意志力で依存の誘惑は止められない？
＊２つの精神状態の認識＊
たまに、依存症で苦しんでいるの人に向かって
「意思が弱い」って言ってる人を見かけます。
果たしてそうなんでしょうか？
彼らは意思が弱いから薬物をやめられないのでしょうか。
私は、割と否定派ですね。
その例をサクッと説明して、
どうやって戦術的に行動をコントロールするか軽く説明します。
＊興奮VS安定で意思決定は異なる＊
面白い実験がありまして、
Ariely and Loewenstein さん（2005)です。
簡単に言うと
- 参加者 ー 男子学生
- 介入
ー 性的に興奮させて、
いろんな性的な行為に関する質問に答えてもらう。 - 比較対象
ー 性的に興奮していない。
精神的に落ち着いている状態 - 結果観察
－ 精神状態の違い（興奮状態 VS 精神的安定状態）が、
学生の社会的に良くないと思われている
性的行為を実行したさに影響を与えるか。
もう少し、詳しく言うと
男子学生さんの社会的なモラル等に触れそうな行為
（例えば、１２歳の少女と性行為、動物と性行為、嫌いな女性と性行為 等）
をどのくらい実行したいかを
- 自慰行為をしている状態 （興奮状態）
- 何にもしていない状態 （安定状態）
で差が出るのか調べました。
我々の期待としては、
どんな時もモラルに沿った行動をしてもらいたいですよね。
ただ、結果は
性的興奮は彼らの決断に
非常に大きな影響を与えました。
性的興奮時には安定時より、
社会的に疑問視されている性行為を
実行してもよいと考えてしまいました。
（２４個の質問中２２個の質問でそのような傾向あり）
つまり、
我々は精神的に安定している状態では
興奮状態の我々の行動を正確に予測できないず、
安定時と興奮時では、決断能力に差があるということです。
この結果を仮に依存症に当てはめると、
薬物（お酒、たばこ、ギャンブル等）を摂取する可能性は、
覚醒度が高いとき（興奮状態）で起こりやすい可能性があります。
なぜなら、
興奮時と安定時では、想定している行動に
ずれがあるためです。
つまり、
興奮状態では薬物に手を出しても良いと考え、
一方で、
精神的に落ち着いてるときは、
薬物に手を出さないと強い意思を固めているからです。
よって、
この２つの精神状態にギャップがあるため
なかなか禁酒や禁煙がうまくいかないのかもしれませんね。
よって、
この理論に従うと
薬物を摂取するのかしないかの判断に陥っている時点で
「No！」って言うのが難しいわけです。
なぜなら、興奮状態と判断は
安定時の判断とことなるためですね。
やはり、自己への認識の低さは
依存症に関連がありそうですね。
他にも、自己への気づきについての記事があるので
ぜひ、読んでみてください。
＊誘惑に「No！」って
言う代わりにすること＊
では、どうするか。３つ方法が考えられますね。
- 自分の能力を過信しない。
- ぎりぎりの状態で「No！」と言わない
- 事前に誘惑に負けそうな瞬間の対処法を準備する。
＊自分の能力を過信しない＊
まず、精神的に安定している時と興奮状態（誘惑を目の前にする）では、
我々の判断は異なります。
自分なら大丈夫と自信を持たず、
できる限りの誘惑は排除する方がいいかもしれませんね。
＊ぎりぎりの状態で「No！」と言わない＊
誘惑を目の前にして、「No！」というのは非常に難しいです。
覚醒度が高い状態では、自分の心の根底にある欲望に従いやすいです。
事前に、そのような状態に陥る前に
「No！」って言えるといいかもしれませんね。
例えば、飲み会のお誘いが来ました。
お酒は飲まないけど、参加しました。
そして、飲み会の場で「飲む？」と聞かれると
「No！」と言うのは難しいかもしれません。
興奮度が高くなる前に、
「No！」と言って事前に危険な状況を避けれるといいですね。
＊誘惑に負けそうなときの対処法を事前に考える＊
その場で誘惑に打ち勝つのは難しいでしょう。
事前に、誘惑に揺れている感情との向き合い方、
対処法を考えておくと、
誘惑に打ち勝つ可能性は上がりそうですね。
他にも、意志力と依存症の記事があるので
どうぞ。
＊まとめ＊
- 安定した精神状態での判断は、
興奮した精神状態では異なる。 - 興奮状態では、意志の強さが揺らぐ
- 直前で「No」という代わりにできることが３つある。
- 自分の能力を過信しない
- 事前に、誘惑に打ち勝つ対処法を考えておく
- 興奮状態になる場所を事前に防ぐ
＊記事関連のおすすめの本＊
「Willpower 意志力の科学」
「Willpower」
この本は、この記事の内容に対して
対立するような内容ではなく、
工夫をして、意志力を高められる。
みたいな感じですね。
その１つに、計画を立てるという方法があり
その結果、重要な決断を迫られたときに
より良い選択ができる。
そんな内容が、満載です。
ぜひ、購入して読んでみてください。
