学習理論からみえる依存症治療【行動療法】
*依存症行動を不適応から適応へ*
依存症は、学習理論によって
説明されることがあります。
それらを利用した
行動療法が依存症の行動を変化させる
治療として使用されることがあります。
ということで、
まずは、行動療法と学習理論を
説明していきます。
学習理論の内容の記事もいくつかあるので、
チェックしてみてください。
*学習の条件付け理論*
学習理論として、条件付けが有名ですね。
特に、以下の2つですね。
- 古典的条件付け
- オペラント条件付け
*古典的条件付け*
古典的条件付けの有名な例は、
パブロフの犬ですね。
パブロフさんが犬を使って実験したやつですね。
基本的に、餌を犬にあげると
犬は唾液を出します。
いたって正常です。
しかし、パブロフさんは餌をあげるときに
全く無意味であったベルを一緒に鳴らして
餌を与え続けた結果、
犬がベルの音と餌をもらえるときの反応である
唾液の放出を結び付けてしまい、
犬は、ベルの音のみ(餌なし)でも
唾液を出すようになります。
つまり、無意味の刺激(ベル)を
特定の反応(唾液放出)と結びつけてしまい
その刺激(ベル)が条件付けされ、
特定の反応(唾液放出)を引き起こしてしまう。
*オペラント条件付け*
これは、道具付け条件付けとも言われますね。
分かりやすい例は、「飴と鞭」ですね。
飴が報酬で、ある行動に報酬を与えたら
その行動は、強化され学習が促進される。
鞭が罰で、ある行動をしたら罰を避けることができる
そのため、それ以上罰を受けたくないため
その行動が強化され学習が促進される。
*依存症は、不適合な学習*
上記の学習理論が、依存症に関わってきます。
そして、これらの理論に基づくと
依存症は、不適切な学習であると言われています。
ということで、上記の理論を依存症に
当てはめてみましょう。
*依存症の古典的条件付け*
これは、依存症に当てはめると
居酒屋がパブロフの犬のベルに当たりますね。
居酒屋に行くたびに、お酒を飲んでいると
居酒屋という意味のなかった刺激が、
居酒屋と「お酒を飲みたい」という反応と結び付けられ、
お酒を目の前にしなくとも、
お酒を飲みたい願望反応を引き起こします。
*依存症のオペラント条件付け*
依存症の場合は、
依存物質による
短期間の大量のドーパミンレベルの上昇が飴(報酬)
ストレスや離脱症状が鞭(罰)で
薬物の使用がそれらを逃れる行動である。
それゆえに、薬物摂取が強化・学習されていきます。
上記を考慮すると
薬物に関連した反応は、
薬物の有無に関わらず、
引き起こされてしまいます。
つまり、学習の結果
薬物の存在なしに、ある特定の条件下で
薬物の渇望・再使用を誘発します。
*薬物関連の刺激の理解*
学習によって、
薬物と無関係だったはずのものが
薬物と関連づけられ、
薬物反応を引き起こしてしまいます。
そのため、依存症治療として
着目する点は、
薬物に関連した刺激の
理解と判別をし、
それらを避ける・変化させることができたら、
薬物使用が避けられる可能性が上がりそうですよね。
もしくは、新たな行動の再学習
つまり、新たな関連づけを
薬物以外の他の刺激と反応を
結びつけることができれば、
依存物質・行動を避けられそうですね。
*学習理論に基づいた治療法*
上記に挙げたような対策を取る
治療法がいくつか発展してきました。
それが、行動療法です。
*依存症の行動療法の例*
- 険悪療法
(Aversive therapy) - 随伴性マネージメント療法
(Continegency Management Therapy) - 暴露療法
(Cue exposure therapy (CET)) - 認知バイアス修正トレーニング
(Congtive bias modification training(CBM))
この記事では、一個ずつ解説すると
長くなるので、次回の記事で一つずつ
書いていきますね。
いくつか、よく聞く治療法がありますが
気になる人は、私が記事を作る前に
グーグルで検索してみてください。
行動の重要性は、他の記事でも
口酸っぱくいってるので、ぜひ読んでみてください。
*まとめ*
- 依存症は、学習理論で説明される。
(オペラント条件付け・古典的条件付け) - 依存症は、不適合な学習。
- 薬物関連の刺激の認識・逃避・変化が
行動療法の基礎 - 依存症の行動療法の例として、
険悪療法・随伴性マネージメント
暴露療法・認知バイアス修正がある。
*記事関連のおすすめの本*
「やる気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣」
「Carrots and Sticks」
現代の価値観に合うのか、微妙ですが
飴と鞭の話ですね。
英語だと「人参と棒」ですが
まあ、仮に現代の価値観にあってないとしても
依存症が改善するなら、
全然選択肢としてありだと思います。
レビューには、
お金の話ばかりでうんざりと言われていますが
例として捉えてどのように応用するか
自分で考えてもらいたいですよね。
興味のある人は、読んでみてください。
依存症治療・回復のヒントがあるので
自分ですくい上げて、自分に合うように
応用してみてください。
英語版