SAMSHA(2011)では
依存症回復の定義において
日常生活の機能しているのか
また、一般的なウェルビーイングにより
焦点が当てられています

 

ここで興味深い言葉があります。
「Dry Drunk」
(Pattison, 1968)

 

Dry Drunkを直訳すると
「乾いた酔い?」ですかね。

このDry Drunkが何かというと
アルコール依存症の診断基準を満たしておらず、
かつ、断酒をしているにもかかわらず
不幸な人たちのことです。

なぜなら、日常生活は機能しておらず
ウェルビーイングの向上も見られないためです。

 

そのため、アルコール依存の診断基準を満たさず
かつ、断酒を続けている状態でも
ストレスに悩まされ、断酒をすることに苦しみ
社会活動への参加も少ない人達を
断酒のみの視点でアルコール依存症から回復したと呼ぶには
限界がありそうだと言われています。
(Fan et al., 2019)

 

よって、
ポジティブな変化が
(日常生活が機能する・ウェルビーイング
断酒より根本的な依存症回復の要素だと言われています。

 

これらを依存症回復の定義に組み込むと、
症状の軽いAUDの人でも
症状の重いAUDの人でも同様に
ウェルビーイング・日常生活が機能が
依存症回復の根本にはなりそうですよね。

 

 

*まとめ*

  • 断酒あり・なしでも回復する人の割合は
    変わらないかもしれない。
  • 多くの人がハイリスクの飲酒でも
    アルコール依存ではなく、
    仮にAUDでも軽度
  • 多くの人が治療なしに回復し
    断酒あり・なしでも回復している。
  • 重度のアルコール依存では
    治療のルートに行き
    断酒の選択肢が望ましい可能性
  • 依存症の回復は、断酒よりも
    生活が機能し、ウェルビーイングの向上が
    根本的な要素。
  • 断酒を状態で、アルコール依存でなくても
    不幸ならば依存症回復と呼ぶのかは疑問。

 

 

*記事関連のおすすめの本*

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この記事のおすすめの本ですね。
ウェルビーイングに関するものです。

 

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