CuriousHunter 依存リハ

好奇心のままに、依存症を探索

依存症当事者のセルフスティグマ

依存症に対するスティグマは、
多様な被害をもたらすと考えられ
市民からの依存症に対するスティグマによって
回復の機会を奪う可能性があります。

 

そして、市民からの依存症に対するスティグマの結果
依存症当事者は、他者からではなく
自分自身に対するスティグマ
持ち始めると考えられています。

 

ということで、自分自身のスティグマである
セルフスティグマについて、この記事では解説していきます。

 

 

 

*セルフスティグマ

まずは、セルフスティグマとはなにか。

 

セルフスティグマは、
社会のステレオタイプを内面化し
自分の特徴だと認識した結果、
自分の自尊心・自己肯定感への損害です。
(Corrigan & Watson, 2002)

 

どんなときに、セルフスティグマが発生するのか。


依存症当事者が依存症に対する
市民のネガティブなアイディアへの認識をし
依存症当事者がそのアイディアに対して
ある程度の納得した時に発生します。
(Corrigan et al., 2011)

 

また、依存症のステレオタイプへの同意は
依存症当事者の心の中にもやもやが発生します。

 

例えば、依存症の人は意思が弱くて、信頼性がないという
ステレオタイプに同意した場合は、
依存症当事者の心の中には、もやもやが発生します

 

*もやもや*

"そのステレオタイプは、どのくらい自分に当てはまるのか?"
"依存症を発症した自分も同様に弱くて、信頼性がないのか?"

 

そして、それらのもやもやを解決するために
次第に社会のネガティブなステレオタイプ
自分自身に適応し、自尊心・自己肯定感に影響が出てきます。

 

 

実際に、アルコール使用障害の場合は
多くの依存症に関連するネガティブなステレオタイプ
認識しているほど
より、強くそれらのステレオタイプに同意を示し
その結果、より自分自身にそのステレオタイプ
適応させてやすいと報告されています。
(Schomerus et al., 2011; Stolzenburg et al., 2018)

 

 

*セルフスティグマによる害*

スティグマを認識することにより、
自分自身にそのスティグマを適応した結果、
依存症当事者に不都合なことが発生します。

 

例えば、すでに上記で挙げた
自尊心・自己肯定感の低下と関連があります。

 

事実、
有名な Corriganさんの The Progressive Model of Self-stigmaでは、
鬱症状・依存度・依存問題の期間の他の変数の影響を
取り除いても
セルフスティグマのレベルによって
飲酒を断る自信(自己肯定感)を予測できると報告されています。
(Schomerus et al., 2011)

 

自己肯定感は、依存症の回復では重要な要素になるので
依存症回復のチャンスをセルフスティグマ
奪っている可能性はありそうですよね。

 

*セルフスティグマで助けが遅れる*

セルフスティグマは不快であり
そのスティグマを避けるために
ラベル付けを避けることがあります。

 

そして、そのラベル付けの逃避とセルフスティグマの間に
関連を示している研究もあり
よりスティグマを承認し、
セルフスティグマの対象になりやすい人ほど
現状の自分自身の症状と精神疾患を関連づけが発生しにくく
さらに、助けを必要と感じにくいと報告されています。
(Stolzenburg et al., 2017)

 

そして、依存症を罹患している人は
多くの人が依存症関連の問題の認識を遅らせたり
衝動的な薬物使用を否定し
その薬物使用を自分の意思でしていると考えることで
セルフスティグマと羞恥心を避けようとします。
(Schomerus et al., 2022)

 

その結果、助けを求める声があげにくく
治療が遅れ、依存症の被害が大きくなるかもしれませんね。

 

なんとなく、「依存症=否認の病気」というよりかは
依存症へのスティグマの結果
「依存症=否認をしたくなる病気」かもしれないですね。

 

 

*まとめ*

  • セルフスティグマは、
    社会の依存症へのステレオタイプ
    自分自身に適応させることで
    自尊心・自己効力感を奪う
  • セルフスティグマを避けようと
    依存症関連のラベル付けを避け
    助けを求めにくい状況になり
    回復の機会を奪う。

 

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*記事関連のおすすめの本*

「誰も正常ではないースティグマは作られ、作り変えられる」

我々は、「異常」というカテゴリーを作っており
スティグマどのように作られ、
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そして、3つの視点(資本主義・戦争・身体と体)でスティグマも語っており、
興味深い内容になってます。