嫌悪療法【依存症治療】嫌がることをして、依存症を治す。
罰と依存行動・物質を結び付ける
「依存症=不適合な学習」として場合、
その学習を変えれば、いいわけですよね。
その手段として、行動療法があります。
その1つの「嫌悪療法」を紹介します。
英語だと「Aversive Therapy」ですね。
まだ、依存症の学習理論を
読んでいない人は、ぜひチェックしてみてださい。
*嫌悪療法*
これは、1940年から1950年ぐらいに
流行ったみたいですね。
(Cannon & Baker, 1981; Lemere & Voegtlin, 1940; Smith, 1982)
ただ、最近では私がいるイギリスでは
倫理的観点から使用が懸念されています。
他の国ではどうですかね?
また、同様により倫理的に承認されやすく
効果的な治療法が発展したことも
嫌悪療法があまり推奨させていないようです。
*嫌な事をして、行動を変える*
基本原理としては、
問題行動を非常に嫌な経験と結び付けて、
その行動をコントロール・排除をします。
そのために、行動の後に得られる
ポジティブな効果をネガティブな効果に入れ替えて、
条件付けされた反応を打ち消すわけですね。
要するに、依存行動・物質使用の後に
罰(不快な思い)を与えてることで
その行動をもう発生させないようにするわけです。
この時点で、何か倫理的に
苦痛を与えることは
よろしくなさそうですよね。
まあ、嫌悪療法の効果はさておき
苦痛を与える治療法は
今の世の中の価値観には
合ってなさそうな雰囲気ですね。
*アルコールにおける険悪療法*
アルコール依存症における治療法で有名なのは、
以下ですかね。
一番最後のジスルフィラムが、日本では
ノックビンという商品名で有名ですかね?
まあ、一般的には抗酒剤として知られていますかね?
時より、アンタビュース(Antabuse, Antabus)も
聞きますかね?
これは、欧米で使われてる商品名ですかね。
とりあえず、ジスルフィラムのみ仕組みを説明しますね。
仕組みとしては、薬がエタノールを代謝する
アルデヒドロゲナーゼ(アルデヒド脱水酵素 ;Aldehyde dehydrogenase (ALDH))を
阻害します。
その結果、悪酔いの原因のアセトアルデヒド(acetaldehyde)が
体内に蓄積され、少量のお酒ですらも
苦痛が引き起こされます。
実際、嫌悪療法に効果あるのかというと
1つメタアナリシス(信頼度高い)を発見したので、
紹介します。
*ジスルフィラムの効果*
結論(Skinner et al., 2014)
- 基本的には、飲まないよりは飲んだ方が
アルコール依存の治療としては
効果はありそうですね。 - 特に、
ジスルフィラムで治療していると
知っている場合は、効果ありそうです。 - ただ、何を飲まされているかわからず
ジスルフィラムで治療していると
効果はなさそうですね。
要は、ジスルフィラムを使っているという
プラセボ効果の影響によって
アルコール依存症に効果があるのでは?
ってことです。
まあ、私的にはプラセボでも
効けばいいじゃん派ですが、
研究や医療のエビデンスに基づいた
治療では、プラセボ効果を取り除かないと
効果あるって言えないよねって感じですね。
追加で、しっかりとお医者さんの監視下で
ジスルフィラムを使うと効果あるみたいですね。
監視されていないと、効果は一気に落ちるみたいです。
なので、しっかりとお医者さんと相談して
これは、効くぞと思って
ジスルフィラム使うと効果ありそうですかね。
もしかしたら、プラセボ効果かもしれませんが。
*ニコチン依存での険悪療法*
たばこにおいても、険悪療法がおこなわれます。
基本的なアイディアとしては、
不快感や吐き気を引き起こすような
たばこの吸い方をさせます。
いくつか方法があります。
- Rapid Smoking (急速喫煙法?)
- Rapid Puffing (急速たばこふかし法?)
- Smoke Holding (たばこ保持法?)
- Covert Sensation / Symbolic aversion
(ひそかな感覚?/象徴嫌悪?)
他にもありますが、
ニコチン依存特集で、取り扱います。
これから、方法を説明しますが
副作用や苦痛が伴うことがあるので、
医師やアドバイザーの元で行うことを
推奨します。
*急速喫煙法*
方法
- 6~10秒毎に吸います。
- これを3分間続けます。
- これを3本行うか
or
堪え切られらくなるまで続ける。 - 休憩を挟みながら、2-3セットする。
(Erickson et al., 1983)
結構きつそうですね。
*急速たばこふかし法?*
急速喫煙法よりは、嫌悪感が少ないものになります。
なぜなら、たばこをふかすだけです。
吸いません。
肺の奥まで入れずに
ふかすだけです。
これだけでも、不快感を作り出すことができ
倦怠感までは発生しません。
(Erickson et al., 1983)
*たばこ保持法?*
方法
- たばこを吸います
- 30秒間、煙を口の中に入れたまま保持します。
- 呼吸は、鼻呼吸でします。
- その間、たばこによって引き起こされる
不快な感覚に集中します。
(Becona & Gracia, 1993)
*ひそかな感覚?/象徴嫌悪?*
これは、物議が少ない
嫌悪療法の1つです
方法
- たばこを吸いながら、
たばこによるネガティブな結果を
想像します。
(吐き気・嘔吐) - たばこを終了させると同時に
その結果の安堵を想像します。
想像なので、苦痛は少なそうですよね
*喫煙に対する嫌悪療法の是非*
メタアナリシス(信頼度が高い)ものによると
ニコチン依存に対する嫌悪療法の効果は、
不確実みたいですね。
(Hajek &Stead, 2001)
十分なエビデンスは、無さそうですね。
研究の方法にも穴がまだあるみたいなので、
今後、どうなるかチェックしないとですね。
ただ、倫理的に怪しいので
研究が進むかも怪しそうですね。
他の依存と嫌悪療法については、
それぞれの依存特集で紹介します。
余談ですが、マウスの実験で
コカイン依存のマウスに、
毒入りのコカインごはんと普通のごはんを
与えると、マウスは毒入り食べるんですよね。
なので、どんなに危険・嫌悪を感じていても
薬物欲しさにそれらを受け入れて
毒を摂取するのが依存なんですよね。
まあ、人類に動物実験を当てはめるときには
注意がいりますが、
本当に、罰で依存症が変えられるのかは
疑問ですよね。
*まとめ*
- 嫌悪療法は、依存行動の学習を
断ち切る - 嫌悪療法は、依存行動を嫌いにさせる
- 苦痛を与えるので、
倫理的に推奨されなくなってきている - アルコール依存では、アルコールの分解を阻害し
苦痛を与える。 - ニコチン依存では、たばこをたくさん吸わせたり
嫌なことを想像させ、嫌悪感を引き出す。 - 嫌悪療法の効果は、疑問がある。
他にも、行動療法があるので
合わせて読んでみてください。
*記事関連のおすすめの本*
「脳はこうして学ぶ」
「How We Learn」
神経科学的側面でみた
学習について紐解いています。
そして、脳の学習の仕組みを理解したうえで
教育や学習をした方がいいんじゃない?
っていうお話ですね。
教育的要素が高いですが、
依存症も学習であり、
依存症回復は再学習です。
ヒントがあるので、ぜひ読んでみてください。
