CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

ストレスは依存症の最大の敵(再発)

*スリップ と依存症の関係*

ストレスと依存症の最終章ですね。
序章; ストレスとは?
1章; ストレスと依存症発症
2章; ストレスと依存症維持期
3章; ストレスと依存症再発

おそらく、読者様のなかでも
断酒や弾薬の時期と再発の時期のループの経験があると思います。

この記事では、そのサイクルをストレスを使って説明していきます。

 

 

*依存症の経過*

本題に入る前に依存症の流れをおさらいして、
今、我々がどこにいるかはっきりさせますね。

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Stewart, 2000  を基に作成
  • 青色
    ー 薬物を使用し始めた時期。
    ー 薬物使用とともにより薬物を欲するようになる
  • オレンジ色
    ー 依存症になり、毎日同じような量の薬物摂取が必要になる
  • 緑色
    ー 薬物使用をやめたことにより、禁断症状により
      一時的に薬物の欲求が高まるが次第に押さまる。
  • 赤色
    ー なにかをきっかけに薬物探求行動が復活。

 

青色オレンジ色の時期とストレスの関係については
以前の記事で取り上げたので読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 

この記事では、緑色赤色の時期とストレスについて
取り扱います。

実際にグラフを見てもらうと
薬物関連刺激(例;注射器、居酒屋、喫煙場所 等)・ストレスを与えるだけでも
薬物探求活動が一気に上昇していますね
(Stewart, 2000)

みたいな研究を見てみましょう。

 

*機械ストレスと再発の関係*

ストレスには、いろんな形があります。
そのうちの一つの機械的なストレスと依存症再発には
深い関係があります。

機械刺激は、身体に対するストレスです。
このストレスが断酒・禁薬等の時期にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

Psychopharmacology, 1996, 1998, 1999. Neurosci, 1996では、コカイン・ニコチン・アルコール・ヘロインの研究がありますが、
この記事では、アルコールだけを取り上げます。

基本的にどの薬物も似たストレス反応を示しています。

 

この実験では、ネズミさんを依存症にさせて
その後、禁酒させました。

禁酒しているネズミさんたちに3つの介入をしました。

  • 無条件に生理食塩水を与える。
  • 無条件にアルコールを与える。
  • 無条件に電気刺激を与える。

その後、報酬(アルコール)をもらうためにレバーをどの程度一生懸命押すのか、
2つの方法で反応を見ました。

  • レバーを押して、アルコールがもらえる場合(報酬あり)
  • レバーを押しても、アルコールがもらえない場合(報酬なし)

この、ネズミさんたちは事前に依存症になっており
レバーを押すとアルコール(報酬)がもらえることを学習しています。

グラフを見てもらうと
アルコール(薬物自体)を禁酒中に摂取する時より、
ストレス(電気刺激)を与えられているネズミさんの方が
よりアルコールを欲してレバーを押しています

 

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Psychopharmacology, 1998  を基に作成

 

いかにストレスが依存症にとって大きな影響を持っていることがわかりますね。

 

*ストレス反応と依存症の再発*

ストレス反応として、よく知られているのは
ストレスホルモンの放出です。

専門用語ではHPA axisと呼ばれているもので
3つの体の部位でストレス反応がコントロールされています。

  • 視床下部;脳の総合中枢
  • 脳下垂体;ホルモンを体中の臓器に放出
  • 副腎;ストレスホルモンを放出

このHPA axisが依存症では問題が起きています

Kreek &  Koob(1998)では

  • 依存症からの禁断症状はHPA axisを活性化(過剰なストレス反応)させる
  • HPA axisの調整不良が数週間から数か月続く
  • HPA axisの機能不全が薬物の渇望と依存症再発に影響を与える

よって、依存症になるとストレス反応が異常になり
より体はストレス反応を示すようになり
長期間ストレス反応異常が続くため
再発の原因として、ストレスは大きな意味を持ちそうですね。

 

*心理学的ストレスと再発*

ストレスには、機械的な刺激以外にも
心理的なストレスも存在します。

Shinha et al(2000)では、
ストレスを感じた情景を思い出すことで、
心理学的なストレスを引きおこし、
その後のアルコールの渇望を調べました。

比較条件1

  • 普通の情景(ストレスを引き起こさない)
  • ストレスを引き起こす情景(対人関係 等)
  • 薬物関連の情景(居酒屋にいる 等)

比較条件2

  • 情景の想像中
  • 情景の想像後の休憩中結果

 

結果

心理的ストレスが薬物関連の情景の想像と比較しても
十分にアルコールの渇望を引き起こしています

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Sinha et al., 2000 を基に作成

グラフを見てもらうと一目瞭然ですね。

ストレスがいかにすぐに手に入れることができる報酬(薬物)を手に入れて
ストレスからの解放を促している可能性がありそうですね。

 

他にも同じ研究で、心理学的ストレスが

  • 不安の上昇
  • 心拍数の上昇
  • ストレスホルモンの上昇

を引き起こしていると報告しています。

 

*まとめ*

  • 機械的ストレスが依存症の再発を促す可能性あり
  • 心理的ストレスが依存症の再発を促す可能性あり
  • 依存症ではストレス反応に異常があり、
    長期に続くため禁○○期においてもストレス反応に異常あり。
  • ストレス反応の異常が禁○○期から依存症再発を促す可能性あり

 

*記事関連のおすすめの本*

「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する」

 

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