ほとんどのダイエット法は間違っている
酸化ストレスが肥満と食物依存症の鍵
肥満に対して、いろんな試みが行われてます。
- カロリー計算
- 低炭水化物
- 高・低脂肪ダイエット
- ベジタリアン
- ビーガン
- 植物ベースダイエット
- 動物ベースダイエット
これらのダイエット法が、基本的には間違っていると提言した論文を紹介します。
(Tobore, 2020)
おそらく、多くの人がリバウンドを経験していると思います。
ダイエットをしたい人
肥満と食物依存症を通して、依存症のさらなる理解を深められる記事になってます。
- 酸化ストレスが肥満と食物依存症の鍵
- ~酸化ストレス~
- ~酸化ストレスが依存症と肥満の原因~
- ~酸化ストレスの関係~
- ~酸化ストレスの悪影響~
- ~酸化ストレスの悪循環~
- ~依存症の酸化ストレス~
- ~酸化ストレスを考慮した食事~
- ~まとめ~
- ~記事関連おすすめの本~
~酸化ストレス~
日常でも、酸化って聞くとあんまり良いイメージがないですよね。
例えば、お肉が酸化されて食品の劣化が起きたりします。
釘が錆びるときも、酸化したと言いますね。
これは、基本的には酸素を受け取り電子を失うことで酸化されます。
逆の反応として、還元反応があります。
これは、酸素を失い水素を渡す。
これによって、錆びた釘は元通りになります。
そして、我々の体内でもこの酸化還元反応を利用してエネルギーを作っています。
ここでは、簡易的にまとめるます。
- 酸化:障害作用
- 還元:障害修復
この酸化還元反応のバランスが崩れると
酸化ストレスが発生してしまいます。
そして、タンパク質、脂質、DNAが障害されて
いろんな細胞内器官に障害が発生します。
~酸化ストレスが依存症と肥満の原因~
肥満の原因は、よく摂取カロリーが消費カロリーを上回ると発生すると思われています。
(Young &Nestle, 2002)
ただ、Toboreさんは
肥満は、酸化還元反応のバランスが主な原因だと主張しています(2020)。
理由としては、肥満は
慢性疾患で、いろんな要因(遺伝、代謝、行動)が絡んでいるので (Campfield & Smith, 1999)
そんな肥満は単純ではないよってことだと思います。
なんか、依存症と似てますよね。
依存性の薬物を摂取したから、
誰もがみんな依存症になるわけでもなく、
ただ、誰もがあることをきっかけに依存症になりえる。
そして、なぜ酸化還元反応バランスが肥満と食物依存症の原因だと考えているかというと
酸化ストレスが、食物依存症を引き起こし
このストレスと依存的行動が
肥満を引き起こしていると考えられています(Tobore, 2020)。
実際に、酸化ストレスがどのように
依存症と肥満を引き起こすと考えられているのか、リストアップしていきます。
ストレスと依存症の記事もいろいろあるので
リンク張ってあるので、読んでみてください。
~酸化ストレスの関係~
まず、基本的に肥満は酸化ストレスと強固な関係があり、
低い抗酸化力も肥満と関係があります(Furukawa, et al., 2004; Rowicka et al., 2017; Chrysohoou et al., 2007; Hosseini et al., 2017)。
つまり、肥満状態とは
- 体にダメージを引き起こされやすくなっている
- ダメージを修復しにくい状態である。
他にも、酸化ストレスと関係があるものがあります。
- BMI(体がどのくらい身長に対して大きいか)(Keaney et al., 2003)
- 内臓脂肪の増加 (Fujita et al., 2006)
- メタボリックシンドローム (Savini et al., 2013)
~酸化ストレスの悪影響~
酸化ストレスが多いと体に起きる現象を列挙します。
- 脂肪の生成 (Higuchi et al., 2013)
- 視床下部の摂食行動と代謝機能の異常 (Drougard et al., 2015)
- インスリン(ホルモン)抵抗上昇(Houstis et al., 2006)
- レプチン(食欲制御ホルモン)の異常(Yagishita et al., 2017)
- グレリン(食欲制御ホルモン)の異常 (El Eter et al., 2007)
- 睡眠の質の低下 (Hill et al., 2018)
- アディポネクチン(抗炎症)の抑制(Matsuda & Shimomura, 2014)
- 成長ホルモンの減少(Jain et al., 2013)
- 腸内細菌の異常(Campbell, et al., 2019)
- 精神疾患の進行(Smaga et al., 2015)
- ドーパミン発現増加(El-Terras et al., 2016)
- セロトニン発現減少(Stansley &Yamamoto, 2014)
- HPA Axis(ストレス反応システム)異常(Kobayashi et al., 2009)
- 衝動性の増加(Steele et al., 2017)
細かい機序は、今回無視しますが
こんな感じで酸化ストレスは悪影響がたくさんあります。
そして、これらの悪影響はここで終わりません。
~酸化ストレスの悪循環~
酸化ストレスが引き起こされると、
多種多様な悪影響が連鎖的・連続的に起きます。
ー例ー
食事による酸化ストレスの上昇(例;高脂肪・高糖質食・高食塩)
⇒ 脳とホルモンの変化
⇒ 報酬系の変化(依存症様)・摂食行動異常
⇒ 肥満
⇒ 酸化ストレスの増加
⇒ 衝動性の増加(高脂質・高糖質食)
⇒ 酸化ストレス増加
⇒ 脳とホルモンの変化
⇒ 食物依存症
チャートに書くと以下の感じです。
また、睡眠と酸化ストレスの間にも2方向的な関係があります。
要は、酸化ストレスが睡眠の質を下げ
⇒ 不十分な睡眠が酸化ストレスを上げる。
⇒ 睡眠の質が下がる
以上のように、酸化ストレスが発生すると
悪循環にはまり、最終的に肥満になる。
~依存症の酸化ストレス~
先ほどのサイクルをみると、
なんか依存症と似てませんか?
依存症においても、
アルコール・たばこ・他の薬物も酸化ストレスを上昇させ、
抗酸化機構の妨げをします(Albano, 2006; Beiser & Yaka, 2019; Ma et al., 2015)。
また、以前の記事で取り上げたように
薬物はHPA Axis(ストレス反応)の異常を引き起こします。
なので、もしかしたら似たような悪循環が発生する可能性があると思います。
このようにして、ストレスは依存症において
重要な役割を果たしています。
ストレスと依存症の関係についての記事は、たくさんあるので、他の記事もぜひよんでみてください。
~酸化ストレスを考慮した食事~
肥満 = 過剰な酸化ストレス
ということがわかってきました。
どのようにして、酸化ストレスを防ぐのか。
Toboreさんがいくつか提案しました。
そのうちのdダイエットに関する1つ勧めを紹介します。
- 抗酸化の食べ物と酸化促進の食べ物の比率を意識する
(抗酸化:酸化促進=2:3(カロリーベース))
なぜなら、「肥満 = 酸化還元反応のバランスが崩れた状態」であり
酸化ストレスはこの均衡が崩れた時に発生するためです。
抗酸化作用のものばかりを摂取しても、
酸化を促すものばかりを食べても
不均衡が発生するため、酸化ストレスが発生してしまいます。
ただ、肥満の人に対しては
少し抗酸化物質の割合を若干増やした方がいいとToboreさんは言ってます
肥満への食べ物バランス
= 抗酸化:酸化促進 = 3:4(カロリーベース)
他にも注意点があります。
- 食べ物は極力加工処理されていない。
(余計な添加物・人工物質を含まない・処理も最低限) - 抗酸化のサプリメントは極力避ける(お医者さんから推奨されるまで)
- 酸化促進の強すぎるものは避ける(特に飲み物・もし飲まなければいけない場合は頻度を下げる)
ちなみに、抗酸化と酸化促進の食べ物・飲み物をリストアップします。
~まとめ~
- 肥満は、酸化還元反応の不均衡が原因
- 酸化還元反応の不均衡は酸化ストレスを発生させる
- 酸化ストレスは依存症を含め、神経回路・ホルモンバランス・衝動性を変化させる(悪影響)
- 単なるカロリー計算・高たんぱく・低糖質ダイエットは根本的には間違っている。
- 食事バランスのおすすめは、カロリーベースで「抗酸化:酸化促進=2:3(3:4(肥満に対して)」
依存症においても、ストレスが鍵になるので
ぜひ、この機会に食生活を見直してみてください。
いずれ、依存症病棟で酸化ストレスを意識した食事が提供される日が来るかもしれませんね。
もう、すでにされているのかもしれませんが。
ストレスに関する記事はたくさんあるので
ぜひ、遊びに行ってみてください。
~記事関連おすすめの本~
「真・抗酸化食事法で多くのガンは自分で治せる」
シモンチーニ博士が見つけたガン治療法ですね。
私は、ガン専門ではありませんが
本当にガンが治るかはさておき、
抗酸化食事法を知るには、十分な本だと思います。
ぜひ、読んでみてください。