自分自身への気づきが依存症治療の成績に影響する?
自分自身と向き合う
自己コントロールは、
依存症の克服のために必要な能力の
1つだと考えられています。
依存症から回復するために、
ゴールや目標を設定し達成するためには、
自分の決めたことを守り自分をコントロールし続けることができれば、
回復への道を着実に歩める可能性が上がるでしょう。
そして、その能力に影響を与えているものがあります。
それが、「自己への気づき」です。
自分自身への気づきとモチベーションについて
話していきます。
自己コントロールについての記事もありますので、
気になる人は、読んでみてください。
*自分の価値観と行動の一貫性*
自己コントロールの能力に影響を与えていると考えられているものが、
Private speechというものです(Diaz & Berk, 1992; Diaz, et al., 1992)。
*Private Speechの定義*
- 自分の計画や大切にしている考え方や価値観に
どれほど自分は一貫性を持って行動ができているか
考えること
例えば、親切にすることが大切な価値観であるとします。
その場合、自分がその自分が大切にしている信念に
どれほど一貫性をもって従えているのかどうかを
他人に評価されるのではなく、自分自身で振り返り考えます。
そして、この考えは大きく2つに分かれます。
- 自分の価値観に従って行動に対するもの
- 自分の価値観に反した行動に対するもの
例えば、
- 困っている知らない人を助けた
(自分の価値観をサポートする発言) - ネット上で不特定多数の人に悪口を書き込む
(自分の価値観に反する)
しっかりと、自分の信念や目標に対する
自分の行動と発言を振り返ることは
自己コントロールの能力を高めるためのカギ
になっています。
*依存症における自己への気づき*
依存症に置き換えると、ゴールを禁煙とした場合
自分に正直にこのゴールに向かって、
どれほど一貫性をもって行動や発言ができているのか考えます。
ただ、注意点としては
自分が決めたゴールに向かって行動できていないからといって、
あなたがダメな人であるというわけではない
ことです。
多くの人が、自分の設定したゴールに対して
失敗と成功の両方を経験するため
いたって普通のことだからです。
そして、一番大切なことは
その一貫性のない行動や発言に他人から言われて気づくのではなく、
自分自身で気づくことです。
また、もう一つ大切なことは
自分の行動を振り返るときに、
両極端の2つの意見がバランスよく浮かび上がってくる
ことです。
この相対的な2つのバランスは、
自分の設定した目標への行動を変えようとしている時、
自分がどのくらいその目標に向かって準備ができているかを示す指標
になっています(Carey et al., 2001)。
また、治療後の治療成績を予測することができる指標
にもなってます(Amrhein et al., 2003; Moyers et al., 2007)。
*自分に気づくのは他人ではなく自分自身*
いろいろ言っていきましたが、最も大切なとこは
自分自身で自分の行動と発言を振り返ることです。
他人から言われるのではなく、自分自身での気づきが大切です。
事実、他人からあなたの行動を評価されると、
自分を変えようとするモチベーションは失われる
といわれています(White & Miller, 2007)。
これは、人間の摂理のようなもので、
他人から批判やアドバイスを一度にたくさん言われると
少しやる気をなくしますよね。
よって、
自分の設定した目標に向かって行動を変えていくためには、
正直に自分自身で上手くいった事と失敗したことに向き合うことで、
また再びゴールに向かって歩き出せる可能性が高くなりそうですね。
ちなみに、私が一番大切にしていることは好奇心です。
- 価値観に沿う行動
ー 依存症の手掛かりになりそうないろんな分野の論文読んでます。 - 価値観に沿わない行動
ー 苦手な分野(倫理、法律、政策)全然勉強する気になりません。
少しずつ、毎日着実に進もうと思います。
自己への感覚についての記事があるので、
そちらもどうぞ。
*まとめ*
- 自己コントロールは、重要な依存症回復の能力
- 自己コントロールの上昇には、
自分自身の言動を振り返ることが有効 - 自分の価値観に沿うもの・沿わないものを
バランスよく振り返る。 - 他人から言われて気づくのではなく、
自分自身で気づく必要がある。
*記事関連のおすすめの本*
「本当の自分がわかる心理学」
自己への認識は、依存症回復において
重要な要素のため、この本を紹介します。
心理学的に、生きづらさの根本を
解消するための方法や理由が書いてあります。
ぜひ、購入して読んでみてください。