CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

生物ー心理ー社会モデル【依存症】依存症の複雑性

依存症には、多くの理論が存在します。

 

その1つに、生物医学モデル(Biomedical model)があり
依存症を遺伝的・生化学的な原因ともなった
慢性的に再発する脳の病気としてみなしています。

 

 

ただ、社会的・心理的な側面が無視されており
現在のデータでは、生物医学モデルは、支持されていなく、
生物学的・心理的・社会的なすべての側面が
均等に重要であると言うモデルが誕生しました。

 

それが、Biopsychosocial Model (BPSモデル)(Engel, 1977)という
生物ー心理ー社会モデルが誕生しました。

 

ということで、
BPSモデルを少し深堀していきます。

 

 

 

*生物ー心理ー社会モデル*

生物ー心理ー社会モデルが、なぜ必要だったのか。

 

生物医学モデルは、生化学的な異常が
病気の原因としてみなしており、
その異常を治すことで、病気を治せる
考えています。

 

 

ただ、実際は多くの障害・病気において
異常を取り除いても病気であったり、
異常がみられていても病気でなかったりします。

例えば、風邪のウイルスに感染した場合
ある人は、咳・鼻水・熱といった症状を発症したが
ある人は、感染しているにもかかわらず
上記のような症状を発症しませんでした。

 

 

というかんじで、依存症も同様で
遺伝的に依存症になりやすい特徴を持っていたとしても
依存症になる人もいれば、依存症にならない人もいたりします。

 

 

その理由として、
病気・障害は、心理的・社会的な要素と
生物学的な要素が絡み合って発生しているのでは?
っていうのが、BPSモデルです。

 

ということで、依存症のBPSモデル(Skews & Gonzalez, 2013)の
それぞれの要素を少し見ていきましょう。

 

*依存症の生理学的要素*

まずは、依存症は遺伝性があるのか

 

依存症の遺伝性は、ある程度あると言われています。

例えば、アルコール依存の親を持つ
子供は、3-4倍アルコール依存のリスクがあります。

ただ、どんなに遺伝性が依存症にあったとしても
薬物を摂取しなければ依存行動は発現しません。

 

 

 

しかしながら、
一度、薬物が摂取されると依存症になりやすい
遺伝子の影響は、依存症の親を持つ子供の方が強く受けます。

 

例えば、同じ量のアルコールを
アルコール依存症の親を持つ子供と
そうでない親を持つ子供が摂取した場合
依存症の親を持つ子供は、酔いを感じにくく
体のふらつきも見られにくいです。

 

 

そして、この主観的に酔った感じを感じにくい子供ほど
その後に、アルコール依存を発症しやすいと言われています。

 

 

他の有名な話は、アジア系の人のなかには
アルコールを分解する酵素が欠如しているため
顔が真っ赤になったり、頭痛を経験しやすく
アルコールの問題を引き起こしにくいです。

 

 

 

さらに、依存症を語るには外せないドーパミンですが
遺伝的にD2受容体の密度が低い人たちがいて
その人たちは、より幸福感を与えてくれる活動を
望みやすいと言われています。

つまり、アルコール・薬物・ギャンブルのような活動に
従事しやすいということです。

 

 

上記のような話がたくさんありますが、
遺伝的に依存症になりやすい人でも
依存症にならない人もいて、
依存症になりにくい人でも
依存症になってしまう場合があります。

 

ということで、他の要素も見てみましょう。

 

 

*依存症の心理学的要素*

まずは、子供の時の心理学的要素で
依存症の発症のリスクになるものがあります。

 

  • 愛着障害
  • ADHD
  • 反抗挑戦性障害
  • 攻撃性
  • 敵対心
  • 器物損壊
  • サディスティックな行動
  • 非行グループの関り

 

上記のような行動が多い子供ほど
無い人に比べて、飲酒量が大人になって多くなると
言われています。

 

 

 

 

ある特定の性格・気質も依存症のリスクになります。

  • 目新しさを探す傾向
  • 苦痛から逃避しにくい
  • リスクを取ることを恐れない
  • ネガティブ気質
  • 報酬依存
  • 低い注意力
  • 高い情動性
  • 低い社会性
  • 高い衝動性
  • 高い活動性
  • 低い柔軟性
  • 低いタスク思考
  • 気分不安定性
  • 社会的孤立

 

 

 

他には、依存行動・薬物を使用した結果への期待
心理学的要素に含まれます。

 

薬物使用の結果への期待とはなにか?
これは、薬物を使用がもたらす期待される効果に対する信条です。

 

例えば、依存症を発症した人は
薬物使用は、ポジティブな効果を与えてくれて
ネガティブなことから逃げることができると
表現することが多いです。

 

 

 

他にも、学習理論・自己効力感もこの心理学的要素に含まれます。

それらの記事については、以下の記事で確認してみて下さい。

 

curiousquest.hatenablog.com

 

curiousquest.hatenablog.com

 

 

 

 

*依存症の社会的要素*

依存行動が次の世代の子供に受け継がれることがあるが
それが、遺伝的な側面もありつつ
社会的な影響もあると考えられています。

 

 

例えば、社会学習理論(Social Learning Theory)によると
子供が親の薬物使用を見ることで
より子供が薬物を使用しやすくなると考えられています。

 

要するに、子供のロールモデルになる人達が
薬物を使用していると
子供がそれらの行動を学習すると考えられているわけです。

 

 

 

また、同様に親が薬物使用に対する意見も
子供の薬物使用に影響を与えます

事実、親がたばこ・大麻の使用を良しとしている場合
子供は、よりそれらの薬物を使用すると言われています。

 

 

 

他にも、親だけでなく友好関係も薬物使用に
影響を与えます

 

例えば、友達が薬物を使っているほど
その周りの友達は薬物を使う確率が高いです。

その理由が、アルコールであれば
社会的な交流のために使用するという場合も多く
友好関係が薬物使用に影響を与えてきます。

 

逆に、友好関係がなく
退屈な時間をつぶすためにアルコールを使う場合も考えられます。

 

 

また、恋愛関係でも似た関係がみられ
多量飲酒する人は、他の多量飲酒する人が
パートナーである場合が多く
同じ薬物を使う人同士がパートナーになることも多いです。

 

 

 

*まとめ*

  • 遺伝・生化学だけでは、依存症は説明できない
  • 依存症は、遺伝性があり
    ドーパミンの密度も決める
  • 心理学的な性格・気質・学習・薬物への期待も
    依存症のリスクになる
  • 社会的な親子関係・友好関係・恋愛関係も
    依存症に関連する。
  • 3つの要素を考慮した予防・治療が必要。

 

 

 

*記事関連おすすめの本*

複雑内容ほど、日本語の良い書籍ないので
関連のブログ記事を紹介します。

 

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