【運動・筋トレ依存症】依存症に発展しやすい運動
*運動依存症にないやすい運動の種類*
近年、何に対しても依存症化させる傾向が多い印象があります。
その1つの例として運動が挙げられます。
今回の記事は、運動依存症の有無・依存性が高そうな運動
についての記事です。
運動のような、行動に対する依存(行動嗜癖)についての記事があるので
まだ、読んでない人はぜひ読んでみてください。
*運動依存症*
運動の利点は、すさまじい量のエビデンスが蓄積されています。
ただ、運動の利点を得るための基準として
よく言われている、最低の運動量の目安は
さらに、これらの基準よりも多い運動は
運動の量に比例して、運動の利点をさらに強化・追加されます
(Costa et al., 2012)
要は、運動すればするほど良いということですね。
また、依存症の回復の一助として
運動も注目されています。
運動と依存症についての記事もあるので、
ぜひ、読んでみてください。
ただ、運動における注意点は
過剰な運動によって悪影響が発生したときです。
事実、運動は時々強迫観念的になり、依存症になると言われています。
(Hausenblas & Giacobbi, 2004; Vaele, 1987)
そして、他の行動嗜癖の診断基準を運動やスポーツに対して同様に応用され
運動依存症と呼ばれることがあります。
(Marquez & De La Vega, 2015)
行動嗜癖に対する診断基準や
どのような行動の特徴を依存症とするのかについての記事があるので
気になる人は、ぜひ読んでみてください。
実際に運動依存が、どんなネガティブな結果を導くのか
以下のことが言われています。
- 身体に対する傷害
- 社会的疎外
- 運動を中断することによる
心理的緊張状態
(Di Lodovico et al., 2018)
よく聞く例は、
サイクリストが、凍っている道でも
自転車に乗って練習して、滑って大けがですね。
普通なら、練習をするべきではないのに
練習をしていないことで、不安になり
つい練習をしていまい、大けがをする。
なんか、依存症と似ている点がありますよね。
*運動依存症の有無*
実際に、どれほどの人が運動依存なのかは
非常に結論が出しにくくなってます。
理由としては、4つほどあります。
- スクリーニングツールによって結果が異なる(Griffiths et al., 2015)
- 調査集団の選定
(Cunningham et al., 2016) - 運動の種類(De La Vega et al., 2013)
- 専門用語の定義の問題(Noetel et al., 2017)
という感じで、割と運動依存に関して
なかなか結論が出しにくい状態です。
ただ、それなりに
ちゃんと妥当性や信頼性があるスクリーニングテストがあるのも事実です。
- Exercise Dependence Scale (EDS)
(Hausenblas & Downs, 2002) - Exercise Addiction Inventory (EAI)
(Terry et al., 2004)
ただ、残念ながら日本語版の妥当性や信頼度についてはまだ調べられていないみたいなので
論文を見つけ次第、追加します。
ただ、一応英語版を軽く翻訳して
どんなことが問われているのか解説します。
*EAI スクリーニングテスト*
これは、割と簡単ですぐできることで
有名なスクリーニングテストです。
6つの項目があります。
- 顕著性
- 論争
- 感情の変化
- 耐性
- 離脱症状
- 再発
それぞれの質問に対して
1-5で答える(1は強く反対;5は強く同意)
合計の点数が24点以上だと、
運動依存においてリスクがある状態と言われています。
また、12-23点では
運動依存の症状があらわれている状態と言われています。
もちろん、日本語版のものではないので
皆さんは、以下の質問で24点以上でも
あまり振り回されないように気を付けてください。
*EAIの質問票 (勝手に翻訳)*
- 運動は、人生において一番大切なもの
- 家族や友達との間で、運動量についての論争がある
- 自分の感情を変えるために、運動を行う
- 運動の量が増加している
- 運動の予定を逃すと心配になる
- 運動量を減らし、再び運動を始めると
気づいたらもともとの運動量に戻ってる。
割と、他の依存症と似たようなこと聞いていますね。
ちなみに、私も運動していますが
EAIの点数は15点です。
内訳
- 顕著性 ー 3点
- 論争 ー 1点
- 感情の変化 ー 1点
- 運動量 ー 5点
- 離脱症状 ー 1点
- 再発 ー 5点
一応、運動依存の症状が出てきている状態ですね。
まあ、あくまで診断ではなく簡易的なスクリーニング検査なので
私自身が、運動依存症なのかは疑問ですね。
*運動依存のリスクが高い運動の種類*
いろんな運動がこの世の中存在します。
ボールをつかったり、走ったり、筋トレしたり、ヨガしたり。
また、運動が与える利点も運動によって異なったりもします。
そして、運動の種類によって運動依存の割合も異なります。
依存症の治療の補助的な役割をする可能性がある運動ですが
せっかく、他の依存症から回復するために
運動をしているのに
運動に依存してしまい、体を壊すことは
本末転倒な気もしますよね。
実際に、どんな運動が依存症になりえるリスクが高いのでしょうか。
Di Lodovico et al. (2019)の
システマティックレビュー(信頼度が一番高い)の結果を観てみましょう。
結論
*EAIのスクリーニングテストの結果*
- 特に、忍耐を必要とする運動(長距離走・マラソン・サイクリング、スイミング、トライアスロン)が最も運動依存の割合が高い(14.2%)
- いろんな運動の混合(チームスポーツのようなボールゲーム)の運動依存の割合は、忍耐力を必要とする運動より低い(10.4%)
- 健康やフィットネスレベルの運動(フィットネスセンターで提供される多様な運動プログラム)の運動依存の割合は、8.2%
- 最も運動依存の割合が低いグループは、
筋トレのようなパワーリフティング・ボディビルで、6.4% - 一般人口の運動依存の割合は、3.0%
しかし、もう1つの運動依存のスクリーニングテスト(EDS)では
若干異なった結果が出ました。
運動依存の割合が高いグループから列挙します。
- ボールを使ったスポーツのアスリート
(15.3%) - 筋トレ
(10.7%) - 健康・フィットネスレベルの運動
(6.0%) - 忍耐力を必要とする運動
(3.5%) - 一般集団
(3.5%)
これらの結果をみると
スクリーニングツールによって大きな差が出てますよね。
特に、忍耐力を必要とするランニング等は
EAIでは、14.2%
EDSでは、3.5%の運動依存が報告されています。
という感じで、運動依存はまだまだ
研究の余地がたくさんあります。
ただ、この研究の結論では
現時点では、EAIのスクリーニング検査のほうが
より適切だと締めくくっています。
その理由として、単純に多くの運動依存のリスクを抱えている人を発見することができるためです。
今後、依存症の回復の一助として運動をする場合運動依存を考慮した方
がいいのかもしれませんね。
*まとめ*
- 過剰な運動は悪影響を与える
- どんな運動も、依存症になりえる
- 特に、忍耐力を必要とする運動(マラソン・サイクリング・水泳)は
運動依存の割合が一番高い。 - 運動依存症の有無は、結論が出せていない
- 依存症の回復の一助としての運動は、運動依存を考慮した方が
良い可能性がある。
*記事関連のおすすめの本*
「スタンフォード式人生を変える運動の科学(They Joy of the Movement)」
私自身は、英語版を読みましたが
日本語版があるので共有します。
サクッと値段みたら、日本語の方が全然安くていいな。
ケリー・マクゴニガルさんは、かなり有名な著者ですね。
スタンフォード系のシリーズの本を何冊も出してます。
本人は、そんなタイトルつけてませんが(笑)。
一言でいうと、「幸福と運動」の仕組みを
解説してくれてます。
ぜひ、購入して読んでみてください。
英語版