CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

ネガティブな感情が依存症思考を引き起こす【依存症定義】

離脱症状とストレスが認知を歪ませる*

 

認知の歪みは、依存症を説明するための
1つの要素になっています。

 

その認知を仕組みを考慮した
依存症の理論がいくつかあります。

 

この記事では、その一つを説明していきます。

キーワードは、「ネガティブな感情」です。

 

他にも、依存症の理論があるので
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

 

*負の強化*

学習には、正の強化と負の強化があります。

 

正の強化は、行動の結果何かポジティブなものが
手に入ると、その行動の学習を促進します。

 

負の強化は、行動の結果何かネガティブなものを
避けれた場合、その行動の学習を促進します。

 

まあ、俗にいう「飴と鞭」ですね。


依存症の場合、
この負の強化をするものとして考えられているのが
離脱症状「ストレス」ですね。

 

この2つを避ける・和らげることが
薬物を使用するモチベーションであると
割と昔から言われています。
(Wikler, 1948)

 

依存症の話をして、ストレスの話が
出てこないことは、本当にまれですね。
ストレスの記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

ただ、
この離脱症状を和らげることが依存症
としている依存症理論は
実際のデータやエビデンスとは
異なることがあります。
(Lyvers, 1998)

 

 

要は、離脱症状が軽いときにも
頻繁に薬物の再使用がみられてたり、
再使用と離脱症状のサインはの
関係はまれであると言った研究があります。
(Robinson &Berridge, 1993; McAuliffe, 1982)

 

 

本当に、依存症は複雑ですね。

 

ということで、単純な負の強化だけでなく
負の強化の理論と認知を組み合わせた理論が
誕生しました。

 

 

*感情処理と負の強化*

これから本題の理論に入ります。
理論の名前は、
「An Affective Processing Model of Negative Reinforcement」
(Baker et al., 2004)

 

Affective processingが、「感情の処理」
Negative Reinforcementが、「負の強化」

 

この人たちの主張としては、
薬物からの離脱に関連した
ネガティブな感情を除去するために
薬物は使用される

 

 

もちろん、薬物によって
離脱症状は、異なりますが
離脱症状の共通項としてネガティブな感情
挙げられます。

 

 

依存症では、このネガティブな感情を処理するために
薬物を使用するという学習をしていきます。

そして、
このネガティブな感情と認知が絡んできます。

 

 

 

*ネガティブな感情が認知の歪みを生む*

 

負の強化によって、薬物の使用を学習した後に、
「ストレス」と「ネガティブな感情」がたまると
認知の歪みが発生します。

 

ストレスがたまりにたまると、
ネガティブな感情を意識下で感じることができ
情報処理の仕方に影響を与えます。

 

例えば、注意が依存症関連により向いたり
ストレス下での行動選択において
薬物がより優先されます。

 


よって、ネガティブな感情がたまると
ネガティブな感情が意識下にのぼるため
注意がよりネガティブな感情・ストレスに向き
それらの結果、対処法の行動選択として
より安易で、即時的にネガティブな感情を
逃れる選択を選びやすくなり
ほぼ反射的に薬物を使用してしまう。

 

そして、
薬物以外のネガティブな感情への
対処法は後回しにされます。

 

ここに、「認知」が絡んでいますね。

 

より、ネガティブな感情が高まると
情報処理・注意・意思決定の認知機能に
影響を与え、
学習したより簡単な薬物使用に
導かれやすくなっている状態である。

 

 

*理論の応用*

この理論から見えることは、

ネガティブな感情が強烈になると
認知の歪みが発生し、
学習された薬物を使って対処する方法を
取る可能性をあげてしまう。

 

 

この依存症の理論をみると、対処法が見えてきますよね。

 

  • ネガティブな感情をため込まない
  • ネガティブな感情に対する新たな対処法を学ぶ
  • 離脱症状を減らす。
  • ストレスを減らす。

他にもありそうですね。

 


そのため、

ラクゼーションテクニックや
薬物に頼らない代替え案の作成、
ストレスマネージメント、
認知行動療法等が治療の選択肢として
あるのでしょうね。

 

ネガティブな感情と正反対である
ポジティブの感情についての記事もあるので、
ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

また、感情のバランスについての
依存症理論もあるので、ぜひ読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

 


*まとめ*

  • 離脱症状とストレスを回避するための
    薬物摂取が薬物使用を強化する。
  • ネガティブな感情は、どの依存症の離脱症状・ストレスに
    見られる共通分母
  • ネガティブな感情が、認知に歪みを生む
  • ネガティブな感情が強くなると、
    より薬物に意識が向き・薬物を反射的に
    選択しやすくなる。
  • ネガティブの感情を対処・認識を変えることが
    治療の選択になりえる。

*記事関連のおすすめ本*

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