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スリップの危険信号を見逃すな。【リラプスプリベンション(再発予防)】スリップのハイリスクとコーピングスキル

何度も言いますが、
依存症再発予防が依存症治療の最終ゴールです。

 

その方法として、
リラプスプリベンションがあり、
リラプス(再発)にプロセスに合わせて
いくつかの方法があります。

 

今回は、その1つである
ハイリスクな状況の特定とコーピングがあります。

この記事では、
依存行動を再び行ってしまうハイリスクな状況の把握と
その状況へのコーピングについて解説していきます。

 

 

 

*スリップの危険性を見極める*

スリップ・リラプスするハイリスクな状況を
予測・対応する計画を立てるには
まず初めにしなければいけないことは、
どの状況で依存行動への願望が増加し
その状況への対応が難しくなるのか
特定することです。

 

状況がわからないと、予測も計画も
立てようがないですからね。

 

スリップのハイリスクな状況を特定する方法は
色々あります。

 

例えば、
過去のスリップ(ラプス)・リラプス(再発)の経験
もしくは、
それらの状況のストーリーを作り
ハイリスクの状況への対処が難しい場合を
特定します。

 

 

*自己効力感が大切?*

ハイリスクな状の特定に役立つ
1つの視点として、自己効力感があります。
(Annis & Davis, 1998)

 

自己効力感ですので、
どれほど、今後の飲酒機械・喫煙機会等の
依存行動をしそうな場面に遭遇した時に
自分自身の行動をコントロール
耐えることができるのかと言った自信ですね。

 

あと、一応どれほど禁欲(依存行動を止める)をすることができそうか
といった自己効力感を測る質問票があります。

 

おそらく有名なのが、
「Drug Avoidance Self-Efficacy Scale(DASES)」
(Martin et al., 1995)

日本語版が無さそうなので、
私が翻訳したところで
信頼性・妥当性が怪しいですが
紹介しますね。

 

*自己効力感を測ってみる*

DASESでは、16通りの状況を想定し、
それぞれの状況でどれほど、
依存物質使用に耐えられる自信(自己効力感)が
あるのか、
1-5点をそれぞれの質問に
点数を付けます。

 

点数のつけ方は、

1が、まったくない
5が、最大ですね。

 

*DASESの質問*

  1. 薬物をやめたことによる
    苦痛を感じている時
  2. 頭痛があるとき
  3. 落ち込んでいる時
  4. 旅行に行き、リラックスしたいとき
  5. 他の誰かが心配でいっぱいの時
  6. 心配でいっぱいの時
  7. 薬物を1度試し、何が起こるかという
    衝動が生まれた時
  8. 社会交流中に薬物を提供された時
  9. 薬物を使用する夢を見た時
  10. 自分の薬物使用に対する
    医師の力を試したいとき
  11. 身体的が薬物を求め
    薬物を渇望している時
  12. 身体的に疲れている時
  13. 身体的な痛み・怪我を経験している時
  14. いらだちで爆発しそうなとき
  15. 他の人がバー・パーティー
    薬物を使用しているのを見た時
  16. 自分の身の回りのすべてが
    上手くいかないと感じた時
  17. 過去に薬物を一緒に使っていた人が
    薬物を使用するように勧めてきた時
  18. 怒りが内側から込み上げてきた時
  19.  薬物を使用したい衝動が予想外に
    発生した時
  20. お祝いをしていて、興奮状態のとき

 

と、まあこんな感じです。

一応、4カテゴリーに分けることができます。

  • ネガティブな感情
    質問ー3,6,14,16,19
  • 社会プレッシャー
    質問ー4、8,15,17,20
  • 身体的・その他の薬物使用の不安
    質問ー4,8、15,17,20
  • 渇望・衝動
    質問ー1,7,10,11,19

 

合計点がこれぐらい高いと
耐える可能性が高いみたいな研究は
見つかり次第足しますね。

その代わり、この質問票を自分の自己効力感の変化を
捉えるには十分に使えそうな指標だとは思います。

 

 

*まだ断酒・断煙・断薬してない?*

自己効力感が大切ですが、
そもそも、断酒のような
薬を断っていない段階の人はどうすればいいのか。

 

まずは、自分の行動のモニタリング
推奨されてます。

特に、
薬物摂取に関連する状況・感情・衝動・人間関係
といった要因の記録を取ることから始めます。

 

これらの記録を取ることで、
薬物摂取に関連した状況に
気づきを与えてくれます。

同様に、この方法は
すでに断薬を決意した人も有効に使用でき
より、依存行動に関連した状況を
評価するのに役立ちます。

 

 

*スリップへの対応策*

どのような状況がスリップ・リラプスの
ハイリスクな状況か理解できたら、
次はどのような方法でリスクを下げることができるか。

 

2つ紹介しますね。

 

*スリップの危険信号*

最初の方法は、危険信号の認識です。

 

スリップ・リラプスに陥りそうな
ハイリスクな状況が分かったので、
その手前に現れる危険信号の認識です。

要するに、ハイリスクな状況に
まずは行かないために
ハイリスクである状況のサインを見つけることです。

 

例えば、
ライフスタイルバランスが崩れたり
薬物へのポジティブな効果への期待感
ストレス等が
危険信号の例ですね。

ある程度共通点はあるものの
人それぞれですので、
自分の行動に合わせて
危険信号を見つけてください。

 

*やる気とコーピングの技術*

次の戦略は、リラプスプリベンションで
最も重要な側面と言われています。

 

それは、ハイリスクな状況に対して
対処することができる能力があるのか
また、対処するモチベーションがあるのか
評価することです。

 

そして、
より効果的なコーピングスキルを
学ぶことです。

 

評価しないと、学ぶこともわからないので。

 

ハイリスクな状況へのコーピングスキルとしては、
社会的交流の場で断る技術や
アサーティブコミュニケーションスキルがあります。

 

まあ、しっかりと自分の意思を伝えるということですね。

今度、アサーティブコミュニテケーションの記事も作りますね。

 

 

また、一般的な対処能力の向上の手段としては
瞑想・アンガーマネジメント・ポジティブセルフトークがあります。

 

 

*実際に使える技術なのか*

まあ、これだけ説明しても
なかなか実践が難しいですよね。

 

なので、レーニングが必要です。
例えば、ロールプレイとかですよね。

 

また、しっかりとした事前の計画や
将来のハイリスクな状況への対応策の構築をする。

 

方法を知っただけでは、なかなか効果を発揮しません。
ぜひ、事前に考えられるだけの状況を想定し
抜け目のない対応策を考えてください。

仮に失敗しても、学びの機会だと捉え
再分析し、対応策を再び考えてみてください

 

*まとめ*

  • リラプスを予防するのがリラプスプリベンション
  • ハイリスクな状況を特定する
  • ハイリスクな状況を耐えられるかについての
    自己効力感(自信)がリスクの高さを
    反映する。
  • 自分の依存行動のモニタリングと記録をする。
  • ハイリスクの手前に現れる
    危険信号を見つける
  • ハイリスクな状況を耐えるやる気と
    スキルを身につける
  • 事前に、練習・計画を立てて
    失敗しても再学習する。

 

*記事関連のおすすめの本*

リラプスプリベンションの本を以下の
記事から見つけてみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com