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本当に依存物質・行動をやめたいの?【依存症定義・理論】依存症=選択【熟考された結果の選択が依存症】

依存症には、多くの理論が存在します。

 

その1つを紹介します。

 

アイディアは、「依存症=思慮深い選択」です。
「依存症=選択」の立場を取ってますね。

 

端的に言うと、
我々の選択は、論理的であろうと・バイアスがかかってあろうと
しっかりとした明快な思考過程が関わってる。

 

と言うことで、1つの理論を基に
少しずつ解説していきますね。

 

 

 

*情報に基づいた安定した論理的選択*

今回紹介する理論の名前は、
「The Rational Informed Stable Choice (RISC)」
(West & Brown, 2013)

なんとなく、日本語訳すると
「情報に基づいた安定した論理的選択?」って感じですか?

 

これを聞くと、
依存症っぽくない感じがする人がいるかもしれませんね。

ただ、この理論も依存症の重要な点を
しっかりと捉えています。

 

 

*依存症=利害分析*

なぜ、我々はある特定の行動を取るのか。

 

上記の、RISCモデルでは以下のように
理由が考えられています。

  • 行動による利点の期待
  • 行動による悪影響の理解・許容

 

つまり、
我々は利害をしっかりと考慮した上で
意思決定しているってことです。

そのため、このモデルでは
依存症には精神活動には見た目上は異常があるが
実際は、異常がないと考えています。

 

例えば、ヘロイン依存だと
割とお金がなく、衛生的に良くない場所に住み
精神的に病んでいる場合があります。

その場合、我々はその人たちを以下のように
推測するかもしれません。

「あの人は、本当はそのような生き方をしたくない」
「あの人は、自分のコントロールを失っているから
あのような生活をしてるだけだ。」

 

この理論では、
このような憶測は
誤りだと指摘しています。

 

なぜなら、
しっかりと行動の利点と欠点を分析し
欠点を許容したうえで
今の生活を行っていると考えているためです。

 

 

*実際の依存症の視点*

まあ、とはいえ
そんなことは無いと思う人もいると思います。

依存症の人は、自分がコントロールできず
その結果、依存症であると考える気持ちもわかります。

 

ただ、実際の依存症の人たちの視点を
分析してみると
RICSモデルをサポートする意見があります。

 

McAuliffe & Gordon (1974)では
実際にインタビューした内容があります。

オピオイド依存のインタビューですが、
以下のようなコメントがあります。

 

  • ハイになるのが好き
  • ハイになった後のクラっとした感じが好き
  • 酔った時と一緒で、気持ちがいいから
    ハイになるのが好き
  • 幸せで満足感に満たされる
  • ただ単純に、満足感に満たされる
  • いつもより幸福感に満たされる
  • たくさん使うのは、ただハイになりたいから。

 

みたいなコメントを実際の依存症の人が
言ってます。

 

依存行動の利点が強調されてますよね。

 

 

RISCモデルによる依存症の人たち*

これらを考慮すると、
依存症の人は、依存行動・物質を止めた人生よりも
依存行動・物質(飲酒・喫煙・ギャンブル等)を
している人生の方がより良い人生であるため
飲酒者・喫煙者・ギャンブラーである人生を
好んでいるわけです。

なぜなら、依存行動・物質は
幸福を与えてくれる
また、自分のアイデンティティーの一部
また、人生をうまく乗り切ることを手助けしてくれるから。

 

もちろん、依存行動・物質が
自分自身を傷つける
また、他人を傷つけることも
理解している。

 

しかし、
自分にとっては、
依存行動・物質をしようする利点が
欠点を上回っているだけだ。

 

ただ、もし実際に悪影響が明らかになった場合のみ
(心疾患等)
行動を変えるかもしれない。
なぜなら、それらの機会によって
(自分と他人への害・モラル的に良くない行動という視点)
自分自身の行動が、自分のコントロール外にあることを
気づかせてくれる。

 

 

なので、RISCモデルによると
依存症の人は、依存行動による害を知らないと
憶測するのは誤っているわけです。
害は、知っているうえで
依存行動・物質を使用しているわけです。
なぜなら、利点が欠点を上回っているから。

 

 

*本当にやめたい?*

おそらく、たばこ・お酒を止めたい?
と依存症の人に聞くと、
おそらく、ほとんどの人が
依存行動・物質を「やめたい」と言うと思います。

 

しかし、実際にやめる行動を取るかは別です。

ただ、
この「やめたい?」という
質問は誤っているかもしれません。

例えば、「世界旅行したい?」と聞かれて
多くの人が「したい!」と言うと思いますが、
実際にする人はほとんどいないと思います。

 

依存症も同様です。

 

そのため、
「本当に依存行動・物質を止めたいのか」と
依存行動を止めたい人に問い詰めるのはナンセンスなわけです。

また、やめたいという願望と実際の行動の矛盾を
依存症のサインであると説得に使うことも疑問ですよね。

 

なので、本質的に聞くべき質問は
RISCモデルによると
「依存行動・物質の無い人生への展望・期待が
依存行動・物質を続ける人生(喫煙者・飲酒者・ギャンブラー等)よりも
魅力的ですか?」

 

もし、答えが「Yes」であれば
このモデルによると
依存行動を止めるタイミングかもしれませんね。

仮に、答えが「Yes」であるが
依存行動を続けるならば
このモデルに対して反する結果になりそうですが。

 

 

*まとめ*

  • 依存症の人は、見た目上はコントロールができていない
    問題があるように見えるが
    しっかりと利害分析をしている結果による選択。
  • 依存症の人は、依存行動・物質の害を理解したうえで
    依存行動のポジティブな結果を得るために
    それらの害を許容して依存行動をする。
  • 害が実際に明らかになるまで
    利害分析による害が利点を上回ることは
    難しい可能性
  • 依存行動・薬物を「やめたいの?」と聞く
    また、説得するのはナンセンス

 

*記事関連のおすすめ本*

申し訳ないですが、理論の話で関連書を勧めるのは難しいので
関連記事を張っておきますね。

curiousquest.hatenablog.com

 

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