CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

【依存症治療】依存物質・行動の引き金を無視できるように、注意バイアスをトレーニング。【行動療法】

*注意バイアスを元に戻す*

 

行動療法が、
依存症の不適合な学習を
治すために試みられます。

 

その1つとして、

認知バイアス補正?(Cognitive Bias Modification;CBM)」

があります。

 

ということで、この記事では
CBMについて解説していきます。

 

これは、「依存症=認知バイアス
関連しそうですね。
記事張っておきますね。

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*注意バイアスがターゲット*

注意バイアスは、
依存症で鍵になる
要素です。

 

なぜなら、依存に関連する刺激に
依存症は気づきやすく、注意力をより使い
頭は依存物質・行動ばかり考えてしまうからです。

 

ということで、
注意バイアスを狙った治療が
開発されてきました。

 

例としては、以下があります。

「Alcohol Attention Control Training Program (AACTP)」
(Fadardi & Cox, 2009)

 

少し、AACTPを説明しますね。

 

AACTPは、コンピューターを使ったもので
アルコール関連の刺激(引き金)に対する
自動的な注意バイアスを
克服するためのトレーニングです。

 

AACTPでは、さらに個人の性格を考慮して
パーソナライズされています。

そして、アルコールに関係・無関係の
視覚的刺激を与えて、
注意バイアスを変えていく
レーニングをします。

Alcohol Attention Control Training Program

上記のようなものが、
コンピューターのスクリーンに1つずつ
移されていきます。

治療方法としては、Level1では
無意味な刺激 or アルコール刺激(引き金)を無視しながら
背景の色を読み上げます。

Level2でも同様に、
無意識な刺激 or アルコール刺激(引き金)を無視して
刺激を囲っている枠の色を読み上げます。

Level3では、
無意識な刺激 and アルコール刺激(引き金)を無視しながら
無意識な刺激を囲っている枠の
色のみを読み上げます。

 

このトレーニングの雰囲気は
依存症の認知機能の異常を正常に
戻そうとしてる雰囲気が出てますね。

依存症の認知機能についての
記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

AACTPの治療期間は、
セッションは、1週間に1時間。
トータルで4週間です。

合計の治療時間は、1か月4時間ですね。

 

そして、
最終的にアルコール関連の刺激を無視し、
アルコールに無関係の刺激を優先的に
反応できるようになることがゴールです。

 

結果として、
アルコールの摂取量が減り
治療が終わった3か月後も
治療効果が継続した
報告されています。

 

そして、現在では
携帯で行えるように
ゲームテクノロジーを使った
CBMの開発が実験的に行われているみたいです。
(Cox et al., 2014)

 

便利になっていいですね。
この治療が皆さんの携帯で
サクサクどこにいても
楽しくトレーニングできたら
嬉しいですよね。

治療法が確立されたら、
アプリ作ってもらうように
お願いしたいですね。

 

暴露療法では、VRの使用が
試みられたりしていて、
テクノロジーによって、
治療法も変わっていきそうですね。

 

*CBMは臨床で使われていない*

CBMと前に紹介した
Cue Exposure Therapy;CET (キュー暴露療法)は
実際の臨床現場で依存症を治療するためには
ほとんど使われてません。

 

CETの記事も張っておきますね。

curiousquest.hatenablog.com

 

 

臨床上で使われていない理由としては、
治療後の長期における
治療効果の判定が抜けていたり、
研究デザインがしっかりと
コントロールされていなかったり、
臨床上での効果判定がなかったり、
他の治療法と比較されていなかったりと
まあ、いろいろ理由があります。

 

ただ、最近しっかりとした
研究デザインで、臨床上でCBMが
行われてきたりしているので、
今後、我々の手元にCBMが手にある日が
すぐ来るかもしれませんね。

 

 

*CBMの可能性*

現段階で、
CBMの依存症治療としての可能性として
言えそうなこととしては
他の治療と組み合わせて行うと
有効的な治療になりそう
ってことですね。

 

なぜ、こんなことが言われているかというと
CBMやCETは、複雑な依存症の行動の
一側面(注意バイアス)しか捉えておらず、
これらの治療を単一で行っても、
上手くいかなそうってことですね。

 

CETも同様で、治療によって特定の
引き金に慣れることは
可能かもしれないが、
日常生活においてすべての引き金に
慣れることが現実的なのか
怪しいですよね。

 

よって、可能性としては

  • 依存行動の引き金に対する反応が高く
    依存行動・物質の再使用の確率が
    高い人
  • より、依存行動・物質の再使用の
    可能性が非常に高く
    強力な治療が必要な人

これらのグループに対して
CBMとCETは、補助的な治療として
可能性を持ちそうですね。

 

*まとめ*

  • 認知バイアス補正法(CBM)は、
    依存症の注意バイアス(依存行動・物質に夢中)を
    ターゲットにした治療法
  • 短期的には、CBMは効果はありそうだが、
    長期的な効果は不明なため
    臨床上行われていない。
  • 依存行動・物質の再使用の確率が高い人の
    補助的な治療になりえる可能性がある。

 

*記事関連のおすすめの本*

「無意識のバイアス」

「Biased」

バイアスって無意識で起きているんですよね。

このバイアスが無意識に
我々の見方・思考・行動に
影響を与えてきます。

この本は、差別についての話が多いですが
依存症に置き換えたらどうなるか
考えると
有益な情報になりますので、
ぜひ、読んでみてください。