CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

依存は物だけじゃなくて場所もある?

*環境要因と依存の関係*

 

薬物依存を理解するために、
欠かせない内容はモチベーションの理解だと思います。

ほぼ、動機と薬物依存は共通の神経回路を持っているからです。

この動機にかかわっているメカニズムを理解する一つの方法が、
Conditioned place preferenceといった手法があります。

要は、薬物を使用する場所も条件付けできるのかです。

 

条件付けは、学習理論の範囲ですね。

学習理論と依存症についての記事もあるので、
ぜひ読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

*Conditioned place preference*

これは、薬物使用と使用場所が関わるのかを調べらることができます。


Conditioned place preferenceとは、
主にネズミさんを使われており、
ネズミさんを二つの部屋がある箱に入れます。

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そのあとに、
3日ほど赤い部屋に隔離し依存性のあるお薬を与えます。

次に、3日青いお部屋に生理食塩水(お薬を与えた真似)を与えます。

 

その後、ネズミさんがお薬を与えられることなく、
どっちのお部屋を好むかを観察することで、そのお薬の依存性を確認します。

 

つまり、もしお薬をもらった場所を好むようであれば、
そのお薬は依存性がある
といった解釈になるでしょう。

 

多くの研究で一定の成果を出しているお薬は、
コカインやアンフェタミン覚せい剤です
(Anderson & Pierce, 2005; Spyraki et al., 1982)

これらのお薬を与えられたネズミさんは、
お薬を与えられた場所を好むようになり、
お薬がまたもらえると思い、お薬をそのお部屋で探し回ります。

 

この現象は、環境要因がお薬と同等の刺激要因になり、
お薬を探す行動を引き起こすように学習
してしまったからです。

 

*我々人間の薬物関連の環境刺激と依存症*

さて、このネズミさんの話が人間に当てはまるのでしょうか

実は、2014年に大学生を使ってこのような実験が行われました。

倫理上の問題で、本当のお薬を使えませんが報酬として食べ物を使いました。
食べ物もお薬と同様で動機付けとしては、十分な刺激になりえるでしょう。

 

この実験では、VRを使用し二つの部屋(A・B)を準備しました。

部屋Aは、食べ物を与えられながらVRの部屋を自由に探索できます。
部屋Bは、食べ物(報酬)が与えられず、VRの部屋を探索します。

そして、2つのグループを作ります。
部屋Aにおいて報酬を与えられるグループと
部屋A・Bどちらの部屋でも報酬を与えられないグループ

グループ1

  • 部屋A ー 食べ物(報酬)
  • 部屋B - 報酬なし

グループ2

  • 部屋A  - 報酬なし
  • 部屋B - 報酬なし

 

その後、食べ物をあたえずに学生さんたちに自由にVR空間を過ごしてもらいました。

 

結果
食べ物を部屋Aで与えられた学生さんは(グループ1)、
食べ物を与えられたお部屋Aで過ごす時間が
食べ物をどちらの部屋A・Bで与えられなかった学生さんたちより
長いことがわかりました
(Astur et al., 2014)

 

この結果から、我々人類も環境と依存性のある物質を関連づけ、
無意識にその環境を好むようになりその物質を探すように動機づけられている

 

この現象が、特に顕著は場所は居酒屋とお酒。
居酒屋に行くと飲む気がなかったとしても、やはり自然と飲みたくなりますよね。

 

もちろん、ほかのお薬たちも同じことが言える可能性は十分にあるでしょう。

 

*まとめ*

  • 依存症は、学習理論が関わる。
  • 依存症にとって、薬物を使用した場所が大切。
  • 薬物関連の環境と薬物を関連づけて学習する。
  • 依存症では、薬物関連の環境を好むようになる。

 

*記事関連のおすすめの本*

「禁酒セラピー(Easy way to contorl alcohol)」

この、本はかなり有名ですね。
おそらく、私の記事にたどり着く前に
みなさんは、この本にたどり着いていると思います。

日本版のタイトル・表紙は気に入りませんが
禁酒のヒントがたくさん書いてあります。
ぜひ、購入して読んでみてください。