【叱る依存!?】罵倒と体罰も依存性がある
* 他害と依存症の共通分母*
この本知ってますか?
<叱る依存>がとまらない
作者:村中直人 さん。
聞いたことなかったので、「叱ること」と依存性について
調べてみました。
*薬物依存と体罰の共通点*
薬物依存との共通点のあるなしは、
今後、どのような行動を依存と認めるか
重要な使用になっていると思います。
実際に、どんな
薬物依存と行動嗜癖の共通点と相違点についての記事が
あるので、興味のある人はぜひ読んでみて下さい。
*薬物依存と叱る依存の共通点*
結論
罵倒や体罰は薬物依存と似たような特徴があります。
どんな共通点が体罰のような行動と薬物依存との間に
あるのか解説していきます。
*コントロール不能*
1つ目の共通点は、行動の制御が不能
実際に、以下のようなことが体罰や罵倒に言われています。
ー 短期的にも長期的にも望まない結果を生むと理解していても、脳に報酬を与えられているので、その行動を繰り返してしまう(Porges and Decety, 2013; Chester and DeWall, 2017)。ー
薬物依存も同様に、
薬物を使用することで発生する望ましくない結果を
理解しているにもかかわらず、
薬物の繰り返しの使用がみられます。
薬物依存の定義にも記載されている内容に近いですよね。
依存の定義について、もっと詳しく知りたい方は
以下の記事も読んでみてください。
*再発*
ほかの依存症の特徴としては、再発ですよね。
ある特定の行動が一定期間消失したにもかかわらず、
あることをきっかけに、同じ行動を再び繰り返してしまう。
再発ついては、暴力的な犯罪は再犯率がある程度認められているので
(Hunt et al., 1971; Sinha, 2011; Durose et al., 2014)、
暴力的な犯罪の再犯と依存症の再発は似ているかもしれませんね。
*報酬と学習*
まだまだ、共通点はあります。
英語ではAgression reward(攻撃報酬)って言われてますが、
攻撃性のある言動は、我々に報酬を与えるようです。
脳の報酬系は、依存症を語るには
切り離せない内容ですね。
その記事もあるので、ぜひ読んでみてください。
実際、どのような実験で
他を攻撃することに、報酬が関わっていると
考えられたかという
例を出しますね。
*ネズミさんの攻撃性と学習*
結論、
ネズミさんの実験では、
身体的攻撃を与える行為が強化されました
(再び行うように学習した)
実際の実験内容は、
- ネズミA ー 事前にいじめを許された環境で育てられたネズミさん
(いじめを学習ネズミさん) - ネズミB ー いじめの学習をしていないネズミさん。
- ネズミC ー いじめられるネズミ
を用意。
その後、
不快な電気刺激をネズミA /ネズミBとネズミCとの間に設置しました。
基本的に、電気刺激は不快なので普通のネズミさんは
その電気刺激を受けてまで
いじめをするのはめんどくさいです。
ただ、いじめを学習したネズミさんは
いじめたい強い欲求にかられ、素早く電気刺激を駆け抜けました(Lagerspetz, 1964)。
この結果から、
いじめは報酬 / 依存的な要素がありそうですね。
さらに、いじめへの渇望行動も見られました(Legrand, 1970)
つまり、脳の中で報酬がなくなると
報酬を求めて、体罰・罵倒を通して
自分の中の安定性を保ちます。
他にも、Winner effect (勝者効果?)があり
ー 対戦に勝ったネズミさんは、その後ほかの戦いでも勝つ可能性が高くなる (Oyegbile and Marler, 2005)ー
これが、何を意味するかというと
ヒエラルキーを決めるときに
この効果あったら役に立つと言われてます(Ghosal et al., 2019)。
例えば。どんどん相手を倒せば、
支配する側になり資源、土地、生殖パートナーを独占できます。
なので、戦いに勝ったら
その攻撃的な行動を再びするように強化されるのは(学習)、
生きていくうえで重要なのかもしれません。
さらに、攻撃的な行動をとるネズミさんは
脳の大脳基底核(報酬系の一部)で
ドーパミンのレベルの増加が発見されてます(Ferrari et al., 2003)。
*まとめ*
- 叱る依存は、薬物依存と共通点がある
共通点は、
攻撃性のある言動は、
依存性がある可能性がありそうですね。
今後の研究の発展が楽しみですね。
*記事関連のおすすめ本*
「叱る依存が止まらない」
もちろん、この本ですね。
私よりも、細かくたくさん上手に書いてあります。
ぜひ、下のリンクから購入して
読んでみてください。