自己コントロールを失った依存症【行動抑制をする脳回路を鍛える】
* 衝動的な行動の抑制*
薬物依存は、衝動的な行動と表現されることが多いので、
この記事では、その衝動を抑える鍵を説明します
*コントロールできない=依存症*
依存症は、アメリカのAmerican Psychiatric Association(APA)のDSM-5と
いった病気の診断の基準を示している本では、
頻繁にLoss of control (コントロール不能)
といったキーワードが頻繁に使われています
(APA, 2013)。
依存症とは、なにか説明した記事もあるので
ぜひ、読んでみてください。
そして、いろんな要素が依存症で見られる制御不能な行動に影響を与えています。
- 依存性の強い物質
- 環境や外部要因
(薬物使用と結びついたもの) - ストレスと不適切な対処法
- 前頭葉の機能不全 (行動の抑制)
(Chris, 2019)
今回は、行動を促す要因ではなく
行動の抑制に役割を果たしている前頭葉について少し話します。
*前頭葉の役割と依存症*
前頭葉とは
;脳の前方に位置している
;最後の最後に発達する場所
;ほかの動物の違いを作り、人間らしさのみなもと
;行動の抑制
;25歳で成長が完了
ざっくりとこんな感じです。
実際にこの能力を測るテストを依存症の人とそうでない人と比べると、
依存症のグループは抑制の能力のテストの成績がよくありません。
例えば、2つの報酬の選択肢を与えられた場合
ー 500円を今すぐもらう
ー 今日の終わりに2000円をもらう
依存症ではないグループは後者の2000円を選ぶ傾向が強く
依存症のグループは前者の500円を選びました。
(Bickel &Marsch, 2001)
つまり、依存症のグループは行動の抑制が苦手で目の前の今すぐもらえる報酬の誘惑に弱い可能性があります。
*前頭葉の発達とトレーニング*
ここで、先ほど説明した前頭葉の発達のピークを思い出してもらうと、
25歳で成長のピークを迎えます。
よって、その年齢よりも
若い世代が依存性の高い物質に頼ると
依存症になる可能性が高いかもしれませんね。
事実、青少年時代からの依存性のある物質の使用経験は、
重症度が高い傾向があります
(Franken &Hendriks, 2000)。
ここで、もしかしたら読んでいただいている人の中で
疑問がもう一つありそうですね。
25歳以上になったら成長が止まって、
後退していくとしたら、行動の抑制が難しくなるかもしれない。
安心してください。
まだまだ、やれることはたくさんあります。
個人で行えるものとしては、
瞑想と運動等で前頭葉の活動を向上できる可能性がありますね。
どちらも、前頭葉の発達を促進し抑制の能力を高める
可能性を秘めています。
(Wendy et al., 2010; Adrienne et al., 2018)
ただ、自己制御が本当にできるか
怪しい立場もありますね。
この記事で、触れています。
*まとめ*
*記事関連のおすすめの本*
「脳を鍛えるには運動しかない」
本当に、運動はすさまじい効果を持っています。
この著者は、依存症の患者さんを診ていたお医者さんで
依存症にも運動した方がいいよねって
言ってる人です。
私も大賛成です。この記事でも触れましたね。
ぜひ、読んでみてください。