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レジリエンス【依存症予防】依存症の最大の敵でストレスから乗り越える

依存症の多くの研究は、依存症の発症リスクや危険因子についてメインになっています。

 

しかしながら、そのような依存症のリスクになる要素を持っていたり、
ストレスのあるイベントを経験しても
多くの人が、依存症を発症しません

 

その理由の1つとして、注目されているものが
レジリエンスという言葉です。

 

ある国で依存症を研究している人達と話した時は、
この言葉がたくさん出てきました。

 

 

ということで、レジリエンスとはなにか。
そして、レジリエンスを高めて依存症予防ができるのか?
少し、見ていきましょう

 

 

 

 

レジリエンスとは?*

まだまだ、依存症の分野におけるレジリエンスの定義がまだまだあいまいですが、
心理学の世界では、以下のように言われてます。

 

 

レジリエンス
「困難・トラウマ・重大なストレスに直面し、うまく適応するプロセス。」
(Rutter, 2013)

 

 

時々、このレジリエンスは生まれ持った特別な能力と思われがちですが、
誰もが持てる能力で鍛えられるとされています。

 

 

もちろんトラウマ・ストレスのある状況にさらされることは、
ストレス関連の障害・依存症のリスクとなりえるが、
そのような障害・病気を発症する人は少数派です。

 

 

例えば、約50%の人がトラウマを人生の中で経験しますが、
トラウマ関連の障害であるPTSD罹患率は8%と言われてます。
(Russo et al., 2012)

 

なので、多くの人がレジリエンスを持っており
ストレスに立ち向かう能力を持っており、
さらに、この能力は変化・強化することができると考えられています。
(Rutter, 2012; Kalisch et al., 2019)

 

 

レジリエンスと依存症*

依存症も困難・トラウマといったストレスの影響を大きく受けます。

 

 

もちろん、遺伝・薬物の影響もありますが
これらの因子は、人生経験・環境因子の影響も受けます。
そして、人生のなかでストレスな状況・環境にさらされることで
より依存症のリスクを上げていきます。

 

特に、幼少期のストレスへの暴露によって
感情コントロールがうまくいかなくなったり
よりストレスに反応しやすくなったり
時報酬に頼りやすくなったりし
依存症の発症リスクを高めます。
(al'Absi, 2020)

 

 

そして、上記のPTSDと同様に依存症においても
ストレスに暴露されても、多くの人が獲得しているストレスへのレジリエンスがあり、依存症を発症する人は少数派です。

 

と言う感じで、レジリエンスがあると
依存症の発症の転機となる状況にしっかりと対応し
依存症発症の予防につながるかもしれませんね。

 

 

レジリエンスを高める

レジリンスの高さはどのような行動や心理学的な特徴と関連があるのか。

 

 

*高いレジリエンスと関連すること*

  • ポジティブな感情
  • 現実的かつ前向き
  • ネガティブな思考をポジティブに変える能力
  • 安定した愛着スタイル
  • 能動的なストレス対処
  • 高い自己効力感
  • 高い自尊心
  • 共感力
  • 利他的行動
  • 健康なライフスタイル(運動)
  • 首尾一貫感覚(SOC)
    (Wu et al., 2013; Rudzinski et al., 2017; Gloria & Steinhardt, 2016; Southwick et al., 2005)

 

と言った感じで、過去の記事で取り扱った
依存症に関連しそうなものと
レジリエンスが関連してますよね。

 

これらの個人因子を高めると
ストレスに対して立ち向かう力が高くなり
依存症のきっかけとなる転機をうまく乗り越えられるかもしれませんね。

 

 

上記の要素に関連のある過去のブログ記事も
ぜひ、読んでみてください。

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

curiousquest.hatenablog.com

 

 

また、レジリエンスに関わるのは
個人の話にとどまらず、
環境も我々のレジリエンスに影響を与えます

 

 

レジリエンスに関わる環境因子*

  • 家族(親の監督・個人の境界線の設定・親しい関係・支援)
  • 学校(ポジティブな環境・良好な先生と学生の関係・課外活動・学内活動の従事)
  • コミュニティー(ポジティブ親戚と友達との関係・宗教関連の活動・地域活動と支援)

 

以上のような環境を整えるだけでも
レジリエンスを強化し、ストレス耐性が強くなり
ストレス関連の障害を避けることができるかもしれませんね。

 

 

レジリエンスを鍛える*

レジリエンスは、固定された能力ではなく
変化するものでトレーニングできると考えられてます。

 

 

その方法として、PTSDでよく聞く言葉は
ストレス注射トレーニン?と言うやつです。
英語だと、Stress Inoculation Training (SIT)です。

 

 

簡単に説明すると、ウイルスに対するワクチン接種のようなもので
健康被害を出さない程度のストレスを与え
ストレスに対して、適応する能力をつけ
大きなストレスに対して準備するといった発想です。

 

ただ、まだ依存症に対してこのSITが行われてそうな雰囲気が無さそうです。

 

 

ということで、割と行われている
学校ベースでの学生に向けたレジリエンスレーニングの効果があるのか
調べてみました。

 

学生に対して、依存症の発症を予防する介入は
やはり、人気のターゲットですよね。

依存症は、若年層に多く
学生時代のストレスの影響と依存症に関連もあるので
学生時代にストレスに対してのレジリエンスを高めることは
ごくごく自然かなと思います。

 

 

実際に、効果があったのか?

Hodder さんたちが2017年に学校ベースのレジリエンスレーニングの是非について
メタアナリシス(信頼度が高い)を行ってます。

 

結果としては、違法薬物の使用に対しては
学校で行う学生全体に対して行うレジリエンスレーニングが有効
オッズ比でいくと0.78倍みたいですね。


ただ、アルコールとたばこの使用には効果がみられなかったみたいですね。

 


なぜ、たばことアルコールに対しては
効果がないのかはわかりませんが、
たばことアルコールに関しては、
他の学校ベースの予防策を考えても良さそうですね。

 

 

*まとめ*

  • レジリエンスは、依存症のリスクとなるストレスな状況から
    我々を守ってくれる能力
  • 個人の能力・環境を整えて
    ストレスに対してのレジリエンスを高める

 

 

*記事関連おすすめの本*

「Option B」

多くのことは、人生思い通りにいかないから
次の選択を選ばなければいけないことばかりといった
立場をとり、レジリエンスは鍛えられるとしていて
どのように、困難に立ち向かうのか具体的な方法が書いてあります。

ぜひ、レジリエンスを高めてみてください。