CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

【依存行動・物質の引き金に慣れる?】依存症治療ー行動療法

*依存行動の引き金に身を曝す*

 

「依存症=不適合な学習」として場合、
その学習を変えれば、依存的行動が治りそうですよね。

 

その手段として、行動療法があります。

 

その1つの「キュー暴露療法」を紹介します。

英語だと「Cue Exposure therapy」ですね。

日本語で調べてもいい感じの出ないので
CETで統一しますね。

 

まだ、依存症の学習理論を
読んでいない人は、ぜひチェックしてみてださい。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*キュー(Cue)反応性*

まず、「Cue」とはなにか。

Cue = 手がかり・合図
って感じでしょうか。

 

なんの手がかりと合図なのかというと
もちろん、「依存物質・行動の手がかり」ですね。

 

ようは、薬物と関連づけられて刺激が
薬物使用を促す合図・手がかりである。

 

例えば、
居酒屋・ライター・パチンコの音等ですかね。


これらの刺激が、
薬物使用をできるチャンスだと
教えてくれる合図なわけですね。

 

そして、
これらの刺激への反応性(反応しやすさ)
渇望につながり、
依存行動・物質の発生につながると
考えられています。

 

これは、「依存症=注意バイアス」的な
雰囲気がプンプンしますね。
まだ、読んでいない人は
ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

*薬物関連刺激への反応を消す*

この治療法のアイディアとしては、
薬物関連の刺激に対して、
繰り返し自分の身をあえてさらすことで
それらの刺激に対する反応を減らすことです
(Conklin & Tiffany, 2002)

簡単に言うと、「慣れ」ですね。

 

依存症関連の刺激に慣れを発生させ、
キュー反応性を下げていきます。

その結果、依存行動・物質への
渇望を下げていきます。

 

ただ、ここで重要なのでは
薬物の合図・手がかりは与えるが
実際の報酬を与えないことです。

 

 

要は、
薬物関連の刺激(合図)があるにもかかわらず、
報酬がもらえなかった場合、
その手がかりは意味がなくなるわけです。

その結果、実際の現実世界で
依存物質・行動の引き金を目の前にしても
引き金を引くほどの強い渇望が発生しないのでは?
ってことですね。

 

追加で重要なことは、
刺激下にさらされた後に、
高ぶった薬物への渇望を対処する方法を
持つことも重要です。


その1つに、
ラクゼーションテクニックが
ありますね。

 

要するに、依存物質・行動に頼らずに
渇望に対処する方法を学ぶわけですね。

 

ラクゼーションテクニックは、
多理論統合モデルで少し触れましたね。
気になる人は、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*CETは、効果あるの?*

今まであまり依存症治療の話で、
実際の効果やエビデンスについては
あまり触れてきませんでした。

理由としては、
「この治療をしたら依存症が治ります!」
みたいなことが言いにくいからですね。

 

そうすると、依存症で苦しんでいる人たちに
希望が示せないので避けていました。

 

ただ、Twitterを始めてみたら
割と、
これをすれば依存症は治るという
売り文句が多いと思い、
現状をしっかり伝えることも大切なのでは
と思い始めました。

 

ギャンブル依存症とCET*

まず、ギャンブルです。
Park et al. (2015)を紹介します。

VRを使った実験をしたので
今後の可能性としては面白いろいと思うので
選びました。

 

VRなので、バーチャルリアリティーを使って
ゴーグルを掛けたりして、違う空間で
ギャンブルにまつわる刺激に
自分の身を曝していきます。

依存関連刺激としては、5つありました。

  • カジノの中はナビゲートされる。
  • カジノのチップの交換
  • 他人のジャックポットを目撃
  • 自分がカジノゲームをしている
  • ギャンブルについて話す

 

この刺激の中では、
自分自身がゲームをしている状況下で
一番、ギャンブルへの渇望が高まりました

 

しかし、
CETによるこれらの刺激の後に、
ラクゼーションテクニック(複式呼吸)を
繰り返し行った結果、
ギャンブルの渇望が減少しました

ただ、対象が病的賭博ではなく
レクリエーションレベルのギャンブルなので、
まだまだ、研究しないとですね。

 

*アルコール依存とCET*

アルコールは、やはり人気な研究なのか
たくさん研究がありますね。
そのため、Mellentinさんたち (2017) の
メタアナリシス(信頼度高い)があったので紹介します

 

結論ですね。

CETの効果は、お酒の量は少量であるが減る。
再使用の対しては中等度の効果。
アルコールの渇望には変化なし。

 

ただ、残念ながら
それぞれの研究の質が低いため
CETのアルコール依存への効果に対して
結論は出せない
と報告されています。

 

研究が進むことを願いましょう。

 

他の依存についても話したいですが、
記事が長くなるので、
それぞれの依存ごとの
記事で、解説しますね。

 

*まとめ*

  • キュー(合図)暴露療法(CET)は、
    行動療法の1つ
  • CETは、薬物の引き金になる刺激に
    何度もさらすことで
    慣れを作り出す。
  • 「慣れ」と「対処法」を学ぶことが重要。
  • CETは効果は、ありそうだが
    まだまだ研究が必要。

 

*記事関連のおすすめの本*

「呼吸の科学」

「Breath: The New Science of a Lst Art」

 

CETは、論文でしか読んだことがなく
本で読んだことないので、
ラクゼーションテクニックの1つの呼吸の本を
紹介します。

ストレスにいいんじゃないって言われている
呼吸法も載ってましたね。

日本語では「交互鼻孔呼吸」みたいです。
Amazonさんが説明してくれてました。

 

最近、内受容感覚が依存症で重要な要素として
人気な研究になってますが、
その感覚も呼吸で介入できるので、
呼吸の知識があると依存症と上手に向き合えるかもしれませんね。