エビデンスあり!ご褒美・報酬を与えて依存症を治す。【依存症治療】
*依存薬物をやめたら、
ご褒美をあげよう*
依存症の不適合な学習を治すために
行動療法が行われることがあります。
その1つの「随伴性マネージメント(Contingency Management;CM)」を
紹介します。
この治療法は、
「依存症の戦うパワー」を育てるために
有効な治療法であると
Orfordさんの依存症理論で取り扱われています。
まだ、Orfordさんの2つ目の依存症理論
「依存症=パワーレスネス」の記事を読んでいない人は
読んでみてください。
*学習理論が基本*
学習理論で、有名なものは
古典的条件付けとオペラント条件付けですね。
古典的条件付けは、パブロフの犬ですね。
オペラント条件付けは、「飴と鞭」で
スキナー箱が有名ですかね。
これらから言えることは
行動はその行動の結果によって
コントロールされている仮定を基に
随伴性マネージメントは、
治療しますよってことです。
よって、2つのことが言えそうですね。
- 特定の行動によって、ポジティブな結果が導かれたら
その行動はより頻繁に繰り返し行われる - 特定の行動によって、ネガティブな結果が導かれたら
その行動は、繰り返し行われる可能性は低くなる
あんまり、学習理論に詳しくない人は
以下の記事で一度説明したので
読んでみてください。
*随伴性マネージメント(CM)*
CMの起源は、1960代ほどです。
割と古いですよね。
元々は、入院している精神疾患の患者さんに
たばこをあげたり、セラピストさんに頻繁に気にかけてもらう
といった報酬を与えるて、
対処が難しい患者さんをコントロールするために
行われていました。
(Gossop, 2003)
たばこが、報酬だなんて
すごい時代でしたよね。
そして、その後は
目標のために行われるべき行動が行われた場合に
割引クーポンやトークンを報酬として与えてました。
トークンなので、
望ましい行動が行われる度に
トークンが貯まり、そのトークンで
自分が欲しいものと交換できるような
システムになっていきました。
これを、トークンエコノミー(Token Economy)と
言ったりします
(Ayloon & Azrin, 1968)
このシステムは、多様な場面で利用されてきました。
例えば
という感じで、割と望まれる行動を
起こしたくても、起こせない人達に
使用されてきた背景がありそうですね。
その場合、依存症にCMが使われても
何の疑いの余地もないですね。
報酬を与える反対である、罰を与える
治療法もあるので、読んでみてください。
*CMの有効性*
CMは、割と多くの研究で
有効性を支持されています。
特に、
オピオイド依存と多様な薬物の同時使用者で
かつ、メサドン(Methodone)維持プログラムに
参加している人たちに対しての研究ですね。
日本では、メサドンを使った
ハームリダクションはダメだったような気はしますが、
間違っていたらすいません。
まあ、ただ良い例として使えるので
紹介しますね。
やり方としては、
報酬として、メサドンを家に持って帰る許可を与えます。
もしくは、メサドンの投与量を増やしてあげます。
報酬を与える行動としては、
薬物が検知されなかった尿を提供することです。
要は、「薬物使ってません」と証明することで
メサドンの報酬をもらえます。
(Stizer & Higgins, 1995; Stitzer et al., 1986; Stitzer et al., 1992)
他には、薬物が検知されない尿を提出することで
ビンゴ大会のようなものに参加する許可を得て
賞金や懸賞品をもらえるような報酬を与える方法もあります。
(Petry et al., 2000)
コカインや大麻でも同様なことが行われ、
有効性があると言われています。
(Higgins et al., 1993; Budney et al., 2007)
ということで、
システマティックレビュー(信頼度が高い)をみると
多様な物質使用障害において
(コカイン・アルコール・ニコチン・ヘロイン・大麻・覚せい剤)
CMは有効性ががあり、
中ー大程度の効果量があると報告されています
(Davis et al., 2016)
やはり、報酬を与えた時の方が
与えないときより望まれる行動をしてくれるみたいですね。
特に、以下のグループで有効みたいです。
- 治療初期の人、
- すぐにスリップしてしまう人、
- 治療をやめてしまう確率が高い人
*ブログ運営者の余談*
自分のブログやもしかしたらYoutubeを始めて、
それらを通して、発生した収益で
断酒・禁煙・断ギャンブルの期間に応じて
景品や賞金ありのビンゴ大会したら
みなさんの依存を断つ手助けできるかもと
構想中です。
興味あれば、コメントでも
Twitterでもメールでもして
連絡ください。
*CMの重要な要素*
CMの有効性と効果量を高める要素がいくつかあります。
- 治療期間の長さ
- 報酬の価値の高さ
- 目的の行動をした後に、
すぐ報酬をもらえるかどうか
まあ、これらの要素を考えると
費用効率性?(Cost-effectiveness)が低いですよね。
やはり、お金が問題になってきそうですね。
そうすると、長期の運用が難しいですよね。
また、実現性としても
データをどうやって集めるか、
薬物を使っていない証明をどうするのか、
色々大変な事がありますね。
まあ、お金についての解決策の可能性としては
初期は、目に見える外在的報酬(賞金等)で
後半は、達成感や充実感といった
内在的報酬に移行することで
長期的なコストと効果を考えると
いいかもしれませんね。
*まとめ*
- 随伴性マネージメント (CM) は、依存症の不適合な学習を治す
行動療法 - CMは、望まれる行動に対して
報酬を与え、その行動を強化する - 現段階のエビデンスとしては、
有効性と中ー高等度の効果量がある。 - CMは、費用効率性が低く
費用が非常にかかる。
ということで、CMの費用を私が
何とかすれば、皆さんの役に立てそうなので
もう少し頑張ってみますね。
*記事関連のおすすめの本*
「やる気が上がる8つのスイッチ」
「The 8 motivational challenges」
この本、前にも紹介したのですが
プレミアムカバー版が出版されるみたいです。
前回のものと英語版と比較すると
圧倒的なプレミア感があって
かっこいいですね。
なんかやる気出てきそうですね(笑)
まだ、読んだことない人は
読んでみてください。
タイプ別にやる気を引き出すための方法が
解説されています。