CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

誘惑にNoって言うだけでいいの?【止められない依存行動】

*非力な自己コントロール能力*

依存症は、我々の意思に反した行動なのか
それとも、意志の元に行動しているのかが、
法律作りの考慮されるべきと、議論されたりしています。

この記事では、依存症と自己コントロールについて
説明します。

 

 

*依存症と学習*

依存症は、脳の報酬系に問題が起きて

ある特定の報酬(アルコール、タバコ、ギャンブル)を手に入れるために
行動が異常に促進されている病気と言ってもいいかもしれません。

依存症を簡単に説明ている記事があるので、
まだの方は、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

ただ、依存症はただ単純にそれだけが問題で引き起っていません。

 

 

もし、依存症が単なる薬物の使用による脳の異常で済むのなら、
それらの薬物を放棄してしまえば治ってしまいそうですよね。

 

実際は、そんなことはありません。
やめた直後は、禁断症状が出て薬物を得ようと必死になります。

 

その後、禁断症状が落ち着いた後は、
薬物の使用はなくなります。

 

ただ、学習の理論の視点で行くと以前に学んだ行動は、
自然に戻ってきてしまいます

 

なぜなら、我々の脳は頭が良いのか悪いのかわかりませんが、
薬物といろんなものを関連づけて学習するからです。

 

特に、人生のストレスと薬物使用の結びつきはよく言われていますね。

 

例えば、ストレスを感じた時にお酒を飲む。
そうすると、脳は学習します。
その結果、ストレスを感じるたびにお酒を飲むように
プログラムされてしまいます。
よって、依存行動は復活します

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学習と依存症についての記事があるので
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

*依存症と自己コントロール

上記の学習が完了すると、お酒飲む?と聞かれたときに
ただ単純に「No!」と言い、自分を抑制するのは難しいですね。

 

これほど、言うのは簡単だけど
やるのは難しいという言葉が似あう例はないと思います。

 

それが故の依存だと思います。なぜ難しいかは、違う脳の場所が関わっています。

 

 

「No!」の信号を送ってくれるのは、
前頭葉
という脳の前方にある場所で、
我々の行動をモニタリングし
抑制や将来の計画を立ててくれたりします。

すなわち、薬物依存なら禁煙、禁酒する計画を立て
どんな誘惑が来ても自分を抑制し目標に向かって行動するように
コントロールしてくれます。

 

 

さて、この前頭葉さんは我々をしっかりと導いてくれるでしょうか?

実際には、難しいですね。
そんな単純ではありません。
理由としては、

  • 学習されたものは無意識下にあること
  • 薬物へ依存はパワフルなモチベーション

それほど、報系は生存に必要な脳の部位で我々の行動を支配している
のを表していますね。

 

我々の認識の届かないところで
依存行動が行われていると考えられている実験についての
記事があるので読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

前頭葉の介入効果*

前頭葉の行動のコントロールがうまくできないなら、
前頭葉をトレーニングしようというのが
基本的な介入のアイディアになりますよね。

 

ただ、抑制の指令塔の前頭葉を強化は、
問題を起こしている報酬系への介入治療に比べると
効果的ではありません
(Kalivas, 2009)。

 

また、依存症は認知的な問題で
薬物探索等の行動は自動的な行動で努力が必要なく無意識下
行われていると考えられている側面もあります
(Wiers Bartholow et al., 2007)。

 

なので、Jentsch & Pennington さんたちは (2014)
依存症の介入は、無意識下の領域にアクセスすることが大切
だと言ってます。

 

なので、そもそも「No!」って言う前に
もうすでにすさまじいモチベーションが込み上げてきて、
我々を誘惑のもとへ連れて行ってしまいます。

 

これが、依存症が何度も再発する理由かもしれませんね。

ただ、自己コントロールが無駄っていうわけではないと思います。

介入として前頭葉を鍛えることは至極普通な発想です

 

 

今後、前頭葉のトレーニングと依存症の記事も書きますね。
依存症で苦しんでいる患者さんは、
事実として行動の抑制の能力が低いと言われています
(Volkow et al., 2004)。

 

 

*まとめ*

  • 依存症は、学習によって潜在下のシステム障害
  • 前頭葉の自己コントロールは、
    潜在下のモチベーションを抑えるの機能がある。
  • ただ、自己コントロールは意識下で
    薬物探索行動は無意識下で行われる。
  • もしかしたら、
    意識的に行動を抑制するのは難しい可能性がある。

以下の記事で、自己コントロールの話を触れているので
ぜひ、読んでみてください。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

*記事関連のおすすめの本*

「WIllpower doesn't work」

Willpowerが意志の力ですね。

これって全然、意味ないよねって本です。
面白い視点で、この根性論を壊そうとしています。

英語ですけど、ぜひ読んでみてください。